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揚げたてはホワホワのサクサクッ!上品な白身のハゼの天ぷら!【登山ガイド・渡辺佐智の“やまのさち”】

登山ガイドの渡辺佐智さんが、自然の中で採れる旬のごちそうを追ってあちこちの山へ。さて今回のごちそうは?

江戸前の 粋を思いつ 鶴見川
釣り糸たらす 晩秋の暮れ

【神奈川県・横浜市のハゼ】
スズキ目ハゼ科
旬:11月~12月(冬、産卵が始まる前)
長さ:20cm前後
寿命:1年

○教えてもらった名人
ハゼ先生

透きとおった吸盤状の腹びれ、くるりと飛び出た目、アヒル口、愛らしいマハゼ!

ハゼが今、鶴見でたくさん釣れている、と聞いたのは11月下旬。ハゼは水底の砂泥地を好むが、住んでいる場所に反して臭みがなく、晩秋から冬はまるっと太りうまいらしい。ほう! それはぜひ確かめなければ!

名人と鶴見駅で待ち合せた。幹線道路を進み、「えさ」と大きく赤い字で書かれた看板の前で立ち止まる。磨かれた木枠のガラス戸をカラカラと開けて店へ入りアオイソメを買い、鶴見川へ向かう。河岸には家族や友人と釣りを楽しむ人たちがあちこちにいる。

江戸の昔は小さな和船を船頭さんに漕がせてハゼを釣った。櫓(ろ)で漕ぐことを「練(ね)る」ということから「練り船」といわれ、舟上から職人に作らせた2本の和竿を両手にそれぞれ1本ずつ構えたんだよ、と名人に教えてもらった。すでに川の流れは変わってしまったとしても、江戸の粋っ子たちの遊びがこうして、140年後の平成の家族の楽しみとして続いていることに感じ入る。

さて、先ほどから私の針にかかるのはダボハゼと呼ばれる小さな雑魚ばかり。横で釣る名人の竿にはマハゼが爆釣だというのに。魚の食いが悪ければ、餌の頭を落とした方が釣れるというのだが、この肝心のアオイソメが触ると嫌がって噛みつく。痛くはないがぞわっとする。向こうも必死だ。ひと息にハサミでチョキっと頭を落としたら、ハゼの目においしそうに見えるようにぶら下げて糸をたらす。ミャク釣りという方法で、重りが底に着くのを感じたら、ゆっくり餌を上下させてハゼを誘う。プルプルッというアタリが来たら合わせるのだが、また可愛くないダボハゼ。こいつに罪はないのだが、私はマハゼが釣りたい! その執念が通じたのか、次の一投はブルブルッというアタリ。合わせると、大きい! 透きとおった吸盤状の腹びれ、くるりと飛び出た目、アヒル口、愛らしいマハゼだ!

そこからは調子がよくなり、夕暮れまでに全部で5匹釣り上げた。これで今夜のおかずは私が釣って帰ると言った実家に、面目がたった。

釣りの入門魚と言われていて、ファミリーフィッシングとして人気がある

20151228_01 1.川岸と、停留した船の間を狙う。あたりをみながら、ハゼのいる場所を探る
2.ハゼの餌、アオイソメ。切ると匂いがつくので、ハサミ、タオルを準備

釣りやすくおいしいが、現在は一般には出まわらず高級魚とされている。柔らかく驚くほど上品な白身

20151228_02 1.頭を落とし、内臓を出して、背開きに。皮が滑るので、怪我をしないように集中する
2.揚げると身が少し小さくなるが、旨みがぎゅっと凝縮されて、絶品。来年もまた釣りたい

○渡辺佐智(わたなべさち)
登山ガイド。自然の中で体を動かし、
おいしいものを食べることを愛する。
安全登山のための情報をウエブサイトでも発信。
www.yamanosachi.jp
やまのさちサイトで番外編を公開中!
yamanosachiROGO
http://www.yamanosachi.jp/bangai.html

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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