Brand

  • YOLO
  • ランドネ
  • BiCYCLE CLUB
  • NALU
  • 楽園ゴルフ
  • RUNNING style
  • MY LIFE RECIPE
  • Yogini
  • トリコガイド

美食大国ペルーの料理・食文化を徹底解説 ~代表的な33のメニューも紹介

美味しい食事は旅の楽しみだが、ペルーはそこが超優秀。しっかりと基本知識を頭に入れて、外さない外食を!

Index

歴史と密接な“クリオージョ”

旧市街にはスペイン風の建物が今なお残る。カトリックの普及が、彼らの大義名分だったのだ。

ペルーにおいて、クリオージョとは、主に南アメリカ育ちの白人のことを指す。西洋人が日本人を見下して呼ぶ際の「ジャップ」という蔑称とは違い、彼らは自分たちのことをそう呼んでいる。そう、確固たる誇りをもって。

何百年、何千年と独自の文化を営んできた南北アメリカ大陸に大転換期が訪れたのは15~16世紀にかけて。かの有名な大航海時代で、その波が南米の西側で一大勢力を築いていたインカ帝国に訪れたのは16世紀初頭だった。スペイン人の入植者たちは、あっという間にこの地を占領。あらゆるところで彼らの価値観を押し付けた。

 

数千年前からさまざまな文化が生まれたペルー。交易を得意とした文化もあるが、旧大陸との接触はなかった。

よいか悪いかは別にして、ここまではよくある話だ。世界中を見わたしても基本的に、西洋的な価値観をスタンダードにしている地域は、南米に限らずアジアやオセアニアなど、ごまんとある。日本だってその代表的な国だ。しかしそれらの多くはすでに独立を果たし、“独自の文化”を取り戻している。それは独立の指揮者が、ローカルの人間であったからだ。

 

1532年、フランシスコ・ピサロによって皇帝アタワルパは捕らえられ、スペインによる支配がはじまった。先住民は土着の宗教を捨て、カトリックへの改宗を迫られた。反発した者への罰は凄惨なものだったという。

そしてここからがおもしろいところだが、ペルーはその点が決定的に異なる。独立運動の指揮者は、ネイティブアメリカンや、白人との混血(ペルーではメスティソと呼び、人口の大多数を占めている)ではなく、ペルー生まれペルー育ちの白人=クリオージョだったのだ。彼らは三角形のヒエラルキーでいえば、かなり頂点に近い存在で、彼らの上には、「スペイン本国からのペルー赴任組」しかいない。どちらかといえば“支配する側”だった彼らが、反旗を翻したのである。彼らを突き動かしたもの、それはこの地に生まれ育った誇りだった。「本国組はどうにも頭でっかちで、気取っていて偉そうだ。でも、俺たちはヤツらとは違う!」という熱い想いだ。

スペイン本国の高慢な役人、軍人。ペルー生まれのクリオージョは奪う側であると同時に奪われる側でもあった。
南米に独立の機運が高まった19世紀。アルゼンチン人サン・マルティン将軍の手によりペルーは独立を果たす。

ひとつの物差しで物事を測るのではなく、違いを受け入れ、さらにそれを取り入れる。決して簡単ではないその精神は料理にも表れていて、西洋料理とその土地がもつ固有の料理という二者択一ではなく、両者をミックスさせたものをつくり出した。

それらはクリオージャ料理と呼ばれている。現在のペルー料理として代表的なもの、「ロモ サルタード」や「アヒ デ ガジーナ」など、ほぼすべてがそれに当たる。特にわかりやすいのは「アンティクーチョ」で、これは牛の心臓を串焼きにしたもの。黒人が食べていた料理を「それ旨そうだな!」と自分たちの料理にしてしまったのである。こんなことは、本国の人間たちからすれば考えられなかった。

牛のハツを炭火で串焼きにした「アンティクーチョ」。動物の臓物を食べる文化は黒人由来だ。どちらも、クリオージャ料理の代表的存在。

もうひとつ、「サルサ クリオージャ」もクリオージャ料理の代表例。ヨーロッパ生まれのオニオンと、南米のアヒ(唐がらし)などをミックスしたつけ合わせで、これがないとどうも味が締まらない、食卓の必需品となっている。

白いうつわに入ったものが「サルサ クリオージャ」(クリオージョのソースという意味)。さっぱりしていて肉料理などによく合う。
右から時計回りに、牛肉と野菜の炒め物「ロモ サルタード」、生魚をライムで〆た「セビーチェ」、ペルー版カレー「アヒ デ ガジーナ」。

世界が注目するロハスなペルーの食材たち

“ロハスな生活”と聞けば、なんとなく想像がつく。ロハスとはいまや、身近な言葉になった。ペルーの美食を支えるのは、そんな言葉がない時代から続く、ペルーらしいロハス。この国の美食は、自然とも一体なのだ。

世界がロハスをうたい出してから早20年。持続可能な社会生活や環境に配慮した農業、オーガニックなど身体に優しい食品、それらを心掛ける生活スタイル。新しい価値観として喧伝されるロハスだが、そんな言葉が誕生する遥か以前から、ペルーの人々は自然に逆らわない生活を営んできた。昔ながらの伝統的農業は、世界が注目するペルーの美食を下支えしており、いま世界はペルー料理だけでなく、その豊かな食材にも熱い視線を送っている。

ペルー版ロハスのはじまりは、500年前のインカ時代から。ペルーには4000種以上ものジャガイモが存在し、アンデスの村々では、「パパ・ナティーバ」と呼ばれる原種系のジャガイモが多く栽培されている。そこで行われているのが多品種栽培だ。数十~数百種類のジャガイモを一緒に栽培することで、病気や冷害による被害を最小限に食い止めている。また数年ごとに畑を休ませ、地力がよみがえるのを待つ。これにより肥料や農薬を使わなくても、また豊かな実りが約束されるのだ。時間と手間をかけて育てられたジャガイモが、美味しくないわけがない。いまでは国内の有名シェフがこぞってアンデスを訪れ、ジャガイモ農家と契約を交わしている。

オーガニック分野で年々存在感が増すペルー産コーヒーにも注目だ。標高や日照時間、一日の寒暖差など、ペルーは高品質なコーヒー豆を育てるための地理的条件が揃っている。ひと粒ずつ手作業で収穫し、選別されたオーガニックコーヒーは味わい深く、世界一のスペシャルティコーヒーにも選ばれた。またオーガニックカカオも好評。生産量が少ないため産地としての知名度は低いが、ペルー北部のピウラ州で栽培される希少なホワイトカカオは、世界中のパティシエ垂涎の的。その需要は今後ますます伸びていくだろう。

ペルーの国土は日本の約3.4倍と広い。アンデスやアマゾンでは昔から交通網が貧弱で、人の往来や物流が地勢的に制限されてきた。貧困農家も多く、資本力不足から化学肥料を用いた近代的農業への転換が遅れた。その結果、先祖伝来の自然農法による農産物の独自性が保たれ、「高付加価値」の商品が手つかずの状態で守られてきたのだ。ペルーにはキヌアやキウィチャ、アンデスの塩など、ロハスな食材がほかにもたくさんある。世界はペルーに注目し続けるだろう。

キヌア

国連が2013年を「世界キヌア年」に定めたことから、さらに注目度アップのキヌア。ヒエ、アワなどと同じ雑穀だが、低カロリー・高タンパクなど、栄養価の高さで人気が沸騰。価格も上がっている。

ソパ デ キヌアも美味。

インカ時代にその製法が確立されたという、クスコ郊外の塩田「マラス」。地殻変動で閉じ込められた海水が岩塩に変化し、悠久の時を経て地下水とともに湧き出す天然の塩。棚田の数は3,000以上とも。国内消費や輸出に加え、ペルーの定番土産としても人気。

カカオ

中南米の熱帯雨林原産のカカオ。幹から突然飛び出したように実る。右はオーガニックカカオを使ったチョコレート。ペルーの珍しいフルーツでつくったジャムや、ナッツが入っているタイプもある。

コーヒー

南米はコーヒーの原産国として世界的に有名だが、ペルーでも栽培されている。これはコーヒーチェリーと呼ばれる完熟の豆。その多くはアンデス山脈の急傾斜で栽培されるため、大型機械の導入が難しい。

ジャガイモ

メルカドに行って驚くのがジャガイモの種類。とにかく多品種で、味や用途もさまざまで、中には凍らせて水分を抜いた加工品も。この国の“ジャガイモ”に対する奥深さと広がりは尋常ではない。

ペルーを代表する33の料理

セビーチェ Cebiche

新鮮な魚介をレモンとAjíアヒで和えたペルーの代表料理。Erizo(ウニ)やConcha Negra(黒貝)、マッシュルームや豆バージョンもあり。

スダード・デ・ペスカード Sudado de Pescado

Sudadoは「汗をかいた」の意。魚をAjíやトマトで煮込み、魚の旨味を引き出す。似たものにカニやエビを入れたParihuelaがある。

アロス・コン・マリスコス Arroz con Mariscos

魚介の旨みが凝縮されたペルー版パエリア。リゾット風やピラフ風など店によって種類はさまざま。レモンを搾って食べる。

ティラディート Tiradito

刺し身をヒントに日系人が考案。セビーチェとの違いはタマネギの有無。Ají Amarillo(黄色い唐がらし)やRocotoのソースが絶品。

ハレア Jalea

卵やパン粉を使わず、小麦粉やトウモロコシの粉だけで揚げた魚介のフライ。Salsa Criolla(タマネギのレモン和え)と一緒に食べる。

アヒ・デ・ガジーナ Ají de Gallina

Gallina(雌鶏)を使ったペルー版マイルドカレー。黄色い色はターメリックではなく、Ají Amarilloだ。旨みとコクの素はPecana(ピーカンナッツ)とパルメザンチーズ。ゆで卵とオリーブ、ジャガイモが付くのがお約束。

ロモ・サルタード Lomo Saltado

セビーチェと並ぶペルーの代表料理。Lomo(牛肉)とタマネギ、トマト、フライドポテトをSaltado(炒める)したもの。中国人移民が伝えた「炒める」という調理法から生まれた、移民の国ならではの料理。牛肉のランクによって値段はまちまち、隠し味は醤油だ。

タジャリン・サルタード Tallarin Saltado

中国移民が伝え、ペルーで進化したペルー版焼きそば。一般的には牛肉を使用するが、鶏肉バージョンもあり。隠し味は醤油。

アロス・チャウファ Arroz Chaufa

ペルーで進化したChifa(中国料理)の代表作。鶏・豚・エビなど種類も豊富。横についているのはワンタンを揚げたWantan Frito。

ポヨ・ア・ラ・ブラサ Pollo a la Brasa

ペルーの国民食ともいえる鶏の炭火焼。1人前は1/4(ウンクアルト)。Pechuga(胸肉)かPierna(モモ肉)の好きな方を選ぼう。

セコ・デ・ポヨ Seco de Pollo

Ají とCulantro(香菜)を使った煮込み料理。鶏のほか牛肉バージョンもあり、付け合わせに豆の煮込みが添えられることも。

タクタク・ア・ロ・ポブレ Tacu Tacu a lo Pobre

Tacu Tacuはご飯とFrijoles(インゲン豆の煮込み)を混ぜて焼いた黒人由来の料理。a lo Pobreは目玉焼きと焼きバナナ付き。

カウサ Causa

Papa Amarilla(黄色いジャガイモ)とAjíを使ったマッシュポテト。ゆで鶏や、カニのほぐし身のマヨネーズ和えを挟んでいる。

クイ・フリート Cuy Frito

Cuy Chactadoともいうクイ(テンジクネズミ)の素揚げ。トウモロコシ粉をまぶすことも。ペルーに来たら食べるべし!

パパ・ア・ラ・ワンカイーナ Papa a la Huancaina

ゆでたジャガイモに、Ají AmarilloとQueso Fresco(フレッシュチーズ)でつくる、ワンカイーナソースをかけたもの。

パパ・レジェ―ナ Papa Rellena

ペルー版ジャガイモコロッケ。大人のこぶし大ほどの大きさで、パン粉をつけず揚げる。中にはクミンで味を整えたひき肉炒めとゆで卵、黒オリーブが入っている。Salsa Criollaをのせると美味。

エンパナーダ Empanada

炒めたひき肉とゆで卵、黒オリーブが入ったペルー風ミートパイ。鶏肉やチーズ入りもあり。レモンを搾って食べよう。

タマル Tamal

練ったトウモロコシの粉に鶏や豚肉、ゆで卵などを混ぜて、トウモロコシの皮で包んでゆでたもの。似たものにHumitaがある。

アロス・コン・パト Arroz con Pato

ノルテ名物。Pato(カモ)と米をAjíやCulantroで炊き込むピラフ。似たものにArroz con Polloがあるが、Patoのほうが味わい深い。

トゥルチャ・フリータ Trucha Frita

アンデスの川の水を利用して養殖したTrucha(マス)は、大振りで肉厚。シンプルな塩焼きは、香辛料に飽きた人にオススメ。

カラプルクラ、ソパ・セカ Carapulcra, Sopa Seca

Carapuluraは乾燥ジャガイモの煮込み、Sopa Secaはスープを吸わせたパスタ。独立した料理だが一緒にサーブされることが多い。

オユキート・コン・カルネ Olluquito con Carne

ツルムラサキ科の根菜Ollucoと、牛肉や鶏を炒めたアンデスの料理。クスコではCharqui(リャマの干し肉)を加えることが多い。

セコ・デ・カブリート Seco de Cabrito

ノルテ(トルヒーヨ以北)の名物料理。Cabrito(仔ヤギ)をChicha de Jora(発芽トウモロコシのジュース)で煮込んだもの。

フアネ Juane

アマゾン風巨大チマキ。味つけしたご飯と鶏肉、ゆで卵とオリーブを、ビハオというアマゾンの植物の葉で包んでゆでたもの。

ロコト・レジェーノ Rocoto Relleno

アレキパ名物。ペルー原産の激辛唐がらしRocotoをゆでて辛味を抜き、牛肉やチーズを詰めて焼く。時々大当たりがある。

セシーナ、チョリソ、タカチョ Cecina, Chorizo, Tacacho

アマゾン料理。Cecina は豚や牛肉の燻製、Chorizoはソーセージ、Tacachoは甘くないバナナを揚げて潰し、豚のラードと混ぜてボール状にしたもの。酸っぱ辛いSalsa de Cocona(ココナソース)を添えて食べる。

チュペ・デ・カマロネス Chupe de Camarones

アレキパ名物のCamaron(川エビ)のミルクスープ。エビの旨みが凝縮している。ジャガイモやゆで卵、米も入っている。

ソパ・クリオージャ Sopa Criolla

ペルーを代表する「クリオージョのスープ」。卵と極細パスタ入りでボリューム満点。トーストしたパンが付いてくることも。

カルド・デ・ガジーナ Caldo de Gallina

雌鶏のダシが利いたスープで、ゆで卵と野菜、パスタ入り。調理に時間がかかるため、週末しか出さない店もある。

ピカロネス Picarones

カボチャとサツマイモでつくるドーナツで、シロップをかけて食べる庶民のおやつ。屋台で売られることが多い。

エラード・デ・フルータ Helado de Fruta

インカ神話に登場する果物ルクマや世界3大美果のチリモヤ、マラクヤなど、フルーツ大国らしいアイスが豊富。

チチャ・モラーダ Chicha Morada

ペルー原産の紫トウモロコシとフルーツを煮たジュース。ポリフェノールが多く美容に最適だが、砂糖もいっぱい。

ピスコ・サワー Pisco Sour

ピスコ酒にレモンと卵の白身、シロップを加えた国民的カクテル。アルコール度数が高いので飲み過ぎに注意。

覚えておきたい料理用語

現地語 読み 意味
Arroz アロス
Tallarin タジャリン
Pollo ポヨ
Lomo ロモ 牛肉
Chancho, Cerdo チャンチョ、セルド 豚肉
Pescado ペスカード
Ají アヒ 唐がらし
Salsa サルサ ソース
Sopa ソパ スープ
Seco, Guiso セコ、ギソ 煮込み料理
Saltado サルタード 炒め物
A la〜 ア・ラ〜 ~風

Share

Profile

トリコガイドシリーズ 編集部

トリコガイドシリーズ 編集部

オンは仕事をバリバリこなし、限られたオフはおもいっきり羽を伸ばして楽しむ!そんな大人のキャリアウーマンの「せっかくだから」を満たす、ちょっと贅沢な国内ガイドマガジン。

トリコガイドシリーズ 編集部の記事一覧

オンは仕事をバリバリこなし、限られたオフはおもいっきり羽を伸ばして楽しむ!そんな大人のキャリアウーマンの「せっかくだから」を満たす、ちょっと贅沢な国内ガイドマガジン。

トリコガイドシリーズ 編集部の記事一覧

No more pages to load