【ヨガと呼吸】①風邪とストレスに強い体にととのえる
大嶋朋子
- 2019年12月14日
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ヨガあるある「呼吸で風邪予防」
ヨガで大切にされる「呼吸」。それは息を吸うことで新しい酸素を取り込み、吐くことで二酸化炭素を体から出す動き。もっとミクロに見ていけば、肺の中では小さなブドウのような肺胞がたくさん集まり、その一つひとつがガス交換をする重要な役割を果たしている。ただ、歳を取ると肺の下のほうがだんだんと押しつぶされ、ガス交換の効率が下がり抵抗力が落ちてしまう。これが、お年寄りがインフルエンザや肺炎にかかりやすいという理由の一つ。
呼吸にもいろいろ方法がある中で、ヨガは腹式呼吸を基本とするものが多く、肺の下にある横隔膜が息を吸う時は押し下げられてお腹が膨らみ、吐く時は胸のほうに引き上げられお腹が凹む。肺の下部までしっかり活用するので肺を健全に保つ働きに加え、横隔膜の上下運動により周囲の内臓が刺激され、血液やリンパ液の流れが促進されるという利点もあり。
さらに、ヨガでは口を軽く閉じ鼻で呼吸を行っていくが、これも抵抗力UPに効果的。鼻内部の鼻毛がフィルターとなって菌が体内に侵入するのを防ぎ、口を閉じることで口内の潤いを維持しながら、抗体を含む唾液の減少を抑えることができる。「ヨガを始めて風邪をあまりひかなくなった」とはよく聞く話。呼吸一つの変化で免疫力の高い体に導くというわけだ。
自律神経を整える
呼吸は心肺機能だけでなくさまざまな生理機能と関連し、生命活動を維持している。特に注目は自律神経への働きかけ。自律神経は、活力を高める交感神経とリラックスへ導く副交感神経から成り、両者がバランスよく働くことで心拍、血圧、体温、消化、排泄など体内の環境を調整する大切なもの。自分の意思ではコントロールできないが、呼吸がその突破口に。息を吸う時は交感神経が優位になり、吐く時は副交感神経が優位になる。
だから吸うと吐くは同等に
呼吸は吸うと吐くで1セット。先に息を吐き切ってから吸うと、自然に動作に入っていける。そして、4カウント吸ったら4カウントで吐くように、リズムを取りながら同じ数だけ吸う&吐くを繰り返してみよう。電車に乗っている間、オフィスにいる時、ひと息つく休憩の時でも、これならいつどこでもトライしやすい。
体の不調と呼吸の関係
当然ながら普段の生活では、仕事をする、外に出かける、友人と会う時でさえ、緊張状態にさらされることのほうが多い。それどころか、何かに集中するあまり気づいたら呼吸するのを忘れていた、なんてこともあったり。自ずと交感神経優位になるシーンが多く、自律神経のバランスが崩れがち。「最近、食欲がない」、「眠りが浅くなった」、「なぜか気分が落ち込む」などの変化があったら、それはサインかも。
このところ社会問題になっている心の病をはじめ、頭痛や肩コリ、生理不順などの身体的な症状は、実はストレスが引き金になっているとも言われていて、ストレス過多により交感神経優位の状態が続くことで、体と心に不調が表れるという仕組み。このことからも、健康にとって呼吸がいかに大事か見えてくる。
呼吸を健康のお守りに
日々何げなく行っている呼吸が、風邪の予防や体内の環境を整えることに、実はとっても役立っているという事実。ウイルスやストレスに強い体へ導くためにも、呼吸の意識は高めくらいがお得かもです。
Text=内池朋子
女性誌編集者を経てRYT200を取得。ヨガやアロマテラピーなどを取り入れた心地よいライフスタイルを発信。
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Text=内池朋子
女性誌編集者を経てRYT200を取得。ヨガやアロマテラピーなどを取り入れた心地よいライフスタイルを発信。
Photo=樋口勇一郎
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