人生が少し楽になるかもしれない「頑張らない」のススメ
大嶋朋子
- 2020年03月16日
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日本人は「頑張る」が得意
「頑張らなくていい」と聞くとつい怠ける方面に気が緩んでしまいそうですが、そうではなく「貪らない」という意味合いが近そうです。
頑張ることが美徳とされがちな文化の中で、元来真面目な国民気質も手伝って、何かにつけて頑張りすぎてしまうことが多い日本人。おそらくそれは仕事のみならず趣味においても。
頑張りすぎは自分への暴力?
例えばヨガのレッスン中、無理にポーズをとりにいったことはありませんか。ポーズの形にとらわれて、実のところ体は正しいアライメントにない状態。「なんか痛い」とか「心地よくない」と感じながらも、周りについて行かねばと自らに無理を強いている時。これ、自分に対して暴力を振るっている瞬間かもしれません。
ヨガの哲学では「非暴力」というルールがあります。他人にだけでなく自分に対しても暴力を振るってはいけないと解釈され、レッスン中に先生がプロップスを使ってポーズをとる軽減方法を提案してくれたりするのは、その考え方をアーサナを通して伝えてくれているのです。
「痛い」は止まれのサイン
ポーズの前提は、安定して快適であること。痛みや不安定さを無視して練習を続ければ、怪我をするリスクも増えてしまいます。痛いと感じたらそれはもう「頑張り」ではなく「いじめ」と言えるほどかも。無理してポーズをとりにいかずに、一度止まってひとつ前の段階に戻ることも、自分を守るための勇気ある行為なのです。
今できていることに満足する
ともすると消極的に見えるその勇気ある行為ですが、受け入れやすくしてくれる哲学があります。
それは「足るを知る」ということ。あるがままの自分自身を認め、今できていることに満足するという考え方です。ポーズをとる時も「あれができなかった」ではなく「これができている」と見るポイントを変えてみましょう。
「できない」ことにではなく「できている」ことにフォーカスすると、心がフッと楽になって冷静になれるもの。今できていることを武器にして次に何ができるか、そのためにどうアプローチすべきが見えてくるというわけです。
仕事でもプライベートでも
頑張りすぎない(貪らない)、今に満足するというテクニックは、ヨガの哲学ヤマ・ニヤマより。でも、これらは日常生活にこそ活かせる知恵だったりします。
例えば、ビジネスシーンにおける働きすぎ問題。働き方改革が浸透してきたこともあり、日本人の「頑張ります精神」の方向が変わりつつある今。「頑張る」の労力対効果みたいなものを見直し始めている人も多いのではないでしょうか。
そして、プライベートでのリア充格差も。現時点の自分を認めて受け入れてみることで、本当に欲しいモノやコトが見えてくるのかも。
頑張るなら誰の、何のため?
エネルギーを費やすにも、まずは自分が消耗してしまわないように。甘やかしているように見えて実は自制の連続とも言える頑張りすぎない姿勢は、人生を充実させる一つの方法と言えそうです。
Text:内池朋子
編集者を経てRYT200を取得後、ヨガやアロマテラピーなどを取り入れたライフスタイルを発信。AEAJアロマテラピーインストラクター、JAMHAハーバルセラピスト。
<出典情報>
出典:最新版 ヨガが丸ごとわかる本
「ヨガの八支則について」
- Brand :
- Yogini
- Credit :
-
Photo=樋口勇一郎
Text=内池朋子
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