ランニング後の食事抜きはNG!走れる体づくりやダイエットランを成功させる食事法
- 2021年04月12日
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ランニング後の食事で失われた栄養をしっかり補給しよう
ランニングはエネルギー消費量が多いスポーツです。これはダイエットや美しいボディシェイプづくりを目的としてランニングを行う人にとっては大きなメリットです。その反面、ランニング後に栄養をしっかり補給しなければ、たちまち体は栄養不足に陥りランニングを続けられないどころか、慢性的な体調不良を引き起こすことになってしまいます。
また、大会出場を目指して走っている人も栄養不足はランニングパフォーマンスの低下に直結します。いずれにせよ、どのような目的でランニングを行っている人であっても、ランニングで消費された栄養の必要十分量を補給することは絶対に必要ということを忘れてはいけません。
ランニング後に食事をしないことは論外。絶対に避けましょう!栄養補給は食事からが基本ですが、どうしても食欲がない場合には、ゼリードリンクやプロテインサプリメントなどで代用してもOKです。
極端な食事制限+ランニングはリバウンドを招く
食事の量を極端に減らしてランニングを行うと、期待以上のスピードで体重が減っていくことが多いものです。しかし、これがリバウンドという負のスパイラルの入り口なのです。ランニングにより筋肉は損傷を受け、それを修復するために栄養素が使用されます。しかし、修復時に必要な栄養素が足りないと筋肉は減ってしまいます。
また、脳は極端な栄養不足を感じると、筋肉を分解して足りない栄養素を補おうとします。このWパンチで、筋肉はどんどん減っていきます。
筋肉はエネルギーを消費する最大の器官なので、筋肉が減れば減るほどエネルギーを消費できない体になっていきます。すると、ランニングを続けても体重が減らなくなってきます。もちろん、メリハリのある体づくりにも欠かせない筋肉が減るため、お尻が垂れるなど、ボディラインの崩れも顕著になってしまいます。
体がこういった状態に陥ると食事からとったカロリーを効率的に消費できなくなり、食事量を少し増やしただけでも、体重が一気に増加してしまいます。つまり、リバウンドが止まらなくなってしまうのです…。
「ランニング後はしっかり食事をする」が鉄則!
体に必要な栄養素が枯渇した状態であるランニング後は、食事をしっかりとりましょう。そして、とるべき栄養素の柱となるのは「炭水化物(糖質)・脂質・タンパク質」の3つです。これらは3大栄養素と呼ばれ、生命維持に不可欠な栄養素です。
ビタミンやミネラルといった栄養素はほとんどエネルギーを持たないのに対し、3大栄養素の最大の特徴はエネルギーを持つことです。そのため、3大栄養素をバランスよくとらないと体は飢餓状態となり、内臓機能など、生命維持に必要な機能が正常に働かなくなってしまいます。また、持久力の低下、筋量減少、筋肉の機能低下も発生します。
ただ、ビタミン、ミネラルが不要かというとそうではありません。3大栄養素はビタミンとミネラルなしでは体内でうまく使われず、エネルギー不足、代謝異常などが引き起こされます。そのため、3大栄養素とともに、ビタミン、ミネラルも過不足なくとることが重要となります。
ランニング後の食事では、3大栄養素をバランスよく!
では、ここでランニング後の食事のときに柱にしてほしい3大栄養素についてをご紹介していきましょう。
タンパク質
ランナーに必須の栄養素が「タンパク質」です。タンパク質は、体組織構成成分の約20%を占め、内臓、筋肉、髪やツメなど、体の組織の材料になります。さらに、神経伝達物質や免疫抗体の材料になるため、不足すると心の不調や免疫力の低下を招くこともあります。1日あたりの必要量は、ランナーの場合は、体重1kgあたり1.2~1.4gが目安とされています。
糖質
「糖質」は、体を動かすときの主要なエネルギー源となる非常に重要な栄養素のため、3大栄養素のなかでもっとも消費量の多い栄養素です。脂質をエネルギーとして使用するときや、タンパク質を無駄なく利用するためにも糖質が必要となります。そのため、過度な糖質制限は、筋肉量の減少やリバウンドを引き起こします。また、ランニング時のスタミナ切れも糖質不足が原因です。
脂質
なにかと敵視されることが多い「脂質」ですが、細胞膜を強くし、糖質とともに体を動かす燃料にもなる生命維持に欠かせない栄養素です。とくに、フルマラソン後半などでは糖にかわる主要なエネルギー源として使われます。また、便のすべりをよくする働きも持つことから、不足すると便秘を引き起こします。
3大栄養素をバランスよく食事からとる方法は、ごはん(1膳)、おひたし、サラダなどの野菜のおかずを2品、みそ汁などの汁もの、肉または魚、卵や大豆製品を使ったおかずを揃えればOKです。外食の場合は、単品メニューではなく、定食メニューをチョイスするようにしてください。
夜ラン後の食事には要注意!糖質はシチュエーションに合わせてとる
ランニング後の糖質の補給は必要と言われても、近年は“糖質=太る”というイメージが定着していることから、敬遠したいという人も多いのではないでしょうか?もちろん、走っているから際限なく炭水化物や甘いお菓子を食べていいわけではありません。使われなかった糖質はすべて体脂肪に変わってしまうからです。
では、どうしたら体重を増やすことなく糖質をとることができるのでしょうか?コツは、3種類の糖をシチュエーションによって使い分けることです。
糖の種類は大別すると3つ。そのひとつが「単糖」です。これは、それ以上分解することができない糖です。そして、2~10個程度の単糖が鎖のようにつながったものが「少糖類」、単糖が11~数百万個の単糖が鎖のようにつながったものが「多糖類」です。鎖が短い糖ほど体内に入ってから吸収されるまでの時間が短くなるという特性があります。鎖のが長い糖は、鎖を切り離すことに時間がかかるため、吸収スピードが遅くなるのです。このしくみを理解し、シチュエーションに応じた糖の使い分けをすれば、スタミナ切れだけではなく体重増加を防げるのです。
3種類の糖を使い分けよう
ここでは具体的に糖の種類について解説をします。
糖質摂取で注意してほしいのは、夜ランの場合です。夜ラン後は単糖類と少糖類はとらず、多糖類をメインに。ただし、ごはんは軽く1膳程度にとどめ、おかずは、いも類を使ったものは避け、甘みのない味付けのものを。野菜を多めにとりましょう。
■単糖類:果糖、ブドウ糖など
スポーツジェル、あめなどに含まれています。非常に消化吸収が速いため、レース中のスタミナ切れ防止には補給食として有効です。ただし、血糖値が急上昇しやすいため、日常生活での摂取は控えましょう。ランニング後ではなく、ランニング前にとるのがおすすめです。
■少糖類(しょ糖):砂糖、麦芽糖など
消化吸収が速いため、ランニング前(1時間~30分前)にとっておけば、ランニング中にエネルギーとして使えます。ただし、血糖値を急上昇させやすいため、日常の食事でとる場合は、食物繊維の豊富な食べ物と一緒に食べ、遅い時間にはとらないようにしましょう。
■多糖類:穀類、いも類
体内に入ると少しずつブドウ糖が血中に放出されるため、長時間にわたりエネルギー源となってくれる糖です。血糖値の上昇がおだやかなので、日常のランニング時は多糖類をメインに。レースやランニングの3時間前くらいに食べるとランニング中のエネルギーとして使えるようになります。
タンパク質をとるときは、ビタミン、ミネラルも必ず一緒に
タンパク質の本来の力を発揮させるためには、代謝を促す、相性のよい栄養素とともに摂ることが有効です。とくに相性のよい栄養素は、「ビタミンB群・ビタミンC・鉄・カルシウム・糖質・」。これらの栄養素を一緒にとると、タンパク質の働きが高められます。
タンパク質の吸収を促す栄養素と食品
タンパク質と一緒に摂取したい栄養素別の食品をご紹介します。上手に食事に取り入れましょう。
■ビタミンB6
鶏肉、レバー、カツオ、マグロ、サバ、イワシ、鮭、サツマイモ、バナナ、ブロッコリーなど
■ビタミンB2
レバー、納豆、牛乳・乳製品、サバ、サンマ、ブリ、マイタケなど
■ビタミンC
かんきつ類、キウイフルーツ、イチゴ、ピーマン、ブロッコリー、菜花、カリフラワーなど
■鉄
レバー、牛ヒレ肉、カツオ、マグロ、厚揚げ、納豆、アサリ、ホウレン草、小松菜、大根やカブの葉など
■カルシウム
牛乳、チーズ、ヨーグルト、骨ごと食べられる小魚、厚揚げ、納豆、小松菜、モロヘイヤ、チンゲン菜など
■糖質
ご飯、パンなどの穀類、麺類、イモ類、カボチャ、レンコン、バナナなど
とるべき油、避けるべき油を知れば脂質も怖くない
脂質は、さまざまな種類の食品からとることが基本です。とり方のコツは、毎日の食事のなかで、肉と魚や卵や大豆製品をおかずにとり入れ、調理ではオリーブオイルなどの加熱しても酸化しにくい油を使用することです。これだけでも、体によいとされる脂質をとることができます。
気をつけてほしいのは「酸化した油」です。油は空気に触れた瞬間から酸化し、それを食べると細胞が傷つけられてしまいます。そのため、油を使った料理はできるだけ早めに食べる、焼き魚はできるだけ焼きたてを食べる、野菜とともに食べるなど、工夫しましょう。
ちなみに、健康によい油だからと、料理に大量にかける人を見かけることがありますが、これは太る原因になります。質がよい油だからといってカロリーがほかの油より低いわけではありません。とりすぎはどんなに質がよい油でもNGです。調理に使う油は1日大さじ2~3杯に抑えましょう。
ちなみに、糖質同様、夜ランの後の食事の場合には脂質は控えめに。脂質は胃にたまりやすいため、胃もたれの原因にもなります。
■とるべき油
動物性…肉の脂、乳製品に含まれる油。コレステロールを増やす。
魚…青魚、鮭に含まれる油。悪玉コレステロールや中性脂肪を減らす。
植物性…オリーブオイル、種実類、アボカドに含まれる油。コレステロールを減らす。
■避けるべき油
トランス脂肪酸…マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングに含まれる油。悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす。
酸化油…空気に触れることで酸化した油。細胞を傷つける。
<監修>
篠原絵理佳(しのはらえりか)
管理栄養士。Health&Beautrition主宰。日本抗加齢学会認定指導士、野菜ソムリエプロ、睡眠改善インストラクターなど、多彩な資格を持つ。総合病院、腎臓内科クリニック勤務を経て独立。管理栄養士としては臨床の場でチーム医療に携わり、食事制限があっても美味しく楽しく食と向き合うことをモットーとする。食生活からの健康作りについてわかりやすく発信することを得意とする。
管理栄養士「篠原絵里佳」オフィシャルHP⇒https://ericashinohara.com/
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