【いつか泊まりたい山小屋#16 八ヶ岳・オーレン小屋】 薪ストーブを囲みホッとひと息つける場所
ランドネ 編集部
- 2022年04月14日
「あの山小屋に泊まってみたい」。そんな憧れが、山へ向かうきっかけになることもあるはず。本連載では、立地や食事、山小屋の主人やスタッフの人柄など、その山小屋ならではの魅力にスポットを当てながら、ランドネ編集部おすすめの山小屋をご紹介。16軒目は、八ヶ岳の中央部に建つオーレン小屋をピックアップ。
Index
訪れる登山客に「ほっ」とした時間を届ける薪ストーブ
いくつものピークが南北に連なる、独特な山容をした八ヶ岳。そんな八ヶ岳の中心にあたる、夏沢峠から西へ100mほど下ったシラビソの樹林帯のなかに、オーレン小屋は建っている。登山口は長野県茅野市の「桜平」で、コースタイムは1時間20分ほど。硫黄岳や天狗岳などの山々や北八ヶ岳方面への登山の起点として、利用されることが多い山小屋だ。
オーレン小屋の大きな魅力は、ホールに薪ストーブがあること。元は囲炉裏があった場所なので、薪ストーブを囲んで腰を下ろすことができ、じっくり薪のはぜる音を堪能できる。ホールには、雑誌のバックナンバーや古書、絵本がそろう本棚「オーレン山の文庫」があり、薪ストーブのぬくもりを感じながら読書に没頭することも可能だ。
オーレン小屋には、薪ストーブで湧水を沸かした男女別の檜風呂もある。登山で疲れた人々に、“あたたかいひととき”を届けたい。山小屋の人々のそんな思いやりが、薪ストーブをとおして提供されているのだ。
地域の食材もふんだんに使用した手料理の数々
オーレン小屋のあたたかさは、山小屋で提供される食事からも感じることができる。夕食の名物は、馬肉すきやき「桜鍋」だ。引き締まった馬肉と新鮮な地元野菜をアツアツの状態でいただき、翌日の登山のエネルギーをしっかりチャージ可能。連泊時には、馬肉しゃぶしゃぶが提供されるという配慮もうれしいところ。
朝食は、栄養バランスを考慮した和定食が提供される。さらに山小屋定番であるボルシチほか昼食メニューもバラエティに富んでいて、立ち寄りの際も、オーレン小屋のスタッフのこだわりの手料理を味わうことができるのだ。
山小屋から目指すおすすめルート【オーレン小屋~硫黄岳 片道約1時間20分】
八ヶ岳の中心部にあるため、オーレン小屋を起点にすればさまざまな歩き方を楽しむことができる。1泊2日でも無理のないスケジュールで歩けるのが、標高2,760mの硫黄岳を目指すルート。山小屋から山頂まで3時間あれば往復できるので、1日目の午後や2日目の午前中を使って、歩くことができるのだ。
オーレン小屋の名前の由来が「ウスギオーレン」という高山植物であるように、硫黄岳など南八ヶ岳の山々は6~8月に多くの高山植物が咲き誇る。山小屋に不要な荷物をデポして、カメラと必要なだけの水分や行動食を持って、山を彩る高山植物の鑑賞や撮影をゆっくり楽しむ旅はいかがだろう。硫黄岳山頂付近にある「爆裂火口」は、可憐な花々とは対照的に荒々しい景観で、見ごたえ充分だ。
薪ストーブを囲み、人と人が集えるオーレン小屋。この「ほっ」とした空間での滞在をとおして、日常のストレスがスッと癒されるはず。八ヶ岳全山縦走を目指す健脚派にも、のんびり楽しみたい子連れファミリーにも、おすすめしたい山小屋だ。
オーレン小屋
http://www.o-ren.net/
・標高:2,330m
・営業期間:4月下旬~11月上旬
・宿泊料金(税込):1泊2食12,000円、素泊まり8,500円、お弁当500円(おにぎり2個)、キャンプ1泊2,000円(1名)
・入浴料金(税込):1,000円 ※テント泊利用者のみ(日帰り利用不可)
・電話番号:0266-72-1279(8:00~20:00)
・コロナ禍での確認事項:完全予約制、インナーシーツ要持参
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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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