モデル仲川希良の「絵本とわたしとアウトドア」#31 ベイビーレボリューション
仲川 希良
- 2023年01月17日
ところかまわずハイハイで突き進む姿に励まされる
自然のなかを歩くと心が整う、それは山に登る前から感じていたことでした。歩くという行為は頭でっかちな自分から解放してくれる。自然の摂理に目を留め、包まれながら、体と心をいっしょに動かすことで、何が自分に大切か、生き物として正しいか、気付かせてくれる。黙々と歩いたあとは疲れているはずなのに不思議と清々しく、むしろこれからもっとがんばれそうな、そんな力が湧いてくるような気さえします。
ハイハイをはじめた息子を眺めているときも、同じような力をもらっていました。生まれたときから公園の芝生の上に寝転がらせていたせいか、屋外でも自然にハイハイをしていた息子。芝生が土になっても、歩道のアスファルトになっても、おかまいなし。ときどき手を見つめてその感触の差に気づいてるふうではありましたが、体を傷つけるような痛みさえなければ、どこだって彼の行き先になるのだと知りました。真っ直ぐ前を見て、ハイハイとは思えないスピードで、どこまでもずんずん自分のままに進んでいく息子は、発光体のようにまぶしくて。手足を使って自ら進める、その喜びを体いっぱいで感じているのが伝わります。感じるというか、体全部が喜びそのものになっていた。
あなたはどこへだって行ける。行け!進め!……母としてその姿を応援しながら、励まされているのはじつは私自身でした。そういえば私だって、自分の意思で行く先を決められる脚を、持っているんだよなぁ。
絵本「ベイビーレボリューション」に描かれる赤ちゃんも、
「しゅうきょう じょうやく ほうりつ なんのことだか わからない まもなく せんそうちたいだ おかまいなしに すすんでく」
……赤ちゃんに国境など分かりませんから、
「みんなは そのすがたを みて きっと こころ かわるだろう みんな われに かえるだろう」……。
私のたったひとりのベイビーである息子はもう、ハイハイは卒業しましたが、今も真っ直ぐ心のままに、
今回の絵本は……
ベイビーレボリューション
文 浅井健一
絵 奈良美智
クレヨンハウス
あふれる純粋透明なパワーに、読むたび心奮い立たせられる。
モデル/フィールドナビゲーター
仲川希良
テレビや雑誌、ラジオなどに出演。登山歴は13 年目。里山から雪山まで広くフィールドに親しみ魅力を伝える。一児の母。著書に『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』
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仲川 希良
テレビや雑誌、ラジオ、広告などに出演。登山歴はランドネといっしょの12年。里山から雪山まで幅広くフィールドに親しみ、その魅力を伝える。一児の母。著書に、『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』
テレビや雑誌、ラジオ、広告などに出演。登山歴はランドネといっしょの12年。里山から雪山まで幅広くフィールドに親しみ、その魅力を伝える。一児の母。著書に、『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』