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【いつか泊まりたい山小屋#34北アルプス・湯俣温泉 晴嵐荘】名峰に囲まれた渓流沿いの秘湯宿へ

「あの山小屋に泊まってみたい」。そんな憧れが、山へ向かうきっかけになることもあるはず。本連載では、立地や食事、山小屋の主人やスタッフの人柄など、その山小屋ならではの魅力にスポットを当てながら、ランドネ編集部おすすめの山小屋をご紹介。34軒目は、槍ヶ岳北麓の渓流沿いに建つ、湯俣温泉 晴嵐荘をピックアップ。

山奥の山小屋で河原から噴き出す天然温泉を堪能

▲晴嵐荘のある湯俣温泉へは、この高瀬ダムから歩いて片道約3時間。高瀬ダムまでは、七倉山荘駐車場から専用タクシーに乗り換える必要あり。

槍ヶ岳、大天井岳、燕岳、鷲羽岳と、深田久弥氏の『日本百名山』に選ばれている北アルプスの名峰にぐるりと囲まれた高瀬渓谷。この深い谷には「湯俣温泉」と名付けられた温泉地があり、2軒の山小屋が建っている。ひとつが2023年に営業再開を予定している「湯俣山荘」、もうひとつが今回ご紹介する「湯俣温泉 晴嵐荘」だ。

真砂岳で裏銀座縦走路と合流する竹村新道のスタート地点であるこの場所は、天然の温泉に浸かれる山小屋として、湯俣山荘とともに古くから登山者たちの癒し処であり続けてきた。山小屋周辺の河原のそこかしこから温泉が湧き出ているうえ、山小屋から少し歩くと石灰華が堆積した噴湯丘を見ることもでき、山奥の温泉地ならではの独特な景観を楽しめる。

渓流の目の前に建つこと、河原にキャンプ場があること、登山口からほぼアップダウンなくたどり着けることなどから、晴嵐荘には槍ヶ岳のバリエーションルートを目指す玄人の登山者だけでなく、キャンパーや釣り人といった多様な人々が訪れている。

▲湯俣川と水俣川の合流点にある広い河原に建つ晴嵐荘。河原にはキャンプ場も。山小屋の前に架かる橋は、台風などにより壊れて何度も修復されてきた。
▲温泉ならではの暖簾をくぐると、その先にはお待ちかねの温泉が。
▲浴室は男女別に用意され、それぞれに単純硫化水素泉の温泉がたっぷり注がれた浴槽がある。
▲山小屋から湯俣川沿いを上流に向かって少し歩くと、国の天然記念物に指定されている噴湯丘にたどり着ける。石灰華が河床に堆積し、もり上がって形成されたもの。

帰りたくなくなる魅力的なサービスの数々

▲山側に大きな窓が設えられた、明るい食堂。

温泉に留まらず、晴嵐荘はグルメをはじめとするサービスが充実。夕食のスパイスカレーも人気だが、ランチにはエスニック料理を中心としたメニューが並ぶうえ、シーズン中にたまにしか提供されない自家製の魚介出汁と太麺にこだわったラーメンもある。夜にオープンするバーに、種類豊富なお酒が取り揃えられているのも魅力的。さらに2,000円で七厘のレンタルが可能なので(炭付き、要予約)、アルプスに囲まれた絶景のロケーションのなか、山小屋の前の河原でバーベキューを楽しめる。

滞在時にはぜひ晴嵐荘のサービスを利用しながら、ほかにはない山奥での特別な時間を味わい尽くしてほしい。

▲山小屋に宿泊すると、夕食に特製スパイスカレーをいただける。ホールから挽いてブレンドしたこだわりのスパイスが自慢。ご飯が噴湯丘のように盛り付けられているのもポイント。
▲ガパオ風ライス、ル―ローハンなどこだわりのランチメニューが並ぶ。夜になると、ウィスキー、カクテル、ビールとお酒が豊富に用意されたバーが出現。

山小屋から目指すおすすめルート【湯俣温泉 晴嵐荘~竹村新道の展望台 片道約40分】

▲竹村新道の展望台から南に振り返ると、深い渓谷の先に槍ヶ岳が見える。手つかずの自然が残る竹村新道では、チョウセン五葉松などの珍しい植生や、運が良ければライチョウやヤマネにも出会える。

晴嵐荘からは竹村新道を登った先にある湯俣岳が最寄りのピークになるが、急登なので健脚向けのコース。おすすめしたいのは、竹村新道の途中にある展望台だ。山小屋から片道40分ほどでたどり着くことができ、南側に槍ヶ岳を一望できる。

もっとのんびり散策を楽しみたい人には、晴嵐荘から片道15分ほどの場所にある噴湯丘までのコースがおすすめ。川の一帯で温泉が湧いていて、温泉卵を作って遊ぶこともできる。噴湯丘の近くに行くには渡渉する必要があるので、水量が多いときには対岸から眺めるようにしよう。

▲山小屋周辺には小さな沢がたくさんあり、片道1時間ほど歩くと大きな滝にも出合える。具体的な行き方はスタッフが教えてくれるそう。濡れてもいい服や沢靴等を用意して目指してみよう。

北アルプスで人気の高い山々に囲まれながらも、秘境ともいえるような山深く静かな渓谷に佇む晴嵐荘。ダイナミックな自然を感じに、温泉グッズを持って目指してみては。

湯俣温泉 晴嵐荘
http://seiransou.com/
・標高:1,534m
・営業期間:7月上旬~10月中旬
・宿泊料金(税込):1泊2食12,000円、素泊まり8,000円、テント泊1人1張2,000円~
※2022年時点の料金。
※個室利用は3畳+3,000円、6畳+6,000円
・電話番号:090-5535-3667
・コロナ禍での確認事項:完全予約制、個室あり、マスクを要持参

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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