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エネルギーを生む大事な栄養素!「脂質」の働きや効果的な摂り方を知ろう

2019/11/19

脂質はエネルギー源だけでなく、ホルモンの材料にもなる栄養素

エネルギー源となる三大栄養素のうちで、最も効率がよく優秀なエネルギーが脂質です。食べ物を思い浮かべても、肉の脂はもちろん、脂がのった旬の魚はとても魅力的です。ところが、体脂肪が増える、血液がドロドロになる…などと言われ、何かと避けられがち…。脂質は、何かと複雑な思いで見られがちですが、エネルギー源になるだけでなく、体の機能を整えるために欠かせない大切な栄養素。種類や働きを正しく理解し、上手に取り入れる方法を見つけましょう。

脂質の主な働き

1.エネルギー源になる

脂質は1g=9kcalと高カロリー。糖質、タンパク質が1g=4kcalだから、その倍以上のエネルギー効率!体にとっては、少量で高エネルギーを生み出せる優秀なエネルギー源です。そのためかどうかは定かではありませんが、哺乳類は本能的に脂質を好む傾向があるようです。たとえば、人間が脂がのったお肉や魚を好み、脂肪分が高いアイスクリームやマヨネーズを美味しいと感じるように、ラットやマウスもただの水よりオイルを混ぜた水を好んで飲むことが実験結果から判明しています。自分で体温を作り出して活動する生き物にとって、脂質は熱を生み出し活動をするために欠かせないエネルギー源なのです。

2.エネルギー源として体に貯蔵

体内に吸収された脂質は、エネルギー源として使われますが、余ったぶんは体脂肪として体内に蓄えられます。その量は無限!摂り過ぎると肥満を引き起こすので、摂取消費カロリーとのバランスに注意が必要です。

3.胞膜の材料となる

私たちの体は約60兆個もある細胞でてきでいます。筋肉も肌も髪もすべて細胞が集まってできたものです。その細胞ひとつひとつを区切る細胞膜は、すべて脂質の一種であるコレステロールを主な材料にして作られています。これは、脂質は水を弾くため、細胞の内外に必要以上に水分が出入りしないようにする重要な仕組みです。特に脂質は、脳細胞に最も多く含まれていることから、細胞レベルで、脂質は重要な役目を担っていることがわかります。

4.ホルモンの材料となる

脂質の一種であるコレステロールは、体の機能を調整するホルモンの材料としても欠かせません。特に、女性ホルモン、男性ホルモン、免疫に関わる副腎皮質ホルモンなどの重要な構成成分です。

5.胆汁酸の材料となる

コレステロールは、食事で取り入れた脂肪などの消化吸収を助ける胆汁酸の材料にもなります。胆汁酸は肝臓でコレステロールを材料に作られ、十二指腸に分泌。腸内で脂肪の吸収を促進させる役目を担っています。

6.脂溶性の栄養、成分の吸収を助ける

β-カロテン(ビタミンA)、ビタミンE、ビタミンD、ビタミンKなど脂溶性の栄養素、成分はそのままでは体に吸収されにくい状態ですが、脂質に溶かすことで吸収率がアップ。脂と脂は溶け合う性質があるため、コレステロールを材料にして作られた細胞膜を通過しやすくなるためです。

知っておきたい脂質の種類

1.中性脂肪

食品の中に最も多く含まれる。エネルギー源として利用され、過剰分は体脂肪として蓄えられる。

2.コレステロール

細胞膜、胆汁酸、ステロイドホルモンなどの材料として利用される。

3.脂肪酸

構造によって色々な種類に分類される。

飽和脂肪酸
摂り過ぎると肝臓でコレステロールの合成が高まり、血中コレステロール値を上昇させる。
主な食材:肉の脂身、ラード、牛脂、ココナッツオイル、バターなど

不飽和脂肪酸
【一価不飽和脂肪酸】
・オメガ9(オレイン酸)…動脈硬化の原因となる悪玉(LDL)コレステロールを減らし、動脈硬化の防止に役立つ善玉(HDL)コレステロールはそのまま維持させる性質がある。多価不飽和脂肪酸より酸化されにくい性質を持つ。
主な食材:オリーブオイル、菜種油、米油、アーモンド油など

【多価不飽和脂肪酸】
・オメガ6(オレイン酸)…コレステロールを下げる働きがあるが、摂りすぎると善玉(HDL)コレステロールを下げたり、動脈硬化、アレルギー疾患の悪化などを引き起こす可能性も。
主な食材:ごま油、紅花油、コーン油、グレープシードオイルなど

・オメガ3(α-リノレン酸)…中性脂肪を減らし、動脈硬化の防止に役立つ善玉(HDL)コレステロールを増やしたり、動脈硬化を防ぐ効果が期待できる。
主な食材:青魚の脂、エゴマ油、アマニ油など

脂質が不足すると…

極端なダイエットや摂食障害によって脂質が不足すると、筋肉量、骨量の低下が起こります。また、細胞膜やホルモンの材料となることから、不足するとあらゆる機能の低下につながります。肌荒れ、抜け毛といったわかりやすい症状だけでなく、疲れやすくなったり、風邪を引きやすくなるなどの症状も出やすくなります。

脂質は、上記のように脂肪酸の種類によって分類されており、バランスよく摂ることも大切。日本人は、特にEPAをはじめとするオメガ3(n-3系脂肪酸)が不足、植物油などに多く含まれるオメガ6(n-6系脂肪酸)を摂り過ぎる傾向があります。脂肪酸バランスの乱れは、肥満や高脂血症、脳血管疾患など生活習慣病発症の原因の一つ。オメガ3は、こうした脂肪酸バランスの乱れを整えてくれるので、青魚やアマニ油、エゴマ油などを意識して摂るよう、心がけましょう。

脂質を含む主な食材

オリーブオイル、ごま油、菜種油、ココナッツオイルなどの調理油のほか、脂身の多い肉、ラードや牛脂、バター、乳製品のほか、マヨネーズやオイル入りのドレッシングも脂質が多い食材です。写真で紹介した食材以外にも、アマニ油やエゴマ油、くるみ、サンマやサバなど青魚の脂には、血液サラサラ作用のあるオメガ3が多く含まれています。

脂質の効果的な摂り方

脂質は摂り過ぎると肥満や高脂血症、動脈硬化、心筋梗塞、脳血管疾患などの原因となります。美味しさの誘惑に惑わされず、適量を摂ることが大切です。特に肉の脂身やバター、生クリームなどの乳脂肪分は高コレステロールの原因になるので、摂り過ぎはNG!また日本人が特に摂り過ぎる傾向にあるコーン油や紅花油などのオメガ6は控えめにし、不足しがちなオメガ3を強化しましょう。肉食、洋食、揚げ物をよく食べる人は、焼き魚や刺身、煮魚など、和食を食べる回数を増やすだけでも効果的です。

もう一つ注意したいのが、マーガリンやサラダ油など、化学処理によって油を精製する際に発生する「トランス脂肪酸」です。トランス脂肪酸は摂取し続けると、悪玉(LDL)コレステロールが増加し、善玉(HDL)を減少させるなど、健康への悪影響が指摘されており、WHO(世界保健機構)は、2023年までに排除を目指すという目標を掲げています。海外では表示義務や規制が設けられている国もありますが、日本では今のところ規制はありません。加工品を購入する際はパッケージをチェックし、不明な油脂が含まれている場合は避けるのが賢明です。

撮影:藤村のぞみ(トレイにのった食材集合カット)
ライター:藤岡操(栄養士)

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