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初心者のためのピラティスの基礎知識。基本のポーズから服装まで

ピラティスのこと、知ってますか?

多くのハリウッドセレブたちが実践するワークアウトとして一躍脚光を浴び、日本でも大ブームとなった「ピラティス」。最近、ピラティスブームが再燃し、ピラティスを始めたいという人や、スタジオが増えています。今回は、モデルでピラティスインストラクターの熊澤枝里子さんに、ピラティス初心者のための基礎知識を、わかりやすく解説していただきました!

ピラティスを行うことで得られる効果や、ヨガとの違い、基本の動きなど…。ピラティスの奥深さを知れば、ピラティスがもっと魅力的に、効果的に感じられるはずです。

ピラティスってなに?

―まずはピラティスの発祥を教えてください。
kumakoさん/ピラティスとは、ドイツ人のジョセフ・ピラティスが提唱したエクササイズメソッドで、もともとは第二次世界大戦で負傷した兵隊さんのリハビリのために考案されたものなんですよ。

―リハビリのためとは、ちょっと意外でした!
kumakoさん/ピラティスと聞くと、マットを使ったエクササイズをイメージする方が多いようですね。でも、本来のピラティスは専用器具を使用して行われてきたエクササイズで「マシンピラティス」と呼んだりもするんです。これは、ジョセフ・ピラティスが、負傷兵が寝ているベッドにバネなどを付けてリハビリをしたことが発祥となっています。

―つまり、ピラティスのメソッドは医学的根拠に基づいたものということですか?
kumakoさん/はい。ピラティスは「解剖学」に基づいて考案されています。そのため、ピラティスの動きは、「筋肉のこの部分を動かすと、連動してこの部分も動く」など、体の各パーツの連動性や、筋肉と骨のバランスを感じられるもの。感覚とロジカルの両面から体の使い方を覚えられることが、ピラティスの大きな魅力だと思いますね。

―最近では、ダイエット目的でピラティスに取り組む人も多いようですが。
kumakoさん/ピラティスの本来の目的は、骨や筋肉のバランスをとり、「体を整えること」。もちろん、自然と体もシェイプされていくので、体のラインを整え、美しくする効果もあります。

―効果はどのくらい続けると体感できるようになりますか?
kumakoさん/個人差はありますが、週に1~2回のペースで3カ月くらい行うと、ピラティスがどういうものかがわかるようになってくると思います。次第に、「体はこうやって動かすんだ」「これが体の正しい動かし方なんだ」と、納得しながら体を動かせるようになるはずです。

ピラティスとヨガは違うの?

ー「ヨガは古代インド発祥で、鼻から吸って、鼻から吐き、体をストレッチをするようなポーズをつくるメソッドである」。ヨガに関してはこのあたりまでは知っているのですが、ピラティスはヨガと大きく変わるところはあるのでしょうか?
kumakoさん/先ほどもお話しさせていただきましたとおり、ピラティスは、解剖学がベースとなっています。私自身はヨガの専門家ではないので、ヨガに関して多くを語ることは控えさせていただきますが、ここは大きな違いかと思います。

ーピラティスもヨガ同様、呼吸がすごく重要な要素ですよね?
kumakoさん/そうですね。ただしピラティスの場合は、「鼻から吸って、口から吐く」のが一般的な呼吸法と言われています。

ー体の動かし方も違うのでしょうか?
kumakoさん/ピラティスは、ポースをつくるというよりは、呼吸に合わせて体を動かし続けるというイメージですね。

ピラティスの効能

―ピラティスには具体的にどのような効能があるのでしょうか?
kumakoさん/正しい体の使い方を体得することで、腰痛などの痛みのトラブルや、スポーツ障害を防ぐことも可能となることが最大の効能ではないでしょうか?

―痛みのトラブルが防げる理由は?
kumakoさん/体に痛みが出るということは、体のどこかにズレがあり、体が正しく使えていない証拠です。間違った動きのクセを治さないままでいると、当然、腰やヒザが痛くなったりします。ピラティスを行うと、体にさまざまな不調をもたらす動きのズレを修正していくことができるのです。実際、ケガの予防、パフォーマンスの向上を目指してピラティスに取り組むダンサーやアスリートは多いようです。

―それほど、ピラティスには体を整える力があるということですね。
kumakoさん/そうですね。それに、体の奥深くにある筋肉まで動かし、刺激を与えることができるというのも、ピラティスの効能といえます。体の奥深くにある筋肉は、体を正しく動かすうえで支えとなるとても大切な筋肉です。ピラティスで体の奥深くにある筋肉を鍛えることで、骨と筋肉のバランスがとれ、体のズレも修正することができるようになります。

―ヨガは瞑想をしたり、心の部分へのアプローチもするというイメージですが、ピラティスにはそういったアプローチはあるのでしょうか?
kumakoさん/「考えながら動くことで、脳に体の動きを教育できる」。これもピラティスの大きなメリットなんです。呼吸、骨や筋肉の動きに意識を集中することで、マインドフルな状態に心は導かれます。その結果、心と体をリラックスさせることができるのです。そのため、イライラしやすい、ストレスがたまりやすいという人には、ピラティスは最適のメソッドといえるのではないでしょうか。

初心者のための基本テクニック

―ピラティス初心者がまず重きを置くべきポイントは?
kumakoさん/まずは呼吸が正しくできるようになることが大切です。ピラティスにおいてもっとも重要なのは呼吸だからです。呼吸は、筋肉や骨と脳との連携をスムーズにするための懸け橋のようなものと考えてください。呼吸が動きと正しく連動できていないと、体の微小な動きを脳が感じ取ることができなくなってしまいます。はじめは正しく動くことよりも、呼吸が動きと正しく連動できているかに集中しましょう。また、正しい姿勢を身に着けることも重要なので、まずは基本中の基本である、正しい立ち姿勢からマスターするのがいいのではないでしょうか。

呼吸法の基本

胸と背中の動きを強く意識して、息を吸う時には胸や背中が膨らんでいるかをしっかり確認してください。また、息を吐く時は、下腹部をベルトで絞めるようなイメージでしっかり吐ききるようにしましょう。

基本の立ち姿勢

体を真横から見た時、「耳」「肩」「腰骨の横の出っ張った部分」「ヒザ」「くるぶし」の5点が一直線になった状態が正しい姿勢です。

初心者のための基本のポーズ

kumakoさん/では、数あるピラティスのなかから、今回は「基本」といわれる4つのポーズをピックアップしてみました。ピラティスを始めたばかりという方でもやりやすい動きのものばかりです。また、基本姿勢や、動きと呼吸との連動性が覚えやすいことも初心者のみなさんにオススメしたい理由です。

ペルビックカール
5セット


1:仰向けになりヒザを立てる。足を平行に置き、ヒザと足はげんこつ1つ分開く。骨盤の横に出っ張っている骨と恥骨を結んで三角形を作り、その三角形を床と平行にする(ニュートラルな状態)。アゴを引き、手は体の横に置き、手のひらは下に向ける。


2:息を吸って準備。息を吐きながら、背骨を下から1つずつ、肩からヒザまでが一直線になるまで持ち上げる。上げきったら、息を吸ってキープ。息を吐きながら1のニュートラルポジションに戻す。

ポイント
1.背骨を滑らかに動かすことを意識する。
2.背骨を下(尾骨)から順番に1つずつ持ち上げる。
3.お尻の位置をキープする。
4.ヒザ位置に注意。外側や内側に倒れないようにする。

ヒザと足はげんこつ1つ分開く


スパインツイストスーパイン

左右各5セット


1 : マットの上に仰向けになる。手のひらを上に向け、両腕をアルファベットのTの字に開く。両脚を揃え、ヒザ、股関節を直角に曲げ、床とスネが平行になるまで持ち上げる(テーブルトップのポジション)。


2:息を吸いながら、肩と胸が浮かないところまで、両脚を片側に倒していく。ヒザを閉じて両ヒザの高さが変わらないように。肋骨から下を動かすことを意識する。倒しきったら、息を吐きながら1のテーブルトップのポジションに戻る。もういっぽうも同様に行う。

ポイント
1.背骨を下から順番にねじっていく。
2.お腹の脇の筋肉(腹斜筋)を使うことを意識する。
3.両脚を倒した時、肩と胸が浮かないように注意する。
4.脚を閉じたまま動かし、ヒザの高さがズレないように注意する。

左の写真はヒザの高さがズレているのでNG。右の写真はヒザの高さがズレていないのでOK!

肩が浮かないように注意!

NG

スパインストレッチ
5セット


1 : 両腕と両脚を前に伸ばし、手のひらは内側に向ける。足首の角度が直角になるようにカカトを立てる。坐骨を立てて座り、息を吸って準備。


2 : 息を吐きながら、首の付け根から背骨を上から順に前に倒していく。体を倒しきったところで息を吸いキープ、息を吐きながら、背骨を下から順に戻していく。

ポイント
1.坐骨を立てる。体勢がきつい場合は、ヒザを曲げてもいいので座骨を立てることを優先する。
2.体を倒す時には、背骨を上から順番に、1つずつ倒していく。
3.体を戻す時には、背骨を下から順番に、1つずつ戻していく。
4.上半身を前に倒した時、背骨のCカーブ(上半身で「C」の字を作るようなイメージ)をキープする。

坐骨を立てる姿勢をマスターしよう

OK

前に倒しすぎ

後ろに倒しすぎ

ロールアップ
5セット


1 : 両脚を伸ばして仰向けになる。手のひらを内側に向け、両腕を真上に伸ばし、足先から指先までを一直線にする。


2 : 息を吸いながら、手と頭を一緒に起こして、胸椎が上がるところまでアップ。


3 : 息を吐きながら、お腹を縦に縮めるようにして体を起こしていく。背骨のCカーブを維持したまま(頭が骨盤の上にあるところ)息を吸いキープ。息を吐きながら背骨を下から順にマットに下ろしていく。

ポイント
1.お腹を縦に縮めながら体を起こしていく。
2.ヒザを曲げ、腿裏を持ってもいいので、お腹を縦に縮めるイメージで腹筋を使って体を起こす。
3.体を起こす時にも背骨のCカーブを維持する。
4.体をおろしていく時もCカーブを維持したまま、腹筋を使いながらおろしていく。

体を起こせない人は、腿裏をつかんでOK

服装の注意点

―ピラティスを行う時には、どのようなウエアを着用するのがオススメですか?
kumakoさん/なるべく体のラインがわかるウエアがオススメです。ゆったりしたものだと、正しい姿勢などが意識しづらくなります。また、スタジオでレッスンを受ける場合でも、体にフィットしていないウエアを着用していると、先生が骨盤位置の間違いなどを指摘しづらくなってしまいます。

スタジオから始めるのがオススメ

―やはり最初はスタジオに通ってほうがいいでしょうか?
kumakoさん/まったくピラティスを行ったことがないという方は、スタジオに通い、呼吸法や正しい動き方を学ぶことからスタートするのがオススメです。スタジオで指導を受けたほうが時間の節約にもなると思いますし、ピラティスのもつ効果も余すことなく得られるのではないでしょうか?

―グループよりパーソナルのほうがいいでしょうか?
kumakoさん/パーソナルのほうが上達は早いとは思いますよ。でも、最初からパーソナルってちょっと敷居が高い感じがしちゃいますよね。だから、はじめはグループでも十分だと思います。

監修&モデル:熊澤枝里子/kumako
レプロエンタテインメント所属。モデル/ピラティスティーチャー/美容薬膳家。18歳の時に雑誌『CanCam』の専属モデルとしてキャリアをスタートさせる。旅番組『旅サラダ』の旅サラダガールとしてレポーターや、CM、舞台など多数出演。モデル業の傍ら、ピラティスインストラクター資格(マシン/マット)と薬膳の資格「国際中医薬膳師」を取得。「よく寝て、よく食べ、よく動く」をモットーに「身体の中と外から健康的に美しく」を心がけている。

ライター:楠田圭子

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