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熱中症に気をつけて!夏のトレーニング前に知っておきたい予防と対策

トレーニング女子は特に知っておくべき「熱中症」のこと

暑い夏に注意したいのが熱中症です。トレーニングする女子にとって夏の敵ともいえる熱中症は、気温のみならず湿度の高さまで加わることでリスクが高まります。水分補給を忘れてしまったり、体温が上昇しやすいトレーニング。体の異変を感じたらすぐに対処してください。熱中症とは何か、どんな状況で、どんな人に起きやすいのかをきちんと知ることが大切です。正しい知識を理解し身につけて、上手に夏を乗り切りましょう。

 

熱を逃がす機能不全で熱中症が発生!

熱中症とは、高温・多湿の環境に対して、体が適応できず体温がうまく調節できなくなることで高体温となり、その結果、さまざまな臓器が障害を受けることによって発症する疾患の総称です。

熱中症を予防するには、体内で発生した熱の過剰分を体外へすみやかに逃がす機能=体温調節機能を正常に保つことが必要です。そして、余分な熱を体外へ逃がすうえで大きな役割を果たすのが、汗と血液です。体温が上昇して汗をかくと、体は体内の熱を利用して気化熱を発生させて汗を蒸発させます。汗の蒸発とともに、上昇した体温が下がっていくのです。

いっぽう、全身を流れる血液は、内臓などの体の奥深くで発生した熱を拾います。熱くなった血液は体表の皮膚の毛細血管へ流れ、その熱を体外に放出して血液の温度を下げていきます。そして、冷えた血液が再び体の奥に戻っていくことで、体の内部の体温は下がります。

体内の水分が不足して十分な汗がかけなくなったり、血液の粘度が高まり、ドロドロになって血の巡りが悪くなると、体温調節機能が働かなくなってしまいます。その結果、体内で発生した熱は体外に放熱されずに、体内にこもってしまい、異常な高体温(うつ熱)状態に陥ることに……。そして、さまざまな症状が現れることになります。

 

「熱中症」に分類される4つの健康障害

【熱けいれん】
発汗量が急激に増え、血中の塩分(ナトリウム)濃度が低下した時に発症します。

おもな症状
・足のつり(こむら返り)
・筋肉のけいれん
・手足のしびれ
・筋肉の硬直
・筋肉痛

【熱射病】
体温が異常に上昇し、高体温(うつ熱)状態となり、中枢機能に異常をきたした時に発症します。

おもな症状
・体温が高い(40℃前後だったら大至急、救急車を)、
・呼びかけ、刺激への反応が鈍い
・意識がはっきりしない
・言葉が不明瞭、ふらついている

【熱失神】
皮膚の血管が拡張することにより血圧が低下。脳への血流が減少することで発生します。

おもな症状
・めまいや立ちくらみ
・顔の異常なほてり
・顔面蒼白

【熱疲労】
大量に汗をかき、水分の補給が追いつかなくなると発生する症状です。体が脱水状態になることが原因で発症します。

おもな症状
・全身の倦怠感
・嘔吐
・頭痛

 

定期的に熱中症予防情報をチェック

運動時には暑さ指数速報と天気予報は必ずチェックしましょう。暑さ指数 (WBGT)とは、体温の変化に影響する大きな要因となる、気温、湿度、輻射熱(グラウンドからの日差しの照り返しなど)の3つを計測して熱ストレスの度合いを算出した指数です。湿球黒球温度(Wet-bulbGlobeTemperature)指数とも呼ばれています。指数が高いほど、熱ストレスが高く、熱中症の危険も指数の上昇に比例して高くなります。

暑さ指数では、4段階の注意レベル(注意、警戒、厳重警戒、危険)が表示されます。この指数は、「環境省熱中症予防情報サイト」の「暑さ指数速報(全国約840地点で計測)」でチェックできるため、毎日チェックすることを習慣づけ、外出時は十分な水分を持参する、日傘を持つ、熱中症対策アイテムを準備するなどの対策をとりましょう。

暑さ指数速報は、深夜0時まで、3時間ごとに情報が更新されるため、就寝前にもチェックすると、就寝中に発生する熱中症も防げます。また、屋外で運動することを予定している場合は、暑さ指数速報と天気予報の事前チェックは必須です。たとえば、天気予報で35℃以上の猛暑日の予報や、暑さ指数速報で危険という注意喚起がされている日には、運動は中止しましょう。30℃以上の真夏日でも、できる限り中止するのが安全確保のうえでは望ましいといえます。

 

運動に関する指針

運動は熱中症のリスクを高める最大要因の一つです。運動に夢中になりすぎるあまり、水分補給を忘れてしまうことも熱中症のリスクを高める原因となります。とくに、子どもは要注意です。気温に関係なく、保護者は子どもから目を離さず、定期的に声がけをして水分を補給させる時間を設けるようにしましょう。また、気温の上昇が著しい場合には、すぐに運動を中止してください。判断の遅れは危険です。

【気温が35℃以上】

暑さ指数(WBGT):31℃以上

運動は原則中止。特別の場合以外は運動を中止しましょう。とくに子どもの場合には中止すべきです。

【気温が31℃~35℃】

暑さ指数(WBGT):28℃~31℃

厳重警戒(激しい運動は中止)。熱中症の危険性が高いので、激しい運動や持久走など、体温が上昇しやすい運動は避けましょう。10〜20分おきに休憩をとり、水分・塩分の補給を行ってください。暑さに弱い人(体力の低い人、肥満の人や暑さに慣れていない人など)は運動を軽減または中止しましょう。

【気温が28℃~31℃】

暑さ指数(WBGT):25℃~28℃

警戒(積極的に休憩)。熱中症の危険が増すので、積極的に休憩をとり、適宜水分・塩分を補給しましょう。激しい運動では、30分おきくらいに休憩をとるようにしてください。

【気温が24℃~28℃】

暑さ指数(WBGT):21℃~25℃

注意(積極的に水分補給)。熱中症による死亡事故が発生する可能性があります。熱中症の兆候に注意するとともに、運動の合間に積極的に水分・塩分を補給しましょう。

【気温が24℃未満】

暑さ指数(WBGT):21℃未満

ほぼ安全(適宜水分補給)。通常は熱中症の危険は小さいですが、適宜水分・塩分の補給は必要です。市民マラソンなどでは、この条件でも熱中症が発生するので注意してください。

※引用 : 環境省 熱中症予防サイト

 

見守り、声がけが大事!熱中症の重症度とは?

熱中症の悪化を食い止めるためには、できるだけ早く体の異変に気づくことが必要です。まだ軽度の段階で適切な対処をすれば、体力がある人なら20〜30分程度で回復し、健常な状態に戻ることができます。早期の気づきと、適切な対処が熱中症から体を守り、重篤化を防ぐ第一の策といえるのです。

ここでは、熱中症の重症度を判別する指針を紹介します。自分の体を守るだけではなく、家族や友人などを守るうえでも知っておけば非常に有用な知識です。

気をつけたいのは、めまい、立ちくらみや大量の汗、こむら返り、頭痛といった症状が発生した場合です。これらの症状は、日常生活のなかでも起こりうるものだからです。とくに、頭痛もちだったり、貧血気味で立ちくらみをすることが多々ある、普段から汗っかき……というような人たちは、その症状の原因が熱中症であったとしても、「いつものこと」と、初期症状を見逃がし、処置が遅れがちです。

いつもの症状であっても、それが炎天下や高温多湿の環境下で起こったのであれば、「いつもとは違うかもしれない」と考え、水分を補給する、涼しい場所に移動する、しばらく体を休ませるといった対策をとりましょう。とにかく、熱中症を疑う症状が発生したら、焦らず冷静になることが大事です。

 

熱中症を疑うべき典型的な症状

  • 立ちくらみ、めまいがする
  • 大量の汗をかいている
  • 急に筋肉痛になる
  • 筋肉の硬直(こむら返り)が発生する
  • 39℃以上の高熱がある
  • 一時的に意識を失う(失神)
  • 頭痛がする
  • 嘔吐、吐き気をもよおす
  • ひどい倦怠感、虚脱感がある
  • 体に触ると熱い
  • 皮膚が異常に乾燥している
  • 集中力の低下、判断力の低下が顕著になる
  • 体がけいれんしている

 

熱中症予備軍「かくれ脱水」の早期発見へ

「かくれ脱水」は熱中症の前段階です。熱中症のように顕著な体調不良や、目に見える症状が現れることはほぼ皆無なので、かくれ脱水に陥ったとしても日常生活において支障を感じるような症状はいっさい発生しません。そのため、かくれ脱水に気づける人はほぼ100%いないといっても過言ではないでしょう。

実はここがかくれ脱水の怖いところです。かくれ脱水が進行すると、慢性的に体内の水分量が不足した状態になります。それが続くと、皮膚が異常に乾燥したり、汗をかきにくくなったりと、体に異変が現れます。しかし、日常生活には支障がないので放置しがちです。そして、急に猛暑日となり大量の汗をかいたりすると、あっという間に熱中症になってしまいます。つまり、かくれ脱水に陥った人は熱中症予備軍といえるのです。

自覚症状がない、かくれ脱水を早期に発見するには、トイレに行く回数と尿の色のチェックが有効です。膀胱のサイズにもよりますが、健常な成人の平均的な排尿回数は1日5〜8回です。この回数以下のことが多い場合は、かくれ脱水を疑ってもいいでしょう。

また、尿の色は薄い黄色であることが理想です。尿の色が濃い茶色だったりした場合は、かくれ脱水の可能性が高いと考えましょう。

かくれ脱水のチェックポイント

  • 普段、あまり水分をとらない
  • 食事量が少ない
  • 飲酒量が多い
  • 夏バテ気味
  • 脚がつりやすい
  • めまい、立ちくらみ、ふらつくことが多い
  • 体がだるい
  • 皮膚が乾燥しやすい
  • 首筋がいつもベタついている

尿の色でチェックする脱水状態

排尿をした時は必ず尿の色をチェックする習慣をつけましょう。尿の色が4より濃いようなら、水分を多めにとりましょう。

 

体温調節をサポートする衣服で熱中症対策

熱中症の予防で忘れてはいけないのは、衣服です。直射日光を遮るために帽子を被ることはもちろんのこと、素材や色、デザインにも気をつかうことで熱中症の危険を大幅に減らせます。素材は、綿、麻、ポリエステルなどの通気性や速乾性の高いものを。ただし、綿は汗を吸いやすい反面、汗冷えしやすいため、汗をかいたらできるだけ早く着替えることも必要です。帽子もメッシュ素材など、通気性のいい素材を使ったものにしましょう。

色は、外の熱を吸収しにくい白か淡い色のものを選びましょう。黒などの濃い色は熱を吸収しやすいうえ、熱を吸収した服と肌がこすれ合うことで熱の「伝導」が発生するため、体温が上昇しやすくなります。デザインは体を締めつけないものがおすすめです。ゆったりしたものを着ることで、服と体の間を風が通るようになり、汗が蒸発して効率的に体温を下げることができます。タイトなスキニージーンズなどは、気温、湿度が高い日は避けてください。

運動時や発汗量が多いことが予想される時は、吸汗(湿)・速乾性という機能がついた素材を使った衣服を着ると安心感が高まります。吸汗(湿)・速乾機能のついた衣服は、汗を素早く吸収して乾かす機能に優れた素材です。スポーツウエアには多用されています。

ただし、汗が長く肌にとどまると気化熱で体温が下がりすぎてしまうため、吸汗・速乾機能を使った衣服であっても、運動後にはそのまま着続けず、すみやかに着替えてください。

 

衣服選びのポイント

・炎天下で活動をする場合は、薄手の白っぽい衣服を着用し、通気性のよい帽子を被りましょう。

・外出時には、照り返しの熱を防ぐために日陰を作る内側が黒っぽい日傘や、衣服は太陽の熱を吸収しづらい白や薄い色の服を着ましょう。

・衣服内の風の流れをよくして皮膚からの熱の放散を促すため、体にぴったりフィットした衣服ではなく、少しゆるめの衣服を着ましょう。

 

夏のトレーニングには熱中症をしっかりと理解し予防することが大切です。どういう時にどんな対策をするべきか知っておきましょう。

 

出典:『医者が教える熱中症対策』
監修:伊藤重範
ライター:YOLO編集部

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