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腸内フローラって何? 腸内環境を改善すれば体が変わる

腸内フローラって何?


私たちの体はおよそ37兆個の細胞でできていると言われており、お腹の中にはその3倍近い100兆ものバクテリア(細菌)が棲んでいます。そのバクテリアたちの種類はなんと数百種類以上!そしてこの腸内のバクテリアたちのまとまりは、その様子をいろいろな草花が咲き乱れている自然のお花畑にたとえ「腸内フローラ(花畑)」と呼ばれています。

腸内フローラを整えることで、がんや糖尿病、うつや潰瘍性大腸症候群、肥満や風邪にまで関係すると言われています。熱い視線が注がれる腸内フローラですが、きっかけは2015年に放送された「NHKスペシャル」の腸内フローラ特集だったかもしれません。急にブームになったように思えますが、実は日本での研究の歴史は長く、1950年代から東京大学の光岡知足教授たちが腸内細菌の分類研究学を進めていました。

時代とともに様々な健康法やダイエットがブームとなりますが、実際にその方法で健康になった・痩せたとしても、10年後の健康を損なうようではあまりよい方法ではありませんよね。腸内フローラの研究は、検証や実験をともなう医学の最先端であり、病気を予防する方法。長い目でみた健康につながっているのです。

善玉菌・悪玉菌・日和見菌って?腸内細菌の種類


腸内フローラの構成メンバーですが、一般によく知られているものとしては、ヨーグルト作りにも使われる「善玉菌」のビフィズス菌やラクトバチルス菌、感染すると病気になる「悪玉菌」、普段はいいけれど条件次第で悪いこともする「日和見菌」があります。なかでも日和見菌の数が一番多く、善玉菌や悪玉菌がスター役者だとすると、日和見菌はその他大勢といったところです。

日和見菌と呼ばれるバクテリアの一つが大腸菌。O‐157などの病気と関連付けてしまいがちですが、ひとくちに大腸菌と言ってもたくさんの仲間がいて、ほとんどはふだんはお腹の中でおとなしくしていて、むしろ人間のために良いこともしている大腸菌も多いようです。ところが腸内のバランスが崩れてくると、悪いこともしはじめます。

現段階では、まだ何をしているかわからない腸内細菌もたくさんいます。ふだんは無駄飯食いの怠け者でも、いざという時に活躍するヒーローなんていうことすらありそうですね。

毎日の食事が腸内フローラの改善に大切なワケ

腸内フローラの細菌たちも私たちと同じ生きもの。私たちが食べるものの一部を栄養にして代謝しながら生き、不要なものを排泄しています。

とくに食物繊維やいろいろな糖類が大好物!これまでも、健康のためには食物繊維を摂ることが大切というのは言われてきていましたが、それは単にお通じを良くしたり、腸をきれいにしてくれるから、ということだったと思います。じつは、食物繊維をたっぷり摂ると腸内のバクテリアたちが元気になるから体調がよくなる、ということだったようなのです。人間は食物繊維の消化が苦手ですが、腸内の細菌が食べて分解してくれた代謝物なら栄養分として吸収・利用できます。まさにバクテリアさまさまですね。

継続は力なり! まずは2週間続けてみる


研究によると、食事の内容を変えると、早ければ数日~1週間ほどで腸内フローラのメンバー構成が変わりはじめるようですが、メンバーをガラリと変えるには、より長い期間が必要となります。

たとえば新しいヨーグルトに挑戦するなら、2週間食べ続けてみてください。生きて腸に届くという乳酸菌サプリメントなども、2週間は飲み続けてみましょう。食物繊維を食べたり飲んだりするのも同様です。花粉症などのアレルギー症状が改善するかどうかなら、さらにもう少し長く時間をみてください。

腸内フローラの改善は、一食食べたから、一日飲んだからといって突然変化が実感できるようなタイプのことではありません。まずは二週間、できれば月単位、半年単位で体調やお通じの回数や様子を観察しましょう。腸内フローラは精神面にも影響を及ぼすと考えられているので、気分が変わったかどうかも観察しましょう。そういえば風邪を引いていない、肌に透明感が出た、食べすぎることが少なくなった、などの変化に気づければしめたものです!

糖質制限など「○○抜きダイエット」は腸内フローラがボロボロに!?

痩せるためのダイエットとして「低糖質ダイエット」、健康法として「低グルテンダイエット」などが流行していますが、原則として「○○抜きダイエット」や、「○○だけ食べるダイエット」の類は、腸内に届く細菌たちの食べものが偏ってしまうため、腸内フローラのためには要注意です。

とくに低糖質ダイエットは腸に届く食物繊維やオリゴ糖などの多糖類も極端に減ってしまうことがあります。これはつまり腸内フローラが食物繊維などを食べて(分解して)人間に提供してくれる栄養や、体の中の炎症を抑える物質も減ってしまうということです。

体重は減っても、免疫力が落ちたり、肌が荒れたり、アレルギー症状が悪化する可能性すらあるかもしれません。特定の食品を控える程度ならよさそうですが、長い目で見ればやはり多くの食品をバランスよく摂ることがおすすめです。

バランスが大切!腸内フローラを育てる食材

<野菜>

常備野菜の玉ねぎやニンジン、年中お店で見かけるホウレン草などの青菜類やキャベツなどに含まれる食物繊維は腸内フローラのごはんになります。特別なもの・特定の野菜を大量に食べるのではなく、食卓に常に旬の野菜のおかずが一品載っている、ということを心がければそれで大丈夫です。オリゴ糖の多い野菜としては玉ねぎ、ニンニクが群を抜いています。

<根菜・きのこ>

ゴボウ、サツマイモ、きのこなどには食物繊維が多く含まれています。食物繊維は水に溶ける「水溶性食物繊維」と、溶けない「不溶性食物繊維」がありますが、根菜やきのこに多く含まれているのは不溶性食物繊維のほう。これらの食物繊維が大腸内で分解されると、ヴィフィズス菌などが増えて腸内の環境がよくなっていきます。

<豆類>

大豆やエンドウ豆などの豆類は、豆の皮に含まれる食物繊維と実の部分の炭水化物の組み合わせが、実に腸内フローラにとって理想的な食材。乾燥豆類は保存もききますしコストパフォーマンスが高いですが、手軽に食べたい場合は缶詰などを上手に利用するのがよいでしょう。

<発酵食品>

ヨーグルトやチーズはもちろん、キムチやぬか漬けといった漬物、納豆など、原料を発酵させて作られている食材には乳酸菌など善玉菌が含まれています。食材の中に含まれている菌がそのまま定着するわけではありませんが、善玉菌が毎日腸を「通過」することによって、もとからお腹の中にいる善玉菌が活性化するようです。

<皮付きフルーツ>

リンゴや柑橘類など、フルーツのペクチンは、腸内フローラの大好物。とくにフルーツの皮の部分に多く含まれているので、できるだけ皮ごと食べられるような調理法がおすすめです。

<海藻・その他>

わかめやひじきなどの海藻、こんにゃくには水溶性食物繊維が豊富に含まれています。また、いわゆる「ねばねば系」の食べ物、長芋やオクラにも多く含まれており、腸内フローラたちの好物です。

<全粒穀物>

年々お米から摂取する食物繊維の量が減ってきていることに加え、「低糖質ダイエット」の大流行により、炭水化物を減らしている人もいますが、腸内細菌的には繊維質がない食事は「食べるものがない……」という状態になってしまいます。そこで、白米に押し麦を入れたり、あわ・ひえなどの雑穀を入れたりして、食物繊維量を増やすメニューを心掛けてください。

アレルギーやインフルエンザも腸内フローラが関係している


異物を見つけてそれを除外してくれる大切な免疫システム。けれども、それが消化管に入ってくる食べものや花粉など肌にくっついたものにもいちいち反応してしまうのが、やっかいな各種のアレルギー症状です。

食べもののアレルギーの場合、一つには腸内フローラが荒れて腸壁の粘液がはがれるような状態になっていると、食べたものが完全に消化されないうちに体内に入ってしまって引き起こされるというのが有力です。この時、普通は人間の腸にいる、ある種のバクテリアがいないという観察報告があったり、普通とは違う菌種バランスになっているという報告があったり、何らかのバクテリアのあり方が関係しているらしいというところまではわかってきています。

また、細菌やウイルスに感染して起こる風邪やインフルエンザ、急性の下痢などさまざまな感染症を防ぐ上でも、バクテリアたちの活躍が関係しています。腸内フローラがいい状態になっていれば、腸の表面などはぎっしりフローラで覆われていて、ふらっと口から入ってきた風来坊の病原菌やウイルスは取り付く島もないという状態になっているはずなのです。

 

出典:『腸内環境がカラダを変える!』

腸内フローラ監修:福田真嗣/慶應義塾大学先端生命科学研究所特任准教授。腸内環境研究の第一人者。2015年第1回バイオサイエンスグランプリ最優秀賞を受賞し、慶大・東工大発ベンチャー『メタジェン』を設立。代表取締役社長CEOも務め、病気ゼロ社会を目指す。

食材監修:堀 知佐子/管理栄養士、食生活アドバイザー、調理師として活躍するミールプロデューサー。東京三田のアンチエイジングレストラン『Rire』、大田区のフランス料理店『ル・ヴェルデュリエ』、京料亭『菊乃井』の中食事業などを経営。

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