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不眠症を食事とアーユルヴェーダで解決

現代の病とも言える睡眠障害(不眠症)。夜になっても交感神経が興奮したままであることが原因です。できれば薬に頼らず、自然によい眠りに就きたいもの。内閣府認証NPO日本アーユルヴェーダ協会理事長・上馬塲和夫先生に、睡眠障害を解消するための知恵をお借りしました。

食物で不眠を解決

睡眠障害(不眠症)に悩む人は多いですが、上馬塲先生は基本的には眠剤(睡眠薬)の習慣的な使用はすすめていません。

「眠剤は、習慣性にすると認知症を促すのではないかと言われていますし、朝方にふらつきがあるので、あまりすすめられていないですね。どうしてもということになったら、お医者さんにきちんと相談しましょう」

生体リズムを調節するホルモン、メラトニンは欧米では睡眠薬として販売されています。

「メラトニンも、眠れない時にいいです。日本ではサプリメントで売っているところは少ないですが、アメリカでは空港でも売っているくらい、メラトニンがよく使われています。時差ボケにいいですね」

「夜のメラトニンの分泌が促されれば眠りやすくなるので、外からも摂りましょう。夜のメラトニンの分泌を促すためには、『朝方にバナナを食べればいい』という説がありますね」

バナナは、メラトニンの材料となるトリプトファンを含むのです。

「眠りやすくする食品には、バレリアンというハーブティーがあり、寝る直前に飲むといいです。ホットミルクもありますが、脂っこいので胃腸が弱い人が飲むとよくないかもしれません」

「それから、牛乳の中には発がん物質、細胞増殖を促す物質があるんですね。がん細胞がある中高年の人達に、乳がんの細胞増殖を促してしまう可能性があり、最近ミルクはすすめないようにしています。豆乳をミルクの代わりにしていただければいいですね。豆乳の中にはイソフラボンがあり、ミルクとは逆に乳がんを阻害します。ホットの豆乳に甘いオリゴ糖などを入れて飲んでもらうと交感神経を抑制するので、眠りは健やかになるかもしれません」

眠りを健やかにすることで、自律神経系とその中枢部である視床下部の働きが整ってくると考えられます。

「食べ物が腸内細菌を介して視床下部の炎症を起こしやすくする、ということが言われていますので、普段から食べ物には注意したいですね」

腸内環境をよくするような食事を心がけることが、快眠につながります。

眠りを健やかにする“シロダーラ”

また、睡眠障害に対する体の外からのアプローチとして、アーユルヴェーダの治療の一つ“シロダーラ(シローダーラとも呼ぶ)”があります。シロダーラは、額にオイルなどを垂らすことで神経に働きかける浄化法です。

「“シロ”は、頭という意味です。頭には、自律神経系を調整したり、意識の変化を起こしたりしやすいマルマ(ツボ)が多く、全身にあるマルマのうちその3割が存在しているのです。そういう頭部を適切にケアすると自律神経系に変化を起こし、非常に眠りを健やかにしますね。私達が実験したところでは、交感神経が抑制されるんです」

「ですから興奮して眠れない日が続くようならは、シロダーラを試してみるものいいでしょう。5分間程度の簡単なヘッドマッサージだけでも効果がありますよ」

上馬塲先生によれば、「滴下するものは必ずしもオイルでなくてもいい」とのこと。煎じ液やギー、牛乳、バターミルクを垂らすこともあると教えてくださいました。一日の中で時間帯を問わず、シロダーラを行えば不眠症に効果があるのでしょうか?

「実際に、脳波が変化して、交感神経が抑制される・睡眠の質を改善させるというデータも出ています。単に臥位の時とシロダーラをした時とで自律神経系を比較したんですよ。そうすると、シロダーラをやった人達は、脳波でアルファ波や脳正中部のシータ波が増加し、交感神経も抑制されるんです。特に交感神経が興奮している時には非常にいいですね」

シロダーラやヘッドケアなどは施術してもらうのが一般的ですが、機械を使って自分で行っている人もいるとのこと。睡眠障害で悩んでいる人は、一度シロダーラやヘッドケアを試してみるのもいいかもしれません。

寝る前に幸せな出来事を思い出そう

どうしても眠れない時には、ただ目をつぶるだけでもいいのでしょうか?

「目をつぶるだけでもいいですが、その時に瞑想のようなやり方をすればいいですね。瞑想をすると、より副交感神経が優位になります。瞑想の中にも、呼吸を眺めるマインドフルネス、マントラを心の中で唱える超越(TM)瞑想など、いろいろなやり方があります。眠れない時は一つの言葉をマントラのように繰り返す、または呼吸を眺めることでマインドフルネスの状態になれば、眠りやすくなります」

眠れない時の対処法としてよく聞く羊を数える方法も、一つの言葉に集中すると眠りやすくなるからなのです。また、呼吸を眺める場合はあくまでも“緩く”眺めること。集中してしまうと、逆に眠れなくなります。

また、シンプルな方法として「寝る前にハッピーだった出来事を思い出すとよく眠れる」と上馬塲先生。

「そのように幸せなことを思い出すことで、リラックスできますね。ストレスの原因になった事柄に対する認識が違ってきて、ストレスが少なくなる方向になります。ストレスというのは、自分の意識次第で変わってきますからね。そういう意味でハッピーなことを三つ程度思い出すというのは、非常にいい」

ドーシャは、自律神経と対応している!?

アーユルヴェーダでは、人の体質や性格をヴァータ・ピッタ・カパという三つのドーシャ(質)に分けて考えます。上馬塲先生によれば、ヴァータは「怖い、怖い、と逃げる状態」、ピッタは「戦闘状態」、カパは「リラックスしている状態」。ヴァータ・ピッタ・カパは自律神経の働きとも関係しており、眠れない原因をドーシャと関連づけて考えることもできます。

「ヴァータが交感神経のアルファ受容体、ピッタが交感神経のベータ受容体、カパが副交感神経の機能と関連していると推定されます。アーユルヴェーダ的にはピッタが増えると眠れないといわれますが、ヴァータが増えても眠れない。アーユルヴェーダでも一日の中でヴァータ・ピッタ・カパのバランスは変わるといわれています。ですから深夜になると、ピッタ体質の人はピッタが増えてくるから眠りにくくなりますね」

「ヴァータは、交感神経のアルファ受容体と対応させることができるのですが、例えば交感神経のアルファ受容体が興奮するとどうなるかというと、手足が冷たくなったり、顔が青ざめたりします」

「逆にピッタが増えた状態は、交感神経のベータ受容体の活動が増加した状態に対応します。ベータ受容体が興奮すると、非常に心臓が活発になりますし、筋肉の血流が増加します。『戦うぞ』というアドレナリンは主に、ベータ受容体に作用します。ピッタが増えると、ベータ受容体が刺激されるため、代謝が活発になります」

インドの古代人は、体で自律神経を感じていたということなんでしょうか?

「そういうことですね。自律神経という名前ではなく、ヴァータ・ピッタ・カパという名前で表現したのかもしれません。最も古いものの中に、最も新しいものがある。古いことで、現代的なことをうまく説明できるようになっているんです。昔の人達がやってきたことは、実は人間のまさに本質的なところを突いていることがありますので、伝統的なものを皆さんが大事にするのは大切だと思いますね」

自分のドーシャを知ることで、不眠の原因を突き止めて賢く対処できるかもしれません。

監修:上馬塲和夫/医師・医学博士。アーユルヴェーダ脈診の研究に対し、インドのグジャラート・アーユルヴェーダ大学からゴールドメダル受賞
ライター:沢田聡子

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YOLO 編集部

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フィットネス、スポーツ、ヘルスケア、食、旅などをテーマに、毎日を楽しく前向きに生きるためのコンテンツをお届けします。

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