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“胃の門限”は9時⁈自律神経を整えるための三つの方法

2020/02/04

最近話題になることが多い、体調に大きな影響を与える自律神経。内閣府認証NPO日本アーユルヴェーダ協会理事長・上馬塲和夫先生によれば、自律神経を整えるためのアプローチには三つの方法があるとのこと。睡眠の取り方、食事の内容など、生活上の注意もうかがいました!

生体リズムを整えよう

「人間のリズムと自然のリズムが合わない時に、自律神経系の中枢部である視床下部に大きなストレスをかけることが多いですね」と上馬塲先生。

睡眠については、時間の確保だけではなくリズムが大事だと言います。昼夜逆転の生活をしていて睡眠の質が悪いと、自律神経を乱すことになります。現代は24時間営業のコンビニの照明やブルーライトなど、さまざまな光が生体リズムを狂わせてしまう原因となっています。

また、「光とともに、食事は生体リズムを作る大きな原因になっています」とも。

「人によって違いますが、一日2回か3回、その人のリズムに応じた食事を取るようにしましょう。特に朝食は、たくさんではなくてもある程度取ったほうがいいと言われています。朝に光を見るのと同じように食事を取ることで、生体リズムが整う。それで夜も眠りやすくなる」

“胃の門限”は9時

「朝は、食欲がなければ熱めの白湯、お茶、アメリカンコーヒーなどを取ってもらうだけでもいいです。コーヒーやお茶はカフェインが入っていますので、交感神経が興奮します。朝方だるい人は、適量のカフェインを取ったほうがいいですね。食欲があれば、ある程度きちんと取っていただく。“みそ汁、納豆、魚”といった和食が一番いいかもしれませんね。アーユルヴェーダの教えは、“体質や習慣に応じた食べ物を食べなさい”ということで、日本人にとってのアーユルヴェーダ的な食べ物というのは和食なんです」

「和食に果物をつけるといい。果物の中ではリンゴが一番ですが、最近は朝バナナを食べると睡眠の質がよくなっていいということも言われています」

バナナに入っているアミノ酸・トリプトファンは、睡眠のリズムを作るメラトニンの材料になります。さらに食事で大事なのは、規則正しく取るということ。

「深夜の食事はよくないですね。『胃の門限は夜9時ですので、それ以降は口には入れないで下さい』と私達は言っています。もしどうしても何かを口に入れたいのなら、白湯ですね」

腸内環境をよくするための睡眠と食事

また最近は、食べ物が合わないと視床下部周囲の炎症が起こるとも言われています。

「視床下部周囲の炎症は、腸内細菌の異常でも起こると言われています。食べ物だけでなく睡眠も、腸内細菌に影響します」

不規則な睡眠で食べる時間が変わったり、睡眠不足によって甘いものが食べたくなったりすることで、腸内細菌を介して視床下部周囲の炎症が起こり、自律神経系の失調症状が起こることがあるのです。

「腸内細菌を整えるためには、小麦・乳製品・白砂糖はよくない。日本で小麦を摂る場合、アメリカから入ってきた小麦が九割なので、農薬が入っていたりしますし、グルテンの量も多いです。日本産で無農薬の小麦はグルテンも少ないのでいいとは言いますが、それでもやはりグルテン自体が消化しにくいものなので、腸内細菌を増やしてしまうんです」

「また、牛乳の中にはカルシウムも多く含まれていますが、細胞増殖を促す物質があります。がん細胞がある中高年の女性については乳がんの細胞増殖を促してしまうので、あまり牛乳はすすめていないです」

ただ乳製品の中でも、細胞増殖を促す物質が入っていないギーとヨーグルトはオススメだと言います。

「小麦・乳製品がいけないとはいっても、逆に合う人もいたりしますので、全員にあてはまるわけではない。その辺は、体質の個人差を考えながらやってもらいたいですね」

「また、極端な菜食主義にならないこと。菜食も人によりけりで、菜食に偏るとタンパク質とビタミン・ミネラルが足りないということが起こってしまいます。インドの菜食主義者は、動物性の牛乳をたっぷり取っているんです」

「腸内環境をよくするためにも、睡眠と食事が大事です」と上馬塲先生は強調します。

呼吸で自律神経をコントロール

「自律神経系は神経自体で自律していると思われていましたけれども、伝統医学や東洋医学においては、自律神経系は自分でコントロールできる神経。中国もインドも、実は伝統的に自律神経系を調節する治療や養生法をやっていたんですね。例えば東洋には交感神経を興奮させるような養生法や、副交感神経を優位にさせるような養生法があります」

交感神経と副交感神経は、一方が優位になると片方が落ちるシーソーのような動きも示しますが、両方とも活性化される場合もあります。その方法として東洋で一番重視されているのは「呼吸」です。

「ヨガは呼吸法の科学とも言いますが、まず呼吸をすることで、実は自律神経系を鍛えているんです」

上馬塲先生は自分で脈診をすることをすすめていて、「脈が速いと寿命が短いんです」と言います。脈拍数は、自律神経系が調整しています。脈拍数が高いということは、交感神経が興奮しているということ。

「交感神経が常に興奮しすぎていると心臓に負担がかかって、心臓性の突然死が早く起こる。動物も、脈が速い動物ほど早死になんです。脈拍数と寿命には逆相関がありまして、それは昔から言われているんです。人間でも脈が速い人ほど、寿命が短い。速い心拍数を遅くする方法が、まさに自律神経系を調整する治療法になっていることが多いです」

自律神経系に対して作用し、速すぎる脈拍を遅くする方法の一つが呼吸法。息を吸う時は交感神経活動が活発になって、脈拍が速くなります。息を吐く時は副交感神経が興奮して、脈拍が遅くなります。

「それを意図的に調整するのが、ヨガですよね。一般的にヨガは交感神経が興奮している人達に行うことが多いので、交感神経が抑制される吐く息を優位にして、4秒で吸って、ちょっと止めて、8秒で吐いて、というような感じの呼吸をよくしますね。これは、交感神経を抑制して副交感神経を優位にしているのです」

逆に、副交感神経が優位で朝起きた時にだるい人の場合は、交感神経を興奮させるため、吸うほうを優位にする呼吸をするとよいでしょう。

「自律神経を意図的に調節できるというのが、まさにヨガの呼吸法の特徴なんですよね。呼吸法が自律神経を調節するのに一番いい方法だと、昔の人達は知っていたのです」

自律神経の調節には体の内外から

「自律神経系を調節するためには、食事という体の中からの方法と、マッサージという外からの方法と、さらにヨガという中からでも外からでもない方法と、三つがあるということです」と上馬塲先生。

「自律神経系を調節するには、視床下部の機能を鍛えなくちゃいけないということで、まさにそれはヨガなんですね。特に鍛える方法としては、いろいろなポーズを取ること。体位を変えるという意味では、かなり自律神経系を鍛えることになりますし、呼吸もそうですね。瞑想も自律神経系の中枢である視床下部に血流を増やす方法なので、ヨガは自律神経系の調節には非常にいい」

「ただ視床下部の働きをよくするためには、食べ物も大事。マッサージで外から皮膚を刺激したり温かくしたりする方法も、実は自律神経系を調節する方法としては非常に大事。その三つの方法に、意識を向けていただきたいということですね」

実は自分で調節できる自律神経。三つの方法、覚えておきたいですね。

監修:上馬塲和夫/医師・医学博士。アーユルヴェーダ脈診の研究に対し、インドのグジャラート・アーユルヴェーダ大学からゴールドメダル受賞
ライター:沢田聡子

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