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生理じゃないのに血が出た時、どうする?【産婦人科医・高尾美穂先生監修】

2020/03/06

スポーツドクターの資格を持つ産婦人科医・高尾美穂先生。国立スポーツ科学センターの女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバーとしても活動するトレ女の味方・高尾先生に、女性のお悩みについてうかがう連載。今回のテーマは、心配になる「不正出血」です。

排卵期出血かどうかは基礎体温を見て判断

“不正出血”とは、生理ではない時の出血のことを指します。「不正出血の中で唯一正常な出血と考えてもよいのは、排卵期の出血です」と高尾先生。でも、出血した時が排卵期かどうか、どうやって確認すればいいのですか?

「本当に排卵期の出血なのかを知るためには、基礎体温をつけて、排卵期に一致した出血だということを確かめる必要があります。『生理が終わってから一週間くらいたったころに、ちょっと血が出たから』というだけの理由で『排卵期の出血です』と言い切ることはできません」

生理周期は人によって違いますから、生理が終わってからの日数だけで排卵期かどうかを判断することはできません。確実に判断できる材料は、基礎体温の記録。基礎体温とは、生命を保つための最低限のエネルギーだけを消費している安静時、つまり寝ている時の体温のことです。朝起きたら体を動かさず、専用の婦人科体温計を使って、舌の下で測りましょう。体温は、排卵後分泌される女性ホルモン・プロゲステロンが存在する間だけ、わずかに(0.3~0.6度)上がります。ホルモンの変化を表す基礎体温の上下を見れば、排卵した時期もわかるのです。

不正出血はおりものに混じっている場合も

高尾先生によれば、排卵期には、おりものに出血が混じることもよくあると言います。
「排卵期のおりものによくあるのは、透明なおりものの中に、赤い線のような感じで出血が混じる場合。その場合は、たいてい排卵期の出血ですね」

また、体の外に出てくるまでにある程度時間を経たため、色が変化した不正出血がおりものに混じる場合もあります。

「おりものに混じって少ない出血があり、それが体内で時間を経てから出てくると、赤い色ではない状態で出てきます。みなさんは“茶色”とか“黒っぽい”とかいろいろな表現をしますが、私達医師は、赤くないものでも黄色やベージュでなければ、それは『出血があった』という判断をするのです。ですから、受診した方に『茶色いおりものがあった』または『黒いおりものがあった』と言われたら、それはサッと体の外に出てこなかった出血が、時間がたってから出てきた状態だと判断します。つまり『フレッシュな出血はないが、過去に出血があった』というような見方をしますね」

それでは、赤、または茶色や黒のおりものは、不正出血と同じ扱いになるのでしょうか?

「そうですね、どちらかというとおりものの変化というよりは、『出血があった』という見方をすることが多いと思います」

おりものは健康な女性でもあるもので、神経質になる必要はありません。それに、日々目にしているおりものの変化に気づくのは難しいですよね。ただ、ショーツに赤や茶色・黒のおりものがついていたら、不正出血と考えたほうがいいかもしれません。

婦人科でまず診るのは、見て分かる六つの病気

不正出血が原因で婦人科外来を受診した場合、医師が最初に診るのは、見て判断できる病気がないかどうかです。

「不正出血があって病院に来ていただいた場合、最初に何をするかというと、見てわかるような病気を否定することです。ここで診るのは、体のつくりの問題ですね。子宮の入り口にポリープや子宮頸がんがないかどうか、子宮の入り口がクラミジア感染をしていないかどうか。それから子宮の奥にポリープや、出血を起こすような子宮筋腫がないかどうか。それから、YOLO読者の年代だとあまりないですが、子宮の奥に子宮体がんがないかどうか。その六つが見てわかる病気なので、これらをまず確認して否定する」

「不正出血がある」という理由で婦人科外来を受診すると、たいてい何か検査をされ、二回目結果を聞きに婦人科に行った時に「特に何も問題はありませんでした」と言われて終了、という流れになることが多くなります。

この診察では、体のつくりの問題について調べているということになります。初回の受診では、エコー(経腟超音波)の検査と子宮頸がんの検査をするのが一般的。子宮頚がんやクラミジアの検査は当日に結果が出ないので、その結果は後日の診察で聞くことになります。

「六つの“見てわかる病気”が否定されるとどうなるかというと、体のつくりの問題で出血が起こったわけではなく、働きの問題だということになってきます。働きの問題というのは、世の中でよく言う“ホルモンバランスの問題”。そして、“ホルモンバランスの問題”になってくると、今度は『それまでの記録がないと何も言えない』ということになります。基礎体温があれば、排卵がなかったから起こった不正出血なのか、排卵期の不正出血なのか、それとも無排卵月経なのか、受診した方に言えることはたくさんあります」

忙しい朝に基礎体温をつけるのは、確かに面倒。でもつけておけば、体調管理に役立つことは間違いありません。婦人科の問題では基礎体温を記録することは基本であり、重要事項でもあるのです。婦人科系の悩みがある人は、まずは基礎体温をつけてみるのもいいかもしれません。

大前提にあるのは、毎年の婦人科検診受診

いつもと違う出血があると、びっくりしてしまいますよね。不正出血があったら、すぐに婦人科を受診するべきなのでしょうか?

「まずは一年に1回、婦人科検診を受けていることが大事なポイントです。子宮頸がんの検査とエコー(経腟超音波)の検査、まずはこの二つの検査を受けていれば、大急ぎで婦人科に行くほど心配するような病気はない、と考えるのが普通ですね。一年に1回婦人科検診を受けていても、受けてからもうすぐ一年になってしまうぐらいの時期であれば、婦人科を受診していただいたらいいと思います」

「逆に、検査後3カ月ぐらいで出血があったとしても、おおまかには『多分緊急性の高い問題はないだろう』ということは言えるだろう、ということになります。だから、まずは大前提として、婦人科検診をみんなが受けること。受けてあれば、そこまで心配しなくてもいい。でもその逆も言えることで、検診を受けていない人に『心配ないよ』ということはできないのです」

なるほど、毎年の婦人科検診受診は、自分の体を守るために大切なのですね。婦人科検診では、子宮頸がん・子宮体がん、両方の検査がありますが、これについてはどう判断して受けたらいいですか?

「年代によりますね。普通、20代や30代前半の方にいきなり子宮体がんの検査を勧めるということは、まずないです。私達医師はエコー(経腟超音波)の検査をすれば、子宮体がんの検査をしたほうがいいかどうか、ある程度判断することができます。ですので、そこはあまり心配せずに、まずは検診を受けてください」

いろいろと予定がある中で、つい後回しにしてしまいがちな婦人科検診。でも、婦人科の病気には調べてみないとわからないものが多いのも事実です。自分自身や大切な人のために、一年に1回の婦人科検診を習慣にしたいですね。

参考サイト:女性の健康推進室 ヘルスケアラボ (厚生労働省)
監修:高尾美穂/産婦人科専門医・医学博士・婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック・イーク表参道で副院長を務める
ライター:沢田聡子

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