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正常?聞きたくても聞けないおりものの悩み【産婦人科医・高尾美穂先生監修】

2020/03/08

スポーツドクターの資格を持つ産婦人科医・高尾美穂先生。国立スポーツ科学センターの女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバーとしても活動するトレ女の味方・高尾先生に、女性のお悩みについてうかがう連載。今回は、おりものについてのお話をお聞きしました。

おりものは誰でも分泌しているもの

「『おりものが以前は出なかったのに、最近出るから心配』と言って外来に来てくれる人もいるのですが、おりものは誰でも出ています」と高尾先生。

「ですから、『前出ていなかったのに』というのは、自分がそこまで気になっていなかったというただそれだけのこと、ということが一つありますね」

「おりものの中にいる菌はそれほど種類が多くなくて、ほとんどは雑菌です。よく『細菌性腟炎になりました』と言って受診してくれるのですが、お尻の穴に近いところに腟があるので、雑菌がいること自体は大した問題ではない」

「細菌性腟炎を疑って受診するみなさんがおっしゃるのは、おりものの量が多い、色が変わった、におう、ということ。こういったことが、雑菌が増えた時の症状になりますね。雑菌が増える一つの理由は、性交渉です。性交渉というのは普段触らない場所ばかり触る行為なので、雑菌がやってくる最大のチャンスということになります。『いつ性交渉がありましたか?』と聞いてみると、一週間以内に性交渉があって、それで『おりものが変です』と言って外来に来られる方も少なくありません」

腟の中も腸の中と同じように、もし雑菌が増えても基本的には自力で元の状態に戻っていきます。

「腟の中が雑菌の少ない元の状態に戻っていかない理由としては、性交渉の頻度が高いこと。一日おきぐらいに性交渉があれば、戻ろうとしている時にまた雑菌がやってくることになります。もう一つの理由は、自分の免疫状態がよくないこと。風邪をひいているような時は、なかなか戻っていかない。つまり『本来であれば戻っていくでしょう』というような考え方で、まずは経過を見ていてもらえればいいのです」

三つの感染症とカンジダ


「さらにもう一つ、感染症があると、状態はなかなか変わりません。おりものの異常がある場合に調べる検査は、クラミジア、トリコモナス、淋菌です。パートナーが変わったタイミングで、調べておくのもいいかもしれません」

「訴えの多いカンジダも雑菌の一種なので、基本的には自力で治ります。寝不足の時や、抗生物質を飲んだ後にかかりやすい。カンジダ腟炎とカンジダ外陰炎があって、それが両方起こっている状態はカンジダ腟外陰炎です。腟炎は、おりものの状態が変化します。よく“カッテージチーズ状”と言いますが、そういう状態ではない時もあります。腟壁が赤く炎症を起こしているので、私達医師は見てすぐわかります」

「そのおりものの状態がだんだん皮膚に波及して、おりものの中にいるカンジダはいなくなったけれども、皮膚だけに残った状態がカンジダ外陰炎。これは、抗真菌剤の塗り薬などが必要になってきます。雑菌というものの中で、特にかゆみを引き起こすのがカンジダ、ということですね。トリコモナス・クラミジア・淋菌、そしてカンジダ、のようなイメージで感染症として心配される方が多いですが、カンジダは治ったかどうかの再検査も必要ないですし、三つの感染症とは別のものだと思っていただいていいです」

【健康であれば、おりものは元の状態に戻る】

正常なおりものと異常なおりものを見分けるには、どうしたらいいですか?

「見分けなくていいです(笑)。基本的には、気にしなくていいと思います。おりものは、数日のスパンで変化していくもの。例えば月曜日から土曜日までずっとにおいが気になるなど、異常が続くようなら受診したほうがいいかもしれませんね」

それでは、少し雑菌が入っておりものの状態が変わったとしても、それが元の状態に戻っていくようだったら、気にしなくていいということでしょうか?

「そうですね、全然気にしなくていいと思います。多くの人が気にしすぎかも、というのが正直なところですね。異常が丸一週間続いてしまうようなら、受診を考えてみてもいいのではないかと思います。ですが受診より前に、おりものが変化する理由・因果関係を考えてみてください。そして、おりものの状態が戻っていくかどうかを観察していただければいいです」

普通は雑菌によっておりものの状態が変わっても、たいていは元の状態に戻るもの。とりあえずは、異常が続くかどうか観察してみましょう。

おりものシートは通気性がない

一般的になってきたおりものシート、使っている人が多くなった印象がありますね。おりものシートが体に与える影響はありますか?

「たとえ“肌に優しい”と書いてあったとしても、結局おりものシートの一番下の層は、水を通さない素材なんですよね。縦方向の通気はほぼないですから、“嫌気性菌”という酸素を嫌う菌が好む場所になります。ですから、お出かけする時はおりものシートは便利だからしていただいてもいいかとは思いますけれども、家にいる時はなるべく通気性のいいコットンのショーツだけにして、ショーツが汚れたらショーツごと取り替える、というのがベストでしょうね」

おりものシートを一日中ずっとしたままでいるのは、やはりよくないのでしょうか?

「そうですね、気になっていることがある方だったら、避けたほうがいいでしょうね。でも、おりものシートをしたままでも全然気にならない方もいるので、そういう方であればご自由にどうぞ(笑)、という感じです。ショーツを痛めないために、おりものシートをされている方もいらっしゃいますからね」

時期によって違う、おりものの特徴

おりものが多くなる時期はいつですか?

「排卵期と生理前です。それぞれの時期のおりものの特徴は、全然違います。排卵期は、精子が泳ぎやすいようなおりものが出ますね。糸を引くような状態のおりものです。透明で、10㎝くらい伸びるような状態。サラッと出るので、おもらしをしたような感覚でショーツが湿っていることもあるぐらいです」

「その時期をすぎて生理前になると、いい精子は子宮の中に入っていったはずだから、ばい菌や他の精子は入っていかなくていいという意味で、蓋をするような役割のおりものに変わります。これが、生理前のポテッとしたおりものですね。だから生理前は『おりものが増えた』という感覚になる人が多いと思います」

「みなさんにはイメージしづらいと思いますけど、生理は血液ではありますが、腟の中を洗い流してくれるシャワーのようなものなんですよね。だから生理前と生理後では腟の中の環境が変わるので、生理前に『ちょっとおりもののようすがおかしいな』と思っていた人も、もうすぐ生理がくるのであれば、そのまま生理を待ってみてもいいのでは、と思います」

「かゆみと、におい。この二つがおりもので受診される理由の中で、多いものです。例えば、かゆくて夜も眠れないようだったら婦人科外来に来てくださっていいと思います。また、今はOTC医薬品(医師の処方箋なしで薬局等で購入できる薬)として売っている薬品の中にカンジダのお薬もあるので、適宜対応していただければいいですね」

おりもの自体は誰でも分泌しているものですが、変化を感じたら、まず因果関係を考えてみましょう。異常が続くようなら、婦人科外来の受診をお勧めします。

監修:高尾美穂/産婦人科専門医・医学博士・婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック・イーク表参道で副院長を務める
ライター:沢田聡子

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