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子宮が痛い?そもそも正しい子宮の位置、知ってる?【産婦人科医・高尾美穂先生監修】

2020/03/11

スポーツドクターの資格を持つ産婦人科医・高尾美穂先生。国立スポーツ科学センターの女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバーとしても活動するトレ女の味方・高尾先生に、女性のお悩みについてうかがう連載。第4回は、これは子宮の痛み?と感じる場合のお話です。

子宮の位置、知っていますか?

お腹が痛い時、「これはもしかしたら子宮の痛みなのかも」と感じることはありませんか?でも、本当に子宮が痛いのかどうか、わかるのでしょうか?高尾先生、教えてください!

「『子宮が痛い』、『卵巣が痛い』と言って婦人科外来に来てもらった方には、どこが痛いか聞いて、絶対にお腹を触ってもらっています。そうすると皆さんが触る場所は、たいていおへその下ぐらいなんですよ。それで、おへその下まで子宮があるかと言われたら、ないんです。正常な子宮は、ちょうどビキニのようなショーツを履いたラインあたりまでしかないので、痛いと感じているのは子宮よりかなり上だということになります。そして卵巣は、子宮の裏側にあるんですね」

そうなんですね!子宮や卵巣の場所を知る機会はなかなかありませんから、正しい知識を持っている人の方が少ないかもしれません。

出血する時は、子宮は収縮する

「子宮や卵巣が痛いという感覚を言っていただいて、それで何をするかというと、エコー(経腟超音波)の検査をするんですね。その結果、子宮・卵巣の大きさや形に異常がなければ、子宮や卵巣の病的な問題はないという話になります」

「もちろん、生理痛などは子宮が収縮する痛みなので、子宮の形が変わっていなくても痛みが出ることはあります。皆さんに知っておいてほしいことは、生理ではない時も生理の時でも、子宮の内側から出血する時はたいてい子宮が収縮するということ。だから、『生理ではない時に血が出て、お腹が痛くて心配』と言って婦人科外来に来てくれるのですが、それは私達医師にとってみれば、理由は一つということになります。『何かの理由で出血が起こっている』ということ。『子宮が痛い』ことについては、『子宮が収縮することによって出血が起こっているので、お腹も痛いですよね』という流れになりますね」

その場合は、気にするべきは腹痛ではなく出血、ということになりますね。

婦人科検診の受診が前提

「10分や15分少し横になって休めばよくなるようなお腹の痛みであれば、『婦人科検診を受けていれば心配ないでしょう』という、ベースの考え方に戻る感じですね」

「逆に、卵巣が腫れていることがわかっている人であれば、また話は違ってきます。例えばチョコレート嚢胞(子宮内膜症の一つ)であれば、生理ではない時にもお腹が痛くなることはよくあります。また、皮様嚢腫(デルモイド)と呼んでいる、皮膚から出る毛・油、歯・骨の組織などが卵巣の内側にたまるできものでは、それがねじれることによってお腹の激痛が起こります。ですから、もともと卵巣が腫れていることがわかっていれば『それは痛みの原因ではないか?』という話になります」

「そして繰り返しになりますが、そもそも一年に1回婦人科の検査をしていて問題がない人が、『お腹が痛くなったが、少し横になったら楽になった』ということであれば、たいてい原因は子宮や卵巣ではない、という結論になりますね」

腹痛の原因はわからないことが多い

臓器の名前は知っていて、その役割もなんとなく理解していても、その臓器が体のどこにあるかは意外と知らないものです。ですから、膀胱や腸の痛みを子宮の痛みと錯覚している場合もあると聞きますが…。

「そういう場合もあると思います。そもそも、救急外来にかかる原因としての腹痛の中で理由がわからないものが半数以上と言われるぐらいです。ですので、お腹の痛みというものは、原因が結局わからずじまい、ということのほうがどちらかというと多いぐらいだということです」

「何が原因か想像してみると、例えば腸のどこかに硬い便があってもう反対側にも硬い便があって、その間の腸がガスによって張ると痛くなりますよね。ですが、どちらかの便が動けば当然そのガスの圧は抜けて、痛みも引きます。このように変化してしまう原因については、例えば後から腸をカメラで見てみて何かが見つかるかといったら、見つからないわけですよね。ですから時間の経過とともによくなる腹痛であれば、20~30代のYOLO読者はそこまで心配しなくてもいい年代なのではないか、という感じがします」

排卵時の下腹部痛

排卵の時に、強い下腹部痛を感じる人も多いですね。

「排卵痛を強く感じる人は、実際いらっしゃいます。その場合、本当に痛みを感じる時期が排卵期に一致しているのかを確かめてみる必要があります。基礎体温をつけて、痛みがある時期が排卵期に一致するのかどうか、まずは1カ月か2カ月試してみてほしいですね」

基礎体温をつければ、腹痛が排卵痛なのかどうかを確認することができます。もう一つの方法は、ピルを飲むことです。

「ピルを飲んで排卵がなくて痛みが起こらなければ、確かにそれは排卵の痛みだと言えます。それならば、排卵さえなければ楽だからピルを飲むということも治療の選択肢に入ります。また、排卵期はお腹の中に少量の水がたまる時期なので、それをお腹の張りのような違和感として感じる人もいますね」

子宮外妊娠、クラミジア卵管炎が原因の下腹部痛も

排卵、生理以外の時期で下腹部が痛い場合というのは、子宮内膜症・卵巣嚢腫の他に、何かありますか?

「あとは、子宮外妊娠ですよね。今までのお話は全部、妊娠していないということが前提となるので、妊娠反応が陽性であれば、まず子宮外妊娠を念頭に置かなければいけないですね。『生理ではない時にもお腹が痛い』と言ったら、たいてい子宮内膜症を疑います。ですから、子宮内膜症がないことがわかったら、そこまで心配しなくていいのではないかと思います」

生理以外の時期で下腹部痛がある場合、クラミジアが卵管に炎症を起こし、クラミジア卵管炎になっていることも考えられます。ですからお腹が痛いという場合には、最初に妊娠していないかどうかを確認した上で、エコーの検査とクラミジアの検査の二つをオススメします。

「ただ、エコーの検査ではざっくりと子宮・卵巣が腫れていないかどうかしかわからないんです。骨盤の内側にある腹膜というところに子宮内膜症などがあったとしても、エコーではわかりません」

「ですので、本当の子宮内膜症の診断は、お腹の中を腹腔鏡でのぞくこと。これが確定診断なんですね」

腹腔鏡手術は婦人科疾患の手術の方法で、お腹に小さな穴を空けて行います。

「子宮内膜症の診断のためだけに手術をするのにはリスクもある。ですから代わりの補助診断としてエコー検査、またはMRI(磁気共鳴画像診断装置)検査をしています。だから、その検査で本当に『子宮内膜症がない』と言い切れるかと言ったら、そこまで言い切れない、というのも確かなことなんですね。なので『生理ではない時にお腹が痛い』ということであれば内膜症を疑って、ピルの服用も選択肢になると思います」

そしてやはり大事なのは、一年に1回婦人科検診を受けることなのです。

監修:高尾美穂/産婦人科専門医・医学博士・婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック・イーク表参道で副院長を務める
ライター:沢田聡子

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