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「したい」という気持ち。ちゃんとお互いに同意できてますか?

2019/05/07

【今日のご相談】
つき合いたての彼女がいます。セックスしたい気持ちがあって、誘いたいなと思うんですが、最近よく「男女の間に同意がなくて訴えられた」というニュースが出てますよね。自分も万が一あんなことになったら怖いなと思うんですが、女性をセックスに誘って同意をもらうってどういうことなんでしょうか。何があれば同意してもらえたことになりますか?

【今日のお答え】

お互いの意思表示が大事

ご相談ありがとうございます。近年「性的同意」という言葉が見聞きされるようになりました。性の健康に関する活動をしている人達の界隈でも、この言葉が頻繁に出るようになった印象を受けます。

まず、「性的同意」というのは、「セックスをする両者の間でセックスをすることに関して了解し合うこと」、または「了解し合えている状態」を指します。片方が「セックスしてもいい」と意思表示していないのに、もう片方が無理やりセックスするのは「性的同意ができてない」ということになります。

性的同意ということを考える場合、意思表示をする側に大事なことが二つあります。「嫌ならNOと言う」、「いいならYESと言う」。意思表示の方法は必ずしも口に出して言葉で伝えるばかりではありませんが、誤解なく相手に伝わる方法でやることが必要です。

「察して」はトラブルのもと

この考え方を前提にした場合、「察してほしい」というあいまいな態度はNGです。

「YESの意思表示がなかったから、その日は何もしなかったのに、次の日にそのことをとがめられた」。これは男性から時々相談されることですが、こういうことが本当に起きます。

NOという意思表示を尊重してほしいなら、YESという意思表示もしなくてはなりません。それが意思を表示するということです。そのどちらかを行わないということは、他人に自分の身の上の決定を委ねてしまっているのと同じことです。

お互いに同意できるのは奇跡!?

一方、意思表示を受けた側にとっても、大切なことは二つです。
「YESだという意思表示を相手から受けない限り、どれだけ自分がしたくても我慢する」
「セックスしたいという欲求に対して、両者がそろってYESと答えるのは、実は思っている以上に奇跡的なことなのだと心得る」

性的同意や性的加害が問題になっている事件の報道の中で、「加害者側は被害者側から明確な意思表示がなかったことで、行為に及んだようだ」という意味の言葉を聞くことがありますが、明確にYESと言われていないということはNOだと心得ておきたいところです。

「自己決定」と「自己責任」を混同しない

「性的同意」のことを考える時に、もう一つ考えてみたいのは「自己決定」と「自己責任」のことです。

「自己決定」は、「人に迷惑をかけない限り、何をどうするか自分が自由に決めていいこと」です。
「自己責任」は「自分が行ったことについて、自らその結果を(たとえどんなに不利益なことだったとしても)引き受けること」を言います。

この二つはオモテウラの関係なのですが、性的な話題になると、「男に恥をかかせるな」、「場の空気を悪くするな」といった変な圧力で自己決定(この場合はNOを言う自己決定)が尊重してもらえない一方で、後々被害を訴えると「体を許したのはあなたなのでは?」、「あなたにも隙があったのでは?」という、自己責任に言及されてしまうケースが多くあります。

性的同意というのは、自分の意思をきちんと伝えることと、伝えられた意思を尊重することで成り立ちます。

自分のことを自分で決めていいという自己決定と、自分がしたことの結果は自分で引き受けるという自己責任がその背景にはあります。自分の考えを伝え、相手の考えを聞く。その上で、両者がどうすれば一番納得できるかの落としどころを探していくことが大切です。コミュニケーションと人間関係の一番根源にある考え方と一緒です。

ライター:二宮誠 from 6483works
お話を伺った方:柳田正芳
1983年生まれ。中央大学卒業(専攻は社会学)。性に関する世界最大の研究者組織「世界性の健康学会」の公式委員会YOUTH INITIATIVEのメンバー。若者世代にリプロヘルスサービスを届ける会Link-R代表。思春期若者世代の性の悩み相談が専門。「性」という表立って相談しづらいテーマで相談に乗れる・粘り強く話を聴くなどいくつかの理由から、年代を超えた様々な人から様々な内容の悩み相談を受けている。ほかに、「両親学級」で講師をつとめるなど、民間活動から行政の依頼事業まで幅広く活動している。

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