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本場カリフォルニアのリアルなサーファーズハウスが見たい! vol.8|ベンチュラ・アベニュー

本場カリフォルニアのリアルなサーファーズハウスは、サーファー独自の感性に満たされた個性的なものばかり。しかしそこに共通するのは、“豊かに暮らす遊び心”。そんな夢の城を、私達は敬愛を込めて“Surf Shack(サーフ小屋)”と呼ぶ。

NALU本誌の人気連載vol.8は、自称オールドハウス好きと公言するジョサイア。家族のための住処として選んだのは、彼も大満足の、築100年以上のメキシカン・ヒストリックハウス。多くの家族や友人らが楽しい夕食を囲み、素敵な時間が刻まれた温もりのあるこの家は、歴史ある海沿いの町にある。

「サーファーズハウス」
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先祖から受け継がれたバトン。この絆を丁寧に受け渡したい

モリン・サーフボードはオクスナードで生まれ育ったジョサイアと、妻のクレスタのデュオで成り立っている。ジョサイアは家族を築くこととサーフボードを削ること、この2つが生きがいだと言い、すでに500本以上のサーフボードを生み出してきた。生粋のサーフファミリーで育ったジョサイアは、5人兄弟の4番目。両親は60年代にマリブに住んでいたヒッピーサーファーだ。幼少期のジョサイアは兄達と異なり、サメが怖く海を嫌っていたため、サーフィンを始めたのは11歳になってから。ところが、最初に乗った波でフィンがどれほど偉大な存在かを知って、サーフィンの虜になった。

▲波乗りをしていると自然にこぼれ出る笑み。どんなに嫌なことがあっても童心に返り、波だけを追い求めると全て吹き飛んでしまう。仕事と家族を両立する多忙な彼の大切なモーメント

ジョサイアに物心がつきだした頃には、シェイパーである姉のボーイフレンドの作業を見て、物を作るのが好きな彼の目には、そのシェイピングが神の技に見えたという。じっと座って粉まみれになりながらボードシェイピングに見とれ、さらにレジンの匂いも好きだった事も、ハッキリ覚えていると言う。後に義理の兄となった彼はとにかく忍耐強く、どんな質問にもいやな顔一つせず、明確に優しく答えてくれたのだそうだ。

▲奥にあるアボカドの木は、家族はもちろんご近所さんまでハッピーにしてくれる懐の大きな木

ジョサイアは9歳の頃にオーハイからオクスナードに引っ越すが、新しい土地に慣れるのがとにかく大変だったという。理由はギャングが多い地域だったからだが、そんな環境下でサッカーを始めたところ、担当だったコーチがあのマルコム・キャンベルだった。周知の通りマルコムはあの有名なキャンベル・ブラザーの一人だ。50年近くサーフボードを作り続けていて、常にサーフ業界の最先端を行くリビングレジェンド。マルコムはユーモアに富んだ優しいコーチで、サッカーやサーフィン以外にも、哲学や政治、戦争や平和といったたくさんの概念を教わった。

モノ作りが好きな彼は、やがてシェイピングの虜に

もうひとり、父親もジョサイアの人生にとって大きな影響を与え続けた。父親は12年前に癌で他界してしまったが、最後の思い出もサーフィンだ。彼は常に側にいて、父親であると同時に良き親友でもあった。彼ら家族は裕福な生活とは程遠かったというが、どんな時も心は満たされていて、父はいつも笑顔の人だった。海に来ると出る口癖は「お前たちの物欲は満たせないが、この大自然と大海原は存分に楽しませてあげられる」と。これがファミリーの家訓だった。

▲父から受け継がれたトラックから次々とブランクがシェイピングルームに運び込まれてはスタイリッシュなボードに生まれ変わって出てくる

両手を使ったモノ作りが大好きなジョサイアは、10代になるとギターを作るようになるが、最終的には10年以上続けたギター作りから離れ、意を決してボードシェイプを見習いからスタート。最初に勤めたのがカスタムボードで有名なべンチュラの“プロクターサーフ”。ここでは暫くの間、サンディングの仕事しか与えられなかったが、ある日オーナーが余ったブランクをシェイプするか? とオファーしてきたのが初めて削ったボードだ。

▲ミュージックルームでジョサイアがハンドメイドのギターを弾き出せば、いつのまにか家族が参加するファミリーバンドに早変わり

その後は才能を見出され、ケリー・スレーターやロブ・マチャドをライダーとして抱え、世界一のボード生産量を誇る“チャンネルアイランド”に就職。それはジョサイアのキャリアの中で、ビックブレイクだった。ここでも最初はグラッシングやサンディングなどの仕事からはじめたが、5年後にはヘッドクオーターのグラスショップ・マネージャーになっていた。同時にジェリー・ロペス、ライアン・ラブレース、リッチ・パベル達のデザインを、才能のある次世代若手シェイパーに削らせる“トリムクラフト”に所属した。

「自分のボードの特徴はシンプル。昔からのクラッシックボードをベースにしつつ、パフォーマンスを上げるために最新の素材や技術を取り入れたスーパーハイブリットボードだ」と語る。

▲家族みんなで過ごすことが多いリビングルームにはクラフトマンシップを感じさせる重厚な暖炉が中央にどっしりと構え、暖かい時間を演出する

ふと気づいた大切なモノ。それは、家族との時間

サーフインダストリーにフルタイムで勤めはじめ、同じ趣味を持つ素敵な仲間に囲まれ楽しい時間を過ごしていたが、ある時突然、家族のことが無性に恋しくなり、もっと家族と多くの時間を共有したいと考えるようになった。

▲アンティーク好きのジョサイアのビンテージコレクションがセンス良く家に散りばめられる。素早いレスポンスと物事に真摯に取り組む勤勉な姿勢は、ローカルコミュニティにも頼りにされる理想の父親像だ

そこから一年以上し、妻のサポートが得られる事、さらに思い切って独自の路線を追求できる事から、自分のブランドを立ち上げることにした。子供と関われるクリエイティブスペースと時間、彼らといつでも遊べてコミュニケートできる場所、そして深いレベルで繋がりたい…。独立するのはもちろん怖い。大家族を抱える父親にとって重要な、確約されたサラリーや様々な恩恵も諦めなきゃならない。しかし彼はそうした安定した条件より、家族との時間の方が大切な事に気がついた。

▲中庭でほぼ放し飼いの鴨や鶏が生み出す卵はファミリーの元気の源になっている。

▲家族の笑顔がジョサイアにとっての何よりの支え。全員で過ごす時間を最も大事にするために、キャンプ用に購入したスプリンターバン。今ではファミリーサーフタイムのための必需品

長年築き上げたローカル達との関係や、マジックロングボードビルダーで有名な、ウエイン・リッチの手ほどきもあり、モリン・サーフボードはショートからロングまで、今では注文が絶えないベンチュラで屈指のサーフブランドに。今年、長男のハリソンにリップカールがスポンサーを始め、将来的にチームライダーになる予定だ。今後も根強いローカルサポートを受け、モリス・ファミリーがどう飛躍していくかを見守りたい。

 

「サーファーズハウス」の記事はこちらから。

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NALU 編集部

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テーマは「THE ART OF SURFING」。波との出会いは一期一会。そんな儚くも美しい波を心から愛するサーファーたちの、心揺さぶる会心のフォトが満載のサーフマガジン。

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