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モデル仲川希良の「山でお泊まり」東京都・御岳山編Vol.2

モデル/フィールドナビゲーター仲川希良さんの、ランドネ誌面と連動の連載「山でお泊まりレポート」。

スペースの関係で誌面に収めきれなかった情報は、こちらのサイトで美しい写真とともにお伝えしてきます!

第6回目は、東京都の御岳山へ。

Vol.1はこちら>>>

 

******

 

今回宿泊場所に選んだ宿坊「西須崎坊 蔵屋」は、随神門手前の町場通りと呼ばれる参道の並びにあります。20以上ある武蔵御嶽神社の宿坊のなかでは一番の高台に位置し、現神主である須崎さんのご自宅でもあります。

宿坊には、代々受け入れてきた講の方々だけが泊まれるところもあれば、民宿のように一般客を受け入れてくれるところも。蔵屋は神社の神聖な歴史を守りつつも、御岳山を訪れる多くの登山客を迎えてくれています。

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▲座敷の片隅には立派な内神殿が

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▲お部屋からはすばらしい眺め!

予約したのは「絶景和室」と名づけられた本館の角部屋。大きな窓を開け放って思わず深呼吸!

目の前に広がるのは御岳山の豊かな緑の森ですが、その向こうに白く光る高層ビル群が「ここは確かに東京なのだ」と気づかせてくれます。

宵宮の始まりの前に、夕飯をいただくことにしました。

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▲夕飯は内神殿のあるお座敷で

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▲山の幸がたっぷりです

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▲お酒はやっぱり地元の「澤乃井」のものを♪

体に優しいお食事がずらり。

サックリとした天ぷらの山菜も、口いっぱいに爽やかな香りが広がる砂糖漬けの柚子も、この近くで採れたものだそう。

そしてこちら、御岳山名物の刺身蒟蒻!

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▲季節柄、柚子が練りこまれていました

口に含むと……ちゅるん!ぷるん!驚くほどみずみずしくて柔らかい!

こんなにおいしい蒟蒻をいただいたのは初めてです。

御岳山の宿やお食事どころではそれぞれ蒟蒻を手作りしているので、味がまったく違うのだとか。

蔵屋でも、蒟蒻玉から育てて手作りしているそうです。

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▲御師集落にはこんな張り紙も

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▲参道売店では、山から採ってきた山椒を醤油漬けに加工中でした。いい香り!

その土地で採れたもので、手作りのおもてなし……何より心と体にしみますよね。

ごちそうさまでした!

さてそろそろ、宵宮が始まる時刻です。

宵宮では神社から御師集落へと、神様をお降ろしするとのこと。蔵屋は神社に一番近い宿坊なので、再出発も楽チン♪

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▲神社では桜がライトアップ。もう5月……麓ではとうに散っているのに、やっぱり山ですね

宵宮に参列できるのは、この夜宿坊に泊まる人々。毎年来ているという山伏の方や、海外からの観光客の方も。

静かにそのときを待つ張り詰めた空気のなか、美しい着物を身につけた神主さんをはじめ、神職のみなさんが現れました。

列を成して拝殿へ……中の儀式に立ち会えるのは限られた方なので、私はそっと外で見守ります。

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▲先頭を行くのは神主の須崎さん

ほどなくして、本殿から奉戴した神様が白い布に守られるようにして、拝殿から出てこられました。

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▲白い絹垣の向こうに神様が……

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▲神幸の行列

暗闇に揺れる提灯の明かりと、響く雅楽の音。

神職の皆さんが途切れることのないように、「おーーー」と代わる代わる声を出し続けながら、行列はゆっくりと山を下りていきます。

そのこの世のものとは思えぬ音色に、自分までもが時空を超えた場所にいるような、不思議な浮遊感を覚えます。

隋神門をくぐるとき、目に入ったのは遠くで光り輝く大都会。地続きの同じ東京で、いまこんなお祭りが粛々と行われているだなんて。しかもそれは何百年も続けられているだなんて。きっとあそこにいる人たちは想像もしていないだろうなあ。

昼間のように明るく、世界中からの情報と物にあふれたあの場所も、東京。

豊かな緑に囲まれながら、山の神に心を寄せるひとときを過ごすこの場所も、東京。

同じ瞬間にこれだけの顔をもつ東京が、さらにおもしろい場所だと思えた瞬間でした。

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▲隋神門からの夜景

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▲チラチラと瞬いてとてもきれい

御師集落の外れに設けられた御旅所まで一行をお見送りしたら、宵宮はおしまいです。

明日の本祭は御旅所から今度は山を登り、神様は本殿へと帰っていくのだそう。

御旅所で夜を過ごされる神様にご挨拶して、宿坊へと戻りました。

じつは私、宵宮の間ずっととっても寒かったんです……!

持参した防寒着すべて着込みましたが、全然足りませんでした。やはり東京とはいえ山の夜……準備不足を反省です。

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▲薄手ダウンが必要でした

宿に戻ってお布団をめくったときに、目に入った湯たんぽのありがたかったこと……!

神様と過ごした夜の静けさと、蔵屋さんのあたたかい優しさに包まれながら、ぐっすりと眠りについたのでした。

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▲寒い夜のサービスだそう

次回は日の出祭のきらびやかな本祭をご紹介します、お楽しみに!

 

***おまけ***
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蔵屋のお風呂は東向きと伺って、日の出に合わせて温まりにいきました。

町も山も刻々と染め上げる真っ赤な朝日、小鳥たちの大合唱、素敵な一日の始まりを過ごすことができました。

もちろん夜景の時間帯もおすすめです!

 

 

写真◎加戸昭太郎

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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