モデル仲川希良の「山でお泊まり」東京都・御岳山編Vol.4
ランドネ 編集部
- 2019年10月28日
モデル/フィールドナビゲーター仲川希良さんの、ランドネ誌面と連動の連載「山でお泊まりレポート」。
スペースの関係で誌面に収めきれなかった情報は、こちらのサイトで美しい写真とともにお伝えしてきます!
第6回目は、東京都の御岳山へ。
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武蔵御嶽神社の日の出祭りを堪能して、時刻はちょうどお昼。
せっかくだからもう少しハイキングを楽しんで行こうと、選んだ先は奥の院峰。御岳山山頂を目指すあいだもたびたび目に入っていた、美しい円錐形がひときわ目を引く山です。
神主の須崎さんによると、本来信仰を集めていた場所はこの奥の院峰だという説があるのだそう。現在、武蔵御嶽神社がある御岳山山頂は、水を引くことができるギリギリの場所だったので、ここに社殿を作ったのでは?と。
いまも神社には、奥の院峰の姿が拝める遥拝所が設けられているのです。
御岳山ハイキングといえば、参拝の後はロックガーデンコースがおなじみですが、今回は信仰を感じる旅。せっかくなのでこの奥の院峰に登ってみようと思ったのです。
▲まずは展望ポイントである長尾平に寄り道
▲霞のなか白く光る都心のビル群……スカイツリーまで見えることもあります
奥の院峰へ向かう道の目印は、樹齢350年のこの大きな杉の木。天狗の腰掛け杉と呼ばれています。
たしかに幹の途中からいかにも腰掛けやすそうな枝が出ていますね!
▲天狗さん、いまもそこにいらっしゃっるかしら?
奥の院峰への道は人もぐっと少なくなり、上り道が続きます。
両側に並ぶ杉木立はここが参道である証拠。長い年月をかけて張り巡らされた根につまずかないように、ときには立派な幹を頼りながら一歩一歩。
▲杉に見守られているような気持ちに
▲どれだけの人が祈りを胸にここを歩いたのでしょうか
▲途中鎖場もありますが、ゆっくりと進めば大丈夫
美しい木漏れ日を浴びて無心に登っていると、心身が清められていくかのよう。
ときおり吹き抜ける風が少しほてった頬を柔らかく撫でてくれます。
▲ブナの若葉は産毛まで輝いて
▲シロヤシオがちょうど見ごろでした
▲最後まで休むことなく上り道!
山頂手前、現れたのは日本武尊(やまとたけるのみこと)を祀った男具那社(おぐなしゃ)です。
▲平成17年に修復されましたが、山奥の急登のため、大工や銅版職人はとても苦労したそう
日本武尊が白狼に救われた(Vol.1参照)のがこの奥の院峰。そして東征のための武具を納めたのも、この場所だといいます。このことが「武蔵」の地名の由来になったのだとか。
学校の校歌で「武蔵の野辺に生い立ちて~」と歌い、武蔵野の雑木林で遊んでいた私としては、親しんできた地名がこの地から始まったのだと思うと感慨深い……!
▲山頂の小さな祠
▲看板があります
たどり着いた奥の院峰山頂は、小さな広場に心地よい風が吹き抜けるだけ。
眺望があるわけではありませんが、日本武尊の伝説や、目に見えないものを感じ信仰する人々の健気さを思いながら、心静かなひとときを過ごしました。
▲蔵屋さんで作っていただいた艶々のおにぎり
▲水筒に詰めてきたのはロックガーデンから引かれたお水
おにぎりの真ん中から姿を現した山椒の醤油漬けも、喉の渇きをたっぷりと潤してくれるお水も、御岳山からの恵み。ああ、おいしい!
信仰心やその形は時とともに変わったとしても、この恵みに心から感謝する気持ちはいにしえの人たちと変わらない気がします。
奥の院峰を下って、天狗の腰掛け杉からのもどり道は神苑の森へ。
何度も訪れている御岳山にこんなルートがあるとは知りませんでした。
▲天狗の腰掛け杉から神社の裏手を回る一方通行
▲「不伐の地」として古来より守られた原生林です
▲人のいない森を抜けて
隋神門の前で、いつもの登山道と合流。
それまでの静けさからパッと賑やかさが戻り、時空を超えた山岳信仰の旅から帰ってきた私。
自分の住む東京の新たな一面をのぞかせてもらえた二日間でした。
***おまけ***
さほど長くないけれど、上り続きでお腹がすいちゃう今回のルート。行動食にはケーブルカー乗り場で買える「きびもち大福」がオススメです!
きびの素朴な香りとあんこの甘さに癒されますよ♪
写真◎加戸昭太郎
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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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