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モデル仲川希良の「絵本とわたしとアウトドア」#14 みんなうんち

三十路の私が「うんち」の話で盛り上がるのはちょっと気が引けますが、でも、大事ですよね。うんち。山を歩くみなさんはとくに、これを意識せざるを得ない状況が、ほかの人より多いのではないでしょうか。最近は一歳を過ぎた息子と自然のなかへ出かけることも増えたので、リュックにはオムツを忍ばせ、頭の片隅で2人分のお手洗い事情を考えておく必要があります。

山ではその日のコース上のお手洗いの箇所を確認して出発し、大小限らず余裕をもって済ませるのがお約束です。でもお手洗いがないコースや、緊急事態のときは、そっと登山道から逸れて、安全や植物に配慮しつつ、致すしかない。

はじめて本格的に山登りしたときも、そんなタイミングがやってきてしまいました。初心者ばかりの友人同士で連れ立っていそいそ場所を選び、立ち込めていた霧の助けを借りてお互いほんの少しだけ離れ、いざ、とそのとき。まさかの霧が晴れ始め、入念に選んだつもりの場所は登山道から丸見えだと発覚したのです。いまとなっては笑い話ですが、全員で慌てふためいた思い出があります。

友人とかわりばんこに見張り役(友人は鼻歌で「音姫」役もやってくれました)をしてみたり、少し山慣れしてきてからは、恥ずかしがらずあえて周囲にハッキリ宣言してから離れた方がいろんな意味で安全だなと思うようになったり。野外お手洗い事情はその済ませ方も捉え方も、自分のなかでずいぶん変化したように思います。

そもそも排泄って健康に生きる上で自然な行為なのです。何を恥ずかしがることがあろうか。今回選んだ絵本「みんなうんち」でも「いきものは たべるから みんな うんちをするんだね」と書いてあります。食べたら出す。私も一種の動物として、元気に山を歩くためにも、しっかりと意識していこうじゃないか。絵本のなかでは動物たちが様々な姿勢や方法で、それぞれに個性的なうんちを堂々と出しているのです。

残雪の利尻山で避難小屋前に仮設した、お手洗いからの絶景。遮るものはなく、ただ雪を掘っただけ。前を向けば山頂、後ろを向けば大海原。景色とともにあられもない自分が月光に照らされておりました

 

ところで先日の山で起きたできごと。登山道を外れ、藪でお手洗いを済ませているその最中に、なんとサルの群れに囲まれてしまいました。敵意は感じなかったものの、こちらはかなり無防備な体勢……ああいますぐ隠れたい!と冷や汗が吹き出ました。しかし羞恥からではなく、敵に無防備な姿を晒さないために隠れたいだなんて。野外お手洗いを体験するうちに、動物的な本能が呼び覚まされてきたのかも、なんて。あとからニヤリとしてしまいました。

 

 

 

みんなうんち
(五味太郎・作/福音館書店)
初出は1977年ですが、古くなりようがないテーマ! そうかみんなしてるのか、と、なんだか大らかな気持ちに。動物ごとに変わるうんちの形を観察するのは、山でも楽しいものです

 

モデル/フィールドナビゲーター
仲川希良
テレビや雑誌、ラジオ、広告などに出演。登山歴はランドネといっしょの12年。里山から雪山まで幅広くフィールドに親しみ、その魅力を伝える。一児の母。著書に、『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』

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仲川 希良

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テレビや雑誌、ラジオ、広告などに出演。登山歴はランドネといっしょの12年。里山から雪山まで幅広くフィールドに親しみ、その魅力を伝える。一児の母。著書に、『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』

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