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Keishi Tanaka「月と眠る」#12 楽しみ方のアレンジ

ランドネ本誌で連載を続けるミュージシャンのKeishi Tanakaさん。2019年春から、連載のシーズン2として「月と眠る」をスタート。ここでは誌面には載らなかった当日のようすを、本人の言葉と写真でお届けします。

Keishi Tanakaの「月と眠る」
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Keishi Tanakaさんの連載が掲載されている最新号は、こちら!
>>>『ランドネNo.116 3月号』

楽しみ方のアレンジ

2021年1月発売のランドネ本誌を手に取り、自分のページを読み返してみると、文字の温度がいつもよりほんの少しだけ高い。おそらく、今回のコラムにはライブが絡んでいるせいだろう。

新型コロナウイルスの影響がまだまだ続くこの世の中では、なにかをやることもやらないことも、それ自体が表現となり得る。いまだけの話ではないかもしれないが、とくにこの1年はだれもが他人の動きに敏感だ。ある程度の覚悟をもって発言し、行動する。最低限必要なことではあるが、この持久戦を戦うためにはやはり息抜きが必要不可欠である。

昨年の秋に開催した[ROOMS GARDEN TOUR]。配信のみのライブが続いていた夏頃、ふと思いついた屋外でのライブツアー。その会場のひとつとなった桐生のアウトドアショップ「Purveyors/パーヴェイヤーズ」と、山登りを敢行した当日のようすを、本誌よりもう少し詳しく紹介していこうと思う。

▲桐生駅に集合し登山口へ。

Purveyorsに連絡をして会場をおさえたとき、せっかく一緒にイベントをやるなら、少し外遊びの要素を盛り込みたいという想いも伝えたところ、「任せてください」という頼もしい返事をもらった。遊びが減ってしまった2020年に、ワクワクできていること感謝しながら打ち合わせを重ねた。

当日、ライブ参加者の中からさらに希望者を募り、一緒に山を歩く企画を敢行。

▲駅から30分も歩かずに登山口に到着。ここから本格的な登山がスタート。

登山初心者もいること、13時頃に下山しないと15時からのライブに支障がでること、しっかりと達成感を味わえること。これを今回の山選びのポイントとして、Purveyors側に伝えていた。我ながらわがままな要望を出してしまったなと思っていたが、桐生駅、Purveyors、どちらも徒歩圏内という奇跡的な場所に吾妻山はあった。

▲考えごとをしながら登っているように見えるが……。

ここだけの話、歩き出して数分は、看板で見た登山ルートを頭の中で思い出しながら、下山の時間を計算したり、リハの時間がなくなった場合の対応を考えたりしていた。もちろん、歩行時間を計算して登山スケジュールを決めてもらっているので、本来は僕が心配するまでもないのだが、自分で把握していないと気が済まない性格ゆえ、序盤は頭の中が忙しかった。ライブの日の朝に登山をするということがどういうことかを、このとき改めて再確認した。

▲少し余裕が出てきたころ。

とはいえ、山登りもしっかり楽しみたい。最高の天気に恵まれ、参加メンバーもこのときだけは少しウイルスのことを忘れられているように感じた。もちろんいい意味で。少しでも安心できるライブを企画し、遊びを考え、共有する1日。

▲途中のトンビ岩から眺められる、桐生の街。

少し登るだけで、桐生の街を見下ろすことができる。改めて街のすぐそばにある山であることを確認する。おそらく日課のように、吾妻山登山を楽しんでいるであろう人たちと何度もすれ違った。僕らにとっては初めての山でも、だれかにとっては身近な山。

▲上り坂が急なところもあり。

吾妻山は初心者も登れる山である。それは間違いないが、「街とおなじ格好、足元はスニーカーでどうぞ」というわけにはいかない。

▲足元は履きなれたシューズで。

ちなみに、この日の僕の足元はこんな感じ。コロンビアのトレッキングシューズと、北海道東川町にある靴下屋「YAMAtune」で購入した赤いソックス。初めて山登りをする際は、靴と靴下は自分のサイズや用途に合った登山用を購入することをおすすめする。足元が不安定だと危険だし、疲れも倍増する。覚えておいてほしい。

▲吾妻山山頂(標高481m)に到着。

午前11時前、この日の目的地点に到着した。この先にもルート続いているようだが、今日の僕らにはここまでがちょうどよい距離と高さ。2時間弱の山歩きで、この景色を見られることがうれしい。少し辛そうに歩いていたメンバーも、この景色を見て疲れが吹っ飛んでいたようだ。いろんな意味で、達成感を感じることができた。

▲この日、Purveyorsに設置された看板。

ここからは下山後の話。一緒に山を歩いたメンバーとは一旦別れ、みんなが昼食を食べているあいだに会場でのサウンドチェックへ。

▲店内にはワクワクするアイテムが並ぶ。
▲1階フロアは、カフェスペースとして営業中。
▲アパレルがメインの3階フロア。

Purveyorsとは数年前にランドネの取材を通して出会い、それ以降、継続的に仲よくさせてもらっている。Purveyorsがあったから、今回の[ROOMS GARDEN TOUR]をやろうと思ったと言っても過言ではない。そういう場所が全国にいくつかあって、関係が続いていることが、僕の足跡そのものだなと、気軽にツアーに行けなくなった2020年だからこそ感じられたりもした。

▲ライブがスタート。
▲あえて着替えず、山ウエアのままステージへ。

ライブ用の衣装(といっても普段着だが)を持ってきていたが、あえて着替えないことにした。山登りとライブがつながったイベントであることを、自分で感じたかったからだ。山登りの参加は自由だが、参加してない人にも趣旨をわかってほしかった。それ自体が表現。冒頭の話につながる。

それにしても、なんて素敵な会場なんだろう。コロナ禍で開催するにはちょうど良い規模感だし、テラス内にカウンターがあってドリンクの注文ができるのも良い。もちろんコロナが終わればもっとお客さんを入れて派手なパーティもできるだろう。夢が広がる場所である。

▲1階カフェで、イベント限定のベーグルとコーヒーを。
▲桐生のまち歩きMAP。

登山の参加者にはベーグル&コーヒーのほか、桐生のまち歩き地図「KIRYUかるたMAP」がプレゼントされた。地図は店内で購入することもできるので、桐生を訪れた際はぜひ手にとってほしい。

▲陽が落ちたらイベント終了。

ライブをしていると、太陽が傾いていくのがわかった。1曲ごとに眩しさが変わり、目を開けていられない曲もあった。ただ、写真を見てびっくり。ここまでオレンジ色に照らされているとは。「白い行方が、オレンジの光に染まる頃」と歌う「秘密の森」の歌詞が頭の中で重なった。思えば、森のなかから街に戻ってきて歌っている状況こそが、あの歌の世界。街も、そして時にはそこから離れることも、ともに自分には大切だということ。もっと言えば、大切なものを見つめるためには、ときに別の角度から見てみるのも必要だということ。

この桐生編を含む[ROOMS GARDEN TOUR]は、制限はもちろんあるし、我慢しなきゃいけないことはあるけれど、楽しむことを諦める必要はないと再確認させてくれた。

Purveyors
http://purveyors2017.jp/

★今月のニューフェイス

THE PRINTED IMAGE バンダナ
アメリカのバンダナメーカー・THE PRINTED IMAGEのバンダナ。大判サイズでさまざまな使い方ができるが、今回は首にスカーフのように巻いて使っている。お洒落や温かさという意味合いもなくはないが、一番の目的はマスク代わり。山を歩くときに常にマスクをしているのは生き苦しいが、人とすれ違うときに少し上げれば口元を隠せる。おすすめ。

〇Keishi Tanaka
1982年11月3日、北海道生まれ。ミュージシャン。作詞家。作曲家。Riddim Saunterを解散後、2012年よりソロ活動をスタート。ライブハウスや野外フェスでのバンドセットから、ホールやBillboardでの11人編成ビッグバンド、さらには小さなカフェでの弾き語りなど、場所や聴く人を限定しないスタイルで年間100本前後のライブを続けている。2020年12月23日に新作『AVENUE』をリリース。『ランドネ』での連載は4年目に突入した。

Keishi Tanaka Official Site
https://keishitanaka.com

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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