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Keishi Tanaka「月と眠る」#13 暮らすように過ごす

ランドネ本誌で連載を続けるミュージシャンのKeishi Tanakaさん。2019年春から、連載のシーズン2として「月と眠る」をスタート。ここでは誌面には載らなかった当日のようすを、本人の言葉と写真でお届けします。

Keishi Tanakaの「月と眠る」
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Keishi Tanakaさんの連載が掲載されている最新号は、こちら!
>>>『ランドネNo.117 5月号』

暮らすように過ごす

長野県茅野市にあるキャンプ場「タイニーガーデン 蓼科」に1週間ほど滞在をした。目的は音楽制作。ミュージシャンのワーケーションともいえるだろう。噂を聞きつけたランドネ取材班が、最終日に現地入り。ランドネ本誌ではいつものようにコラムを書いたが、WEB版ではタイニーガーデンの企画・地域コーディネーターである粟野龍亮さんとの対談を紹介しようと思う。

▲地元のビール、エイトピークスの「ガーデンエール」を飲みながら。

──約一週間、ワーケーション滞在してみてどうでしたか?

Keishi ひと言で言って、最高でした。初めてのことだったから、自分でも探りながらでしたけど。スタッフの人の「どれくらいの距離感でいたらいいのかな?」、という感じもわかっていました(笑)。自分の性格を考えると、普段なら最初のうちにもうちょっとコミュニケーションをとっていたと思うんですけど、自分を制するために、あえて今回は少し距離をとっていた部分があって。粟野さんとは最初にZOOMでも打ち合わせをしていて、ある程度自分のやりたいことも伝えていたので、大丈夫だとは思っていましたけど、遊びモードが強くなるのが怖かったから、あえて人見知り感を出してました(笑)。3日目くらいに、スタッフさんが一緒に飲みたいと言ってくれてたのも、最終日までとっておきました。途中でやってもよかったけど、心を鬼にして(笑)。

──施設側としては、ワーケーション滞在を受け入れるなかで、寝泊まりしながら仕事する人との距離感ってどうされていますか?

粟野 長期滞在の方でも、お風呂も直接出入りできる入口があるので、チェックインのあとはそんなに接点はなくて。唯一コミュニケーションをとれるのが、ごはんの時間とショップでの接客など。こちらから「昨日はどうでしたか?」と無理に話しかけるよりは、聞かれたら答えるようにして、そのやりとりを受けて、「困ってそうだったら声かけてね」とスタッフに共有するスタンスです。3泊、4泊滞在していてもまったく話さずに帰られる方もいらっしゃいますが、その方たちはコミュニケーションを求めてないと思うので。それぞれの「滞在の時間」のお手伝いができればいいなと。

▲「タイニーガーデン 蓼科」のコンセプトを語る粟野さん。

Keishi 僕の場合、1週間の滞在目的が「インスピレーションを得たい」という場合は、逆にコミュニケーションをとると思う。知らない話も聞きたいし、いろいろ周りのことも教えてほしいし。ただ、今回は目的が「籠る」というところにあったので。

▲今回はこのキャビンで1週間を過ごした。

Keishi 途中、雪が降りましたけど、それもまた季節を感じられてよかったです。その日の夜は、僕があまりにも静かだから「大丈夫でしたか」って心配してもらいました。逆に、スタッフの人と飲みたいと、滞在している人から言われることはあるんですか?

粟野 交流があるといいなって方はいると思うけど、「一緒に飲めますか?」みたいなことは、いまのところないですね(笑)。けど、生産者や地元の人、長期滞在の方が参加できるワークショップや山登りなども、今後やりたいですね。

Keishi 自然を感じる滞在だけど、タイニーガーデンはロッジ、キャビン、テントを自分で選べるし、幅が広いと思いましたね。東京から来た人は田舎や自然を味わう。おなじ場所で、地元の人は建物や食事、ショップなどで都会を味わえている。その部分に感動しました。パンフレットで読んでもわからないところを、体感できた感じ。

粟野 ありがとうございます。ビールもう1本どうぞ(笑)。地域に対して開かれた場所でありたいという思いはあります。都会の人にとっても、地元の人にとっても、日常の延長でもあり、非日常を感じられるところ。そんな空間作りをしていきたいと思ってます。ここはキャンプ場でありホテルであり。カフェがあって、ショップがあって、温泉があって。ひとつの言葉で表現するのが難しいけど、ひとつのコミュニティでありたい。

▲このキャビンのほかに、テント泊とロッジ泊を選べる。

Keishi 僕のなかで夢は広がってます。今回やろうとしたことは、ゼロからイチの部分を作ることで、その先もある程度できるなという想像があって。最後のレコーディングするところはまだわからないけれど、実際やろうと思ったらキャビンという箱があるからできると思う。自然なだけでなく施設がある。そういうところに、勝手に夢が広がっている感じです。本当にバランスがいいという話につながる。だからワーケーションなのか、ワーケーションだからこうなのか。

粟野 そういう働き方や二拠点というものを初めから想定していたので、ショップの上のスペースは多目的スペースにして、Wi-fiを完備させたりして。泊まるだけではない多様性を受け入れて空間を作っています。

Keishi ワーケーションを終えてのアンケートに、どういうニーズがあるか? という項目があって。僕が思うに、ゼロから作る人にもっとアピールできるなと思いました。静かな環境でできるイラストレーターやデザイナーなど、もう何人か頭に浮かんでます。過酷すぎず、施設もキレイで、ごはんもおいしくて、全体のバランスがよかった。

▲最終日にいただき、ひとり感動したプランクサーモン。

粟野 ランドネさんがワーケーション滞在してくださったときも、事務的なことや進行の話をするオンラインとは違って、5年先10年先の方向性や、こうありたいということを共有する時間によいと話してくれましたね。

Keishi 滞在での制作って、行ってみたけど何も生まれないという怖さもじつはあって。それなりに成果を生み出したい。そのためにはそれなりの設備が必要だったりもするし、その辺がわからないからやらないって人も多いと思うけど、やれるとわかれば興味ある人は多いと思う。今回使わせてもらったワークステーションの3階はアトリエっぽいし。イメージが湧くように「アトリエ」みたいな呼び方にしてもいいかも。勝手に言ってますが(笑)。

▲ワークステーションは景色もよく、階下にはアウトドアショップも併設されている。

──東京で働いていると、決まったルーティンの中で働いていることもあり、作業をこなしたり、日々の業務で頭がいっぱいになっているけれど、山の取材に行くと、不思議と新しいアイデアが生まれる感覚があります。頭が切り替わるというか……。

Keishi いつもと違う環境に自分を置く。いままで製作したことないところで製作してみる。いまこそそれをしたいと思っていて。この場所がかなりよかったから、今後のハードルが上がってます。

──曲作りの合間に、一歩部屋を出たら焚き火や散歩ができること、自然がすぐそばにある環境はどうでしたか?

Keishi 今回は最小限に抑えてました。インスピレーションを感じる目的ではなかったので。インスピレーションは普段の連載などでも、何も考えずにフィールドに行って、帰ってきたときに思ったことを書くことで。今回はそこまで空っぽじゃない目的があったので、なるべく籠るようにして。とはいえ、焚き火をしたい欲望もあって。抑えすぎるのもダメだから、この日とこの日にやろう、散歩も気分転換程度なら、と決めていました。抑えつつ、ガマンしすぎない。

▲焚き火は1週間の滞在中に2回。
▲散歩コースは1週間では回りきれない。

──焚き火は欲望なんですね?

Keishi 最近、斧を買ったんで!(笑)

粟野 ワーケーションは「バケーション」の意味合いが強いから、自然が好きな人じゃないと来ないはずなのに、ケイシさんはずっと籠ってたから、あまり自然が好きじゃないのかなって思いました(笑)。だから雪が降ったときも困ってるんじゃないか、「帰る」って言われたらどうしようって。

Keishi ははは。思ったより降ってましたしね。

──今度ケイシさんが来たときに、体験してほしい自然の楽しみを教えてください。

粟野 ケイシさんは初めて登った山が、八ヶ岳の赤岳だと伺いました。

Keishi そうなんですよ。数回登っているとても好きな山です。今度ここに来たときは、赤岳を登るというか、赤岳を見に行きたいですね。ランドネで高見石小屋に2回行ったほかにも、プライベートで硫黄岳、編笠山とか8回くらい八ヶ岳には登ってます。タイニーガーデンから行くとしたら、北ヤツですか?

粟野 北八ヶ岳ロープウェイが近いので、半日くらいで歩けてリフレッシュできますよ。

Keishi あとは、山でのテント泊をまだやったことがないので、やりたいです。最初なのであまり登らず、山の見える場所に行きたいです。

粟野 天狗岳手前の黒百合ヒュッテとか。テントを張って、ビーフシチュー食べながら過ごしたり。あとは白駒の池のほうもいいですね。テント場もありますし、雪融けしたら苔がでてきて。

──タイニーガーデンは冬期、テント泊は受付ているんですか?

粟野 フローリングのみのキャビンを予約してもらって、テントで寝てもOKにしてます。何かあったときには、キャビンの中に入ってもらって。冬山でテント泊をする前に、ここで予行練習をするのにも活用してもらえたら。温泉もあるし、暖はとれるし。

Keishi それいいですね、ダメなとき逃げられるのは。きっとマットとか、いつも使っているものだと違うなとかあるだろうし。次は春、キャビン泊とテント泊、両方を使ってグループできたいですね。あとは滞在中、粟野さんに教えてもらった滝とか、また来る理由があるのがうれしい。

粟野 四季を通じていろんな表情はありますし、いま飲んでいる「エイトピークス」というクラフトビールを作っているおもしろい人とか、紹介したい人もいるので、ぜひまた来てください!

Keishi 絶対に来ます!

▲楽しいお話をありがとうございました!
▲また必ず!

タイニーガーデン 蓼科
長野県茅野市北山8606-1
TEL.0266-67-2234
www.urban-research.co.jp/special/tinygarden/

★今月のニューフェイス

BEST MADE/The Straight-Hold Hatchet-Yellow ¥20,900(税込)

アメリカのアウトドアブランド、ベストメイドの手斧。キャンプの薪割りに最適なサイズで、数年前から狙っていたもの。今後、手に入りにくくなるという噂を聞き、このタイミングで迷わず購入した。もっと安いものもあるが、このデザインにひと目惚れ。大事に育てていきたいものがまたひとつ増えた。

▲使い心地もバッチリ!

〇Keishi Tanaka
1982年11月3日、北海道生まれ。ミュージシャン。作詞家。作曲家。Riddim Saunterを解散後、2012年よりソロ活動をスタート。ライブハウスや野外フェスでのバンドセットから、ホールやBillboardでの11人編成ビッグバンド、さらには小さなカフェでの弾き語りなど、場所や聴く人を限定しないスタイルで年間100本前後のライブを続けている。2020年12月23日に新作『AVENUE』をリリース。『ランドネ』での連載は4年目に突入した。

Keishi Tanaka Official Site
https://keishitanaka.com

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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