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モデル仲川希良の「絵本とわたしとアウトドア」#18 きんいろのとき

「きんいろのとき」は、副題にあるとおり、豊かな秋の物語です。キリギリスが鳴き始めた遅い夏の夕方から、風が最後の葉っぱを吹き落とす冬の始まりの日までを、自然の姿や農作業のようすを通して丁寧に描いています。

深まっていく秋のなかで、刈り取り機の音が響いたり、どんぐりが雨のように落ちてきてリスが右往左往したり、子どもたちが果実採りを手伝ったり。自然の恵みを受け取る収穫の日々を読み進めるうち、自分の心にも暖かさが蓄えられていくのを感じます。

そして見返しから印象的に使われている、黄色。光をたっぷり含んで、その輝きはページから溢れんばかり。見上げた梢も足元も、色づいた葉で視界が染められたときのことを思い出します。森を彩る黄色はさまざまですが、私が好きなのはカラマツ、カツラ、イタヤカエデ……その葉を透かして降り注ぐ陽の光に全身が包まれる、あのたまらない瞬間はなんと呼べばいいのでしょうか。幸せなような、切ないような、まさに「きんいろのとき」。

山ではより強く、この黄金の瞬間を感じられる気がします。冬が長く、その分春から秋がぎゅっと凝縮されるのが山の季節です。とくに夏の終わりから冬を迎えるまでの鮮やかでドラマチックな変化は、その速さゆえに切なさが増します。

息を飲む美しさをどうにか留められないものかと願う気持ちも虚しく、次々舞い散る木々の葉。色とりどりに降り積もったそれに足を乗せるとふかふか、日陰にそっと伸びた霜柱を踏むとざくざく、足元の感触も次々変わって冬へと急き立てます。

秋のカラマツ林は黄金色。高峰高原へと上るチェリーパークラインは、標高をあげるにつれその色が深まっていくようすを、ドライブしながら楽しめる。高原からは眼下に広がる金色の絶景が一望できる

絵本のなかでは、全ての収穫を終え、家族みんなでご馳走を囲む「感謝祭」で秋が締めくくられます。季節とはわけられるものではなく、グラデーションで変化していくと常々感じているものの、どこかで一区切りつけるとしたら、私はこの秋の終わりかもしれません。木々の葉が落ち切って、夜におりる霜が朝になってもとうとう融けず、その上に初雪を迎えるそのとき。

静寂と休息の冬もまた、再びはじまりのときとなる春まで、真っ白な素晴らしい世界を見せてくれることは知っています。それでも秋に繰り広げられるクライマックス的な美しさは毎年名残惜しさを感じずにはいられず、その終焉とともに自然の営みそのものへの感謝が静かに心に広がるのを感じるのです。

さあ、山の上からは雪の便りが続々と届き始めました。私の住む街もそろそろ、金色のときに包まれます。

 

 

きんいろのとき
(アルビン トレッセルト・文、ロジャー デュボアザン・絵、えくにかおり・訳/ほるぷ出版)
全編を通して「うれしい」「幸せ」といった感情的な表現は出てこないけれど、ページに確かに充ちる幸福感といったら! 美しい邦訳は江國香織さんによるもの

 

モデル/フィールドナビゲーター
仲川希良
テレビや雑誌、ラジオ、広告などに出演。登山歴はランドネといっしょの12年。里山から雪山まで幅広くフィールドに親しみ、その魅力を伝える。一児の母。著書に、『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』

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仲川 希良

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仲川 希良

テレビや雑誌、ラジオ、広告などに出演。登山歴はランドネといっしょの12年。里山から雪山まで幅広くフィールドに親しみ、その魅力を伝える。一児の母。著書に、『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』

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