【いつか泊まりたい山小屋#18 八ヶ岳・蓼科山頂ヒュッテ】若女将が紡ぐ、蓼科山山頂直下の“心のふるさと”
ランドネ 編集部
- 2022年05月20日
「あの山小屋に泊まってみたい」。そんな憧れが、山へ向かうきっかけになることもあるはず。本連載では、立地や食事、山小屋の主人やスタッフの人柄など、その山小屋ならではの魅力にスポットを当てながら、ランドネ編集部おすすめの山小屋をご紹介。18軒目は、八ヶ岳の最北端、蓼科山の山頂直下に建つ蓼科山頂ヒュッテをピックアップ。
Index
創業時から受け継がれている、登山者へのおもてなしの心
急峻な岩稜の多い南とは対象的に、なだらかで針葉樹林が生い茂る北八ヶ岳。その北八ヶ岳のなかでもっとも北にあるのが、別名“諏訪富士”とも呼ばれる蓼科山だ。今回ご紹介する蓼科山頂ヒュッテは、その名のとおり、蓼科山の山頂直下に建っている。
この山小屋が設立されたのは、1959年。現在は3代目の米川佐和子さんがオーナーとなっているが、「ようこそ! 心のふるさと蓼科山頂ヒュッテへ」という看板が入口に掲げられているように、登山者へのあたたかなおもてなしは創業時から変わらない。
人々が集う食堂に、アップライトピアノやヴィンテージの真空管アンプ、特大のスピーカーが2台設置されているのも、登山客をもてなすサービスのひとつ。宿泊客はピアノを演奏したり、お気に入りのCDを持ち込んで音楽鑑賞したりして、滞在のひとときを楽しむことができる。夕食時に、山小屋のスタッフによるピアノ演奏が行われることも。
宿泊客へのおもてなし精神は、食事からも感じることができる。スタッフが手間暇かけて作る夕食や朝食は、味も品数も、山頂にある山小屋のものとは思えないクオリティ。蓼科山頂ヒュッテは、電力は太陽光、水は雨水を使用しているが、そういった制約のある環境のなかで作られたと想像すると、おいしさがよりいっそう深まるはず。
3代目オーナーが新しく作り上げた“おしゃれな”世界観
蓼科山頂ヒュッテは、代々続くあたたかな空気感が流れていることに加えて、佐和子さんの感性が山小屋のサービスの随所に活かされていて、おしゃれな世界観に満ちている。
館内で見られる、手書きの喫茶メニュー、和紙に押し花を付けたランプシェード、大部屋のカーテン、登頂記念バッチの販売箱などはすべて佐和子さんの手作り。そうしたひとつひとつが、お気に入りのカフェを見つけたような居心地のよさを宿泊客に提供しているのだ。
お土産は品数が多く、なによりデザインがいずれもキュートなものばかり。手ぬぐいひとつとっても20種類以上あり、染め方やカラーにもこだわりが深い。ウェブサイトにも写真が載っているので、山小屋を訪れる前にチェックしておこう。
山小屋から目指すおすすめルート【蓼科山頂ヒュッテ~北横岳~北八ヶ岳ロープウェイ 片道約5時間】
蓼科山頂ヒュッテや蓼科山までのおもなアプローチは6つもあり、アクセスの都合や体力、見たい景色によって歩き方を選ぶことができる。ここでおすすめしたいのは、蓼科山の“諏訪富士”らしさを眺められる、北横岳まで歩くルート。いったん天祥寺原まで下山してから登り返すので、体力的にはややハードだが、北横岳の山頂を踏めば、台形の美しい蓼科山の絶景がごほうびに待っている。
北横岳山頂から北横岳ヒュッテを経由して1時間ほど下れば、北八ヶ岳ロープウェイの山頂駅に着く。ロープウェイの山麓駅からは、JR茅野駅までのバスが一日4~5本運行しているので、事前に時刻を調べておいてスケジュールを組み立てよう。
新しさも取り入れながら、創業時から続く居心地のよさを守り続けている蓼科山頂ヒュッテ。一度訪れたらまた足を運びたくなる山の上のふるさとは、山小屋スタッフの心配りによって、日々紡がれているのだ。
蓼科山頂ヒュッテ
https://www.tateshinayama.com/
・標高:2,530m
・営業期間:4月下旬~11月上旬、12月31日~1月1日
・宿泊料金(税込):1泊2食10,000円、素泊まり7,000円、お弁当1,000円
・電話番号:090-7258-1855(山小屋直通)
・コロナ禍での確認事項:完全予約制、寝袋orインナーシーツ持参推奨(持参の場合宿泊料金の割引あり)、マスク・アルコール消毒液要持参
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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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