災害時に必要な水や食料の量とは|自然を愛する私たちにできる災害との向き合い方
ランドネ 編集部
- 2023年03月09日
災害時に大切なのはなんといっても「気力」と「体力」!その源として、「食」と「睡眠」が大きな役割を果たします。昨今、食に関する情報はたくさんあるけれど、実際に自分が備えておくならどうすればいいの?と思う人も多いはず。
今回はアウトドアの視点から、災害時に必要な水と食料について考えてみました。
Index
災害時に必要な量は最低3日分
実際に必要な量は人によってさまざま。平均値以外にも、自分はこのくらいという目安を知っておこう。
水と食料はどのくらい必要か?
「実際に自分がどのくらいの水や食料を準備すればいいのか?」この質問に正しい答えを出すのは、じつはすごく難しいもの。
人は体格も体重も一日に消費するカロリーなどもまったく違います。つまり、同じカロリーを摂取してもAさんは足りるけどBさんは栄養不足で体調を崩すといったケースが充分にあり得るのです。
水分も同じで、暑い時期だと汗や呼吸量が増え、出ていく水分は多くなるので摂取量が多くなり、運動量によっても大きく変わります。コンディションにもよることを理解しておきましょう。
また、必要な水分や食料をそろえてみると、意外と多く重い場合もよくあるケースです。1人分ならまだしも、家族全員分となると、実際に運んでみようとすると避難時にとうてい動かすのは無理といった場合も出てきます。
これから紹介する最低限の食料、水分量を目安に、さらに精神安定上満たされるおいしい物や軽さ、質量とのバランスを考えながら自分にぴったりの備蓄食料、水分を準備してみましょう。
必要な「食料」はどのくらい?
5大栄養素を意識する
「おいしい」にプラスして、糖質、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルが補給できることをベースに、できるだけ多くの栄養素が摂取できる工夫ができるとベストです。補給しにくいビタミンCやナトリウムなどは栄養補助食としてタブレットでの補給もありです。
荷物に余裕があるなら6〜7日分
通常3日分といわれているが、できれば6〜7日分、マンション高層階では10日分は準備したいもの。災害レベルや地域によっては救援物資がすぐに届かない場合があります。毎食ちゃんとした食事でなくてもいいのでナッツやドライフルーツを多めに用意して数食分にするなどの工夫をしましょう。
食べ慣れた嗜好品や調味料も
嗜好品や調味料は備蓄食として省きがちだが、じつはこれがとても重要。配給された食事に少し味を追加して自分好みに味を変えたり、ちょっとしたときに大好きな嗜好品を口にすることで活力が生まれたりもします。
身体活動レベル
「自分はいったい1日にどのくらいのカロリーを摂取したほうがいいのか?」、その答えは厚生労働省のデータを参考に。もちろん、このほかにも天候や気温、運動量などさまざまな要因があるので、この数値から200〜300kcal程度多めにするとより安心です。
レベルI
生活の大部分が座位で、静的な活動中心
レベルII
座位中心の仕事だが、職場内での移動や立位での作業・接客など、あるいは通勤や家事、軽いスポーツなどのいずれかを含む
レベルIII
移動や立位の多い仕事への従事者。あるいはスポーツなど余暇における活発な運動習慣をもっている
※15~69歳の活動レベル
1日に必要な摂取カロリーの一覧表
※参考文献:厚生労働省
必要な「水」はどのくらい?
人間が1日に最低限必要な水の量は2リットルといわれています。これは、飲料としての量だけではなく、料理のなかに入っている水分も含まれます。喉の渇きは精神的ダメージも大きいもの。できるだけ無駄なく水分を摂取できるように、調理の際も麺の茹で汁をスープにするなど工夫をしましょう。
摂取以外にも、清潔な水は貴重になってきます。予備の飲料としてはもちろん、災害時に気をつけなければならない衛生面のケアでの水の使用も大切になります。また、少しだけ沸かしたお湯をタオルに染み込ませて体を拭いたときのリフレッシュ感は、明日への活力にもつながってきます。
その他の用途
・予備の飲料
・傷口の洗浄
・体を拭く
・洗面
・歯磨き……など
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隠れ脱水に気をつけ、こまめな水分補給を
春や秋で汗をあまりかかなくても、じつは体を動かしているときの口呼吸で水分を失っていることもあります。また、トイレが行列、衛生面で行きたくないなどの理由で水分摂取量を減らしてしまうことなどから、知らず知らずの内に脱水症状になってしまう場合があります。意識的に、こまめに水分補給をしましょう。
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乳児がいる場合は、粉ミルクや液体ミルクなども携帯
母乳で子育てをしている人も、災害時に母親がストレスや疲れで母乳が出にくくなるなどのケースがあります。災害時の備蓄として必ず粉ミルクや液体ミルクなどを用意しましょう。また昨今、理解度が高まったとはいえ、乳児、幼児用のミルクや離乳食などがすぐに手に入らない場合を想定しておくことも大切です。
教えてくれたのは
長谷部 雅一さん
アウトドアプロデューサー。ビーネイチャー取締役。アウトドアイベントや環境教育のプロデュース、防災関連イベントの企画・運営・講師など、幅広く活動する
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地震、大雨、雷、噴火など、日本全国で起こりうる天災に対して、どんな備えができるのか。自然のなかで遊ぶアウトドアの技術を、役立てることはできるのか。考えながら、自分なりの対策方法を見つけていただける一冊です。ぜひチェックしてみては。
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ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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