芸人・桜花さん(後編)│低山トラベラー、偏愛ハイカーに会いに行く#3
ランドネ 編集部
- 2023年04月28日
低山トラベラーの大内征さんが山好きさんと山を歩く、「偏愛ハイカーに会いに行く」連載がスタート。山の愛し方は人それぞれ、とはいうけれど。十人十色の偏愛ワールドをのぞいてみれば、これからの山の愛し方とその先の未来が見えてくる、かもね。
Index
今回の偏愛さん
芸人 桜花さん
ダジャレで人を笑わせたい! とお笑い界に飛び込む。趣味の登山は、山小屋や登山用品店で働くほどはまり、趣味の登山とダジャレを組み合わせたネタを披露。ライブやYouTube チャンネル「桜花の頂きマウンテン」でみんなを笑顔にしている。
Instagram @mountainohka/Twitter @FANTASICOHKA
山のこと 笑いを交えて ひょうきんに(俳句でハイク)
ところで、桜花さんと歩いた秩父は長瀞の宝登山について触れておきたい。関東圏のハイカーにはおなじみの低山である。いまは宝の登山と書いて「ほどさん」と読むけれど、そのむか しは「火(ほ)・止(と)」の山だったそうだ。これは、日本武尊が遭遇した山火事を、たくさんの狼が現れて踏み消したという伝説が由来だと、ふもとの宝登山神社に伝わる。山頂に鎮座する宝登山神社奥宮の前で狛オオカミが出迎えてくれるのは、そういった背景。
宝登山は標高497mながら、秩父を一望する絶景の山でもある。広い山頂の南面に広がる蝋梅で有名だから、登ったことがあるというランドネ読者もいることだろう。ほかに福寿草、まんさくの花、梅に桜にと、花の美しさは秩父でも随一。山頂の下までロープウェイがあるので、登りか下りで利用すれば、山の上ですごす時間をたっぷりとることもできる。その意味で、たとえば軽めの運動で山の空気に触れたい、久しぶりの登山だったり、ケガや病気のあとのリハビリハイクをしたいといった人にもおすすめ。熟練者なら、重い荷物を背負ったトレーニングにもいいだろう。
桜花さんと登ったのは、3月初旬のおだやかな晴れの日だった。最盛期をすぎたと思って期待していなかった蝋梅が意外と咲いていたため、山頂で鮮やかな黄色を目撃したときは、おたがいテンションがあがったのはいうまでもない。梅や福寿草が見ごろを迎えていたこともうれしかった。これから新緑を迎える宝登山だけど、何度歩いてもいい山だと、ぼくも思っている。
そうそう、桜花さんの山へのこだわりは「急に決める」ことだそうだ。前もって計画することもあるけれど、いっしょに行く山仲間を先に決めてから山を選んでいる。ここをホームマウンテンのひとつと話す桜花さんのことだから、もしかしたら急に思い立って宝登山を歩く日があるかもしれない。そんなときは、会えたら「ハピピーン!」だし、会えなかったら「ガビボーン!」だ。これさえ覚えておけば、桜花さんは高速回転でダジャレを返してくれるに違いない。
低山トラベラー、山旅文筆家
大内征(おおうち・せい)
歴史や文化をたどって日本各地の低山を歩き、ローカルハイクの魅力を探究。NHKラジオ深夜便、LuckyFM茨城放送に出演中。著書に『低山トラベル』など。ライフワークは熊野古道
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- Credit :
- Photo&Text/S.Ouchi 大内征
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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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