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【いつか泊まりたい山小屋 #37 尾瀬・長蔵小屋】約90年の歴史をもつ山小屋で、湿原に浸る一日を

「あの山小屋に泊まってみたい」。そんな憧れが、山へ向かうきっかけになることもあるはず。本連載では、立地や食事、山小屋の主人やスタッフの人柄など、その山小屋ならではの魅力にスポットを当てながら、ランドネ編集部おすすめの山小屋をご紹介。37軒目は、尾瀬沼のほとりに建つ、長蔵小屋をピックアップ。

尾瀬の保護に尽力した平野長英氏が建てた山小屋

▲温もり溢れる木造の山小屋。収容人数は180名で、とくにミズバショウが見頃の初夏や紅葉の秋には多くの宿泊客で賑わう。

福島県側の登山口、沼山峠から片道約1時間。2021年にリニューアルオープンした尾瀬沼ビジターセンターがある尾瀬沼の東岸に、長蔵小屋は建つ。尾瀬を開拓し燧ヶ岳への登山道を開いた平野長蔵氏の息子であり自然保護運動に尽力した平野長英氏が、昭和9年(1934年)に建てた山小屋だ。その後、代々の山小屋主人たちも、先代の意思を引き継いで美しい尾瀬の保全に貢献してきた。

約90年という長い歴史をもつ山小屋だが、館内は清潔に保たれ、旅館にいるような快適な滞在を味わえるのが魅力だ。周囲に水が豊富にあるため、お風呂と温水洗浄便座を完備したトイレも。また山の本をはじめ幅広い図書が本棚に並ぶ談話室があり、退屈せずに時間を過ごすことができる。

▲玄関には、昔の登山道具や尾瀬をモチーフにした絵画などが飾られており、登山者を迎え入れてくれる。
▲長蔵小屋の夕食は、写真のハンバーグのようにボリューム満点なところが特徴。連泊の宿泊客のために、日によってメニューを変えているのもこだわりだ。 

徒歩数分の場所にある山小屋直営売店をめぐろう

▲本館のすぐ近くに別館があり、1階の喫茶室でコーヒー、ハーブティー、ケーキ、ピザなどをいただける。

徒歩数分の場所に直営のカフェや売店があることも、この山小屋ならではの特徴だろう。本館の館内にもコーヒーをいただける談話室やお土産が購入可能な売店はあるが、本館とは別の建物内にカフェと売店があり、それらをめぐるだけで街歩きをしているような気分を楽しめる。カフェや売店で購入したものを、水辺に設置されたテラスでいただくもよし。山小屋にチェックインした後の時間や、翌朝の出発までの時間にめぐってみては。

▲本館や別館から徒歩数分の場所に、長蔵小屋直営の売店がある。看板を制作したのは山小屋のスタッフで、別館の看板も手がけたそう。
▲売店内では、オリジナルTシャツ、手ぬぐい、絵はがき、「夏の思い出」を奏でるオルゴールなど、尾瀬ならではのお土産が充実。

山小屋から目指すおすすめルート【長蔵小屋~尾瀬沼一周 約3時間】

▲沼尻から燧ヶ岳に向かって少し歩いて振り返ると、このような景色に出会える。

長蔵小屋に泊まれば、尾瀬を代表する名峰・燧ヶ岳へも片道約4時間で目指すこともできるが、ここでは尾瀬沼一周をおすすめしたい。沼の周辺を歩くので高低差が少なく、登山の未経験者や初心者でも無理なく踏破することができる。夏であれば高山植物を、秋であれば草紅葉を愛でながら、のんびり散策しよう。

途中にある見どころは、尾瀬沼の西岸にある沼尻平。ここには池塘群が点在し、湿原ならではの絵画のような風景が眺められる。北まわりでも南まわりでも長蔵小屋から歩くと中間地点にあたる場所に位置し、ベンチなども置かれているので、休憩ポイントに設定するといいだろう。

▲水辺で小休止。木陰の下に腰掛けて、水と木々が織りなす風景を堪能しよう。

90年もの間、尾瀬を愛する人々の手によって受け継がれてきた長蔵小屋。できるだけ長く滞在し、その歴史を感じながら、湿原の美しい風景を目に焼き付けてほしい。

長蔵小屋
https://chozogoya.com/
・標高:1,660m
・営業期間:4月下旬~10月下旬
・宿泊料金(税込):【個室】1泊2食14,000円(1名)、素泊まり10,000円(1名)/【相部屋】1泊2食11,000円(1名)、素泊まり7,000円(1名)、お弁当900円(おにぎり弁当)
・電話番号:0278-58-7100

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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