アウトドア好きなわたしたちができるSDGs【#5 コトパクシ】
ランドネ 編集部
- 2023年06月21日
2013年にアメリカのソルトレイクシティで産声を上げた、アウトドアブランドのコトパクシ。アウトドアギアで主流の単色や2色使いの展開ではなく、気分を上げるカラフルな生地使いに込めた思いとは。“Gear for Good ”を掲げ、世界をより良く変えていこうとするブランドについて、今年オープンしたコトパクシ東京店スタッフのおふたりに伺いました。
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おじゃましたのはこちら
コトパクシ トウキョウ
東京都世田谷区北沢3-19-20 reload1-8 区画
TEL.080-4000-6041
営業時間:11:00~20:00 定休日:不定休
お話を伺ったのは
右)佐藤浩一さん
東京店の店長。北岳をはじめ、北・南アルプスの3,000m峰への登山が趣味という、本気の山男。雪山を求め、ワーキングホリデーでニュージーランドに行くほど、スノーボード好きでもある。
左)山﨑由佳さん
サーフィンとスノーボード、美術館めぐりを愛する鎌倉っ子。波のない日は、コトパクシのバックパックで鎌倉アルプスへ登りにいく日も。アパレル業界は長く、明るい接客がトレードマーク。
高品質な余剰生地が、鮮やかな一点モノとして蘇る
――コトパクシのバッグの色は、見ていて気分が上がります!
山﨑 ブランドの象徴でもある、Del Día(デルディア)コレクションのバックパックですね。このカラフルな色合いに惹かれてお店に入ってこられて、そのあとに「アウトドアブランドだったの?」と驚かれるお客さんも多いんですよ。
――90年代中盤のファッションを彷彿とさせる多彩な色使いは、ほかのアウトドアブランドと一線を画していて新鮮。ファスナーの差し色やアシンメトリーの配色など、遊び心に
あふれています。
山﨑 森のなかやゲレンデ、町中でも、コトパクシユーザーは目立つからすぐ見つけられるんです!
佐藤 じつは、このマルチカラーの生地使いに、ブランドの思いが込められているんです。生地は、ほかのアウトドアメーカーの生産過程であまった残材を再利用しています。
山﨑 捨てられる運命だったさまざまな生地を各社から集め、パーツで縫い合わせて作るので、このマルチカラーが生まれるんです。
――ポップな色合いを生み出せるだけでなく、不要になった生地の再活用にもつながってるんですね。
山﨑 はい。今シーズン使った生地が来年仕入れられるとは限らない。だから、Del Díaコレクションのバッグは、どれもおなじ配色がない”一点モノ”なんです!
佐藤 この生地パターンを造り出しているのは、フィリピンやインドの職人さんたち。製品の一部は、賃金が支払われるフェアトレード認定工場で造られているんです。
山﨑 ブランド創業者のデイビス・スミスは、少年時代にエクアドルのほか中南米各国を移り住んでいました。そのとき、目の当たりにし、心に残ったのが貧困に苦しむ人の姿。
自分の好きなアウトドアの世界を通じ、世界中の貧困層の人々を救えないか――。その思いをカタチにしたのが、コトパクシなんです。
旅や山行を盛り上げるアクセサリーバッグ
佐藤 ちなみにブランド名は、デイビスが登山や周辺でキャンプを行っていた、エクアドルのコトパクシ山から取っているんですよ。ブランドアイコンは、南米のアンデス地方に
棲むリャマがモチーフです。
――不思議な響きのブランド名は、思い出の山から来てたんですね。
佐藤 はい。そのデイビスの思いが原点にあるからこそ、現地の生産者や職人さんたちの
労働環境の充実、発展途上国の人々の自立促進のお手伝いを積極的に行なっているんです。また、収益の1%は学校や病院の設立など、貧困への取り組みや地域開発の寄付に、使わせてもらっています。
山﨑 ユーチューブでコトパクシの製品を作る職人さんたちを見られるんですけど、彼らの笑顔がすごくすてき。たぶん、いい環境で働いているのかなと思います。私たちも、彼らの造った製品の届くのが毎回楽しみで。「今回は青系でまとめてきたか!」「これは秋っぽい配色だな」など、いつも新鮮な驚きがあります。
美配色の奥に潜む機能性と収納性
ハイドロフラスクとカラフルコラボ!
――ホームページを見ると”Gear for Good”という文字が大きく踊っていますが、この言葉にはどんな意味合いが込められているのでしょうか?
佐藤 アウトドアギアを通じて、よりよい世界に変えていこうという意思表示ですね。マスプロダクトだと、往々にしてGood for Gear=良いギア作りに視線がいきがちですが、僕たちは良質なアウトドアギアで、使い手から作り手、環境まで、みんながハッピーになれることをしよう、と心がけています。たとえばウエアへの撥水加工。一般的なフッ素系加工剤を使えば、簡単に強力な撥水力を手に入れられる。でも、フッ素加工剤は環境や人間に良くない影響を与えるといわれています。なので、コトパクシは手間がかかってもフッ素を含まないポリウレタンコーティングを、選択しているんです。
山﨑 ダウンはRDS認定を受けたモノを使っています。RDSとはResponsible Down Standardの略。動物を人道的にあつかいながら採取したダウンなんです。
夏の必需品にも高鳴りカラーを
――使っている化繊は100%リサイクルだし、Tシャツには環境に配慮したオーガニックコットンを混紡する点も、コトパクシらしさですね。おふたりは最近、ウエアやギアを
買うときに意識していることはありますか?
山﨑 トレンドを追うのではなく「これ本当に自分に合うのかな?」と、購入前にいったん立ち止まるようにしています。値段的にリーズナブルな服をどんどん買いかえるので
はなく、本当に必要なモノを買うのも、普段自分たちができるSDGsだと思いますね。最近は、ブランドの製造背景にまで思いを馳せることも増えました。なので、ここに来店するお客さんにも、なるべくコトパクシの背景を伝えるようにしています。
佐藤 私も同意見です。ある程度登山の経験値が増えてくると、レイヤリングや担いでいくべきものがわかってくる。だんだんと余計なものを排除するようになっていくんですね。使わなくなったものは友人にあげたり、寄付したりしています。
現地職人のセンスが光る楽しい色使い
――おっしゃるとおり……なんですが、コトパクシのバックパックを衝動買いしたい(笑)。
佐藤 どうぞ、じっくり見ていってください。最高の配色を探そうと、お客さんが長時間悩まれるのも”コトパクシあるある”です。
山﨑 再度お店にいらしたときに、購入を保留した配色のモデルが、も
う売れてしまってることがあるのも”コトパクシあるある”!
――その一期一会もまた、一点モノの醍醐味ですもんね。
山﨑 はい。そうやって懸命に選んでいただいたバッグやウエアを、リペアしながら使い込んでいくのがすてきだと思っています。コトパクシは生地の破れやファスナーの故障なども、修理を有料で受け付けていますから。いい味が出るまで育ててくれたら、私たちもうれしいですね!
働き口の少ない人々の人生にも彩りを
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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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