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ニセコの大地と一体化!日常を忘れるマインドフルネスな旅【坐忘林】

外国人観光客人気No. 1 なぜ今ニセコなのか?

中国、タイ、オーストラリアなど海外に住む友人達に、日本を訪れるならどこへ行きたいか?と尋ねるとその多くが口を揃えて「NISEKO!」と言うほど、ここ数年は特に外国人から絶大な支持を誇るニセコという地。北海道でも札幌でもなくて、なぜニセコ?一体何が彼らをそれほどまで魅了すると言うのだろうか?その答えは、今回私が宿泊した【坐忘林(ざぼうりん)】に潜んでいました。

羽田空港から約1時間半で新千歳空港へ、そこからさらに車で約2時間、という決して好アクセスとは言い難い秘境に位置する、北海道ニセコ町。アイヌ語で「ニセコ=切り立った崖」を意味するように、地形柄、波状傾斜の多い丘陵盆地を形成していて、手付かずの自然の中に人が切り出した田園などの美しい風景が望めます。冬場は世界有数のパウダースノーを求めた外国人観光客やスノーボーダーが集うリゾート地として知られています。

五感に働きかける演出に導かれて非日常世界へ

「蝦夷富士」とも称される羊蹄山を望む深い原生林の中にひっそりと佇む、隠れ宿【坐忘林】。

「静坐して現世を忘れ、雑念を取り除く」という禅の言葉に由来しているように、長い道のりを経てようやく辿り着いた秘境に一歩足を踏み入れれば、時間を忘れ、日々の邪念も雑念も、煩悩さえすべて払えるような不思議な心地に浸れます。

どこまでも果てしなく続く雄大な大自然の中に突如現れる無機質なコンクリートの佇まいは、意外にも周囲の雑木林に溶け込み、景観を壊すどころか、近代美術館のようなある種のモダンアートとして存在しているような印象さえ受けます。

前の晩にはどこよりも早い初雪を観測したという絶好のタイミングで訪問できたのもまた奇跡。聳え立つ白樺と調和するように、辺り一面は薄っすらと雪化粧していました。澄んだ空気の中で吐く息は白く、時折吹き付ける風はヒヤッと冷たく感じ、秋から冬へと時間をかけてゆっくりと移ろう様を肌で感じられました。

エントランスには暖炉で薪がバチバチと音を立てて燃えて、ふわっと木々の香りが立ち込めて、遠くから遥々この地を訪ねて来たゲストを「ようこそ」と温かく出迎えてくれます。

まずはこちらで、目の前で点てられるお抹茶と御茶菓子をいただきホッと一息。見事なお点前を拝見できるのもまた外国人ゲストはもちろんのこと、普段日本の伝統文化に触れる機会のない現代人にとっては新鮮で、心に残るおもてなし体験でした。

視覚に、聴覚に、嗅覚に… 五感に働きかけるきめ細かな演出の数々によって、徐々に非日常世界へと導かれるよう。

和とモダンの融合!自然と一体化したこだわりの空間づくり

坐忘林はわずか15の客室のみでなり、限られたゲストを丁寧にもてなしてくれます。客室までのアプローチもまた素晴らしく、全面ガラスの向こうに茂る白樺や池を囲うように、廊下でひと綴りになっているものの、コの字型に客室が独立して並んでいて、光の差し込む角度さえ計算し尽くされているのではないかと思うほど。天候や時間帯によって見せる景色が異なり、その変化を楽しませてくれます。

坐忘林を象徴する「棟間(とうま)」と呼ばれる空間には、雪解け水が滴る落ち葉が敷き詰められ、その奥には枝葉を落とした木々が覗き、わずか1m2ほどのスペースの中に四季の情景を垣間見ることができます。

各客室には単なる数字ではなく、雪に纏わる名が施されていて、今回私が宿泊したのは「SOTOYUKIWA(外雪輪)」。大きなソファを設えたリビングと、畳が敷かれた小上がりの和寝室からなり、和と洋が心地よく共存しています。

銀世界を望む、フォトジェニックな岩造りの源泉掛け流し露天風呂

そしてもう一つ、坐忘林の象徴とも言えるのが温泉です。源泉掛け流しの内湯と、さらに扉の向こうには一尋でも足りないほど巨大な石をくり抜いた、大胆な造りが印象的な露天風呂があります。ある種の芸術品のような存在感で、思わず写真を撮りたくなるほど。

東向きの客室には朝日が目一杯差し込み、湯船を神々しくキラキラと照らしています。視界には雪と白樺が作る銀世界が広がり、遠くに山並み、右手には雄大な羊蹄山が飛び込んできます。ひんやりとした外の空気に対して、少し熱めのお湯加減と柔らかな泉質がなんとも絶妙で心地よく、湯船からヒノキの香りが漂い、いつまでも浸かっていられそうな気分。水面に反射して映し出された青空と白樺が織り成す景色もまた美しく、最高に贅沢な朝風呂の瞬間でした。

北海道を食べ尽くす感動の食体験

坐忘林のこだわりは食事にも至ります。「KITAKAISEKI(北懐石)」と書かれた献立は、瀬野料理長が毎日考案して直筆しているそう。日本語と並んで英語表記もあり、外国人ゲストへの配慮を感じさせます。

たとえば「ヌプリの吹き寄せ」や「蝦夷鹿肉の豊年 燻し焼き」など特産品を多用し、地産地消を心がけているのも印象的。

北の海から獲れる新鮮な魚介類と、羊蹄山から湧き出る澄んだ水と、昼夜の気温差がある厳しい環境下で育った作物は旨味やが凝縮しており、ニセコの地形を生かした地元食材を存分に楽しめます。朝食で使用したお箸には坐忘林と刻印されていて、持ち帰って再びここでの体験を思い起こすように作られています。

親日家の英国人が創り上げた理想の温泉旅館とおもてなしの心

チェックアウト後に訪れたのは、築150年の古民家をリノベーションした複合型施設「SUMOZA」。ギャラリーとレストランを兼ね備え、数々のアートや調度品が展示されています。二階には光の差す角度や、カメラのフィルター越しに見るような、正座をした時に覗き見える景色など、細部にまで計算を尽くし、こだわり抜いて造られた茶室などもあり、感動の連続でした。事前予約をすればランチもいただけるそう。次回はそちらもぜひ体験してみたいところ。

写真に写っているのが、SUMOZA のオーナーであり、坐忘林のアートディレクターで
もあるイギリス出身の男性。あらゆる高級旅館から民宿まで、日本中を旅して泊ま
り歩いた彼らが、特に北海道のニセコという地に魅せられて、その経験の中で行き
着いた理想の温泉旅館を形にしたのがまさにこの坐忘林なのだそう。

坐忘–精神集中と瞑想の極限において無為自然の道に一体化した状態にすること。

都会の喧騒から離れた静寂な空間で、呼吸を深くして、思考を手放して、自分自身と向き合う大切なひと時。

それはヨガや座禅、今注目のマインドフルネス瞑想にも通ずるような気がします。

情報があふれ、殺伐とした世の中で、悩み、苦しみ、悲しみ、苛立ちなど喜怒哀楽に揉みくちゃにされる昨今。あえて大自然の中に自分の身を置いて、無になることで、日頃抱えるあらゆる悩みやストレスから解き放たれる必要があるのではないでしょうか。

これから秋から冬にかけて、北海道旅行を視野に入れているYOLO GIRLSは今こそ。

ニセコの坐忘林で、身も心も解放する、マインドフルネスな旅を。

おすすめポイント
①親日家のイギリス人による唯一無二の温泉旅館
②岩をくり抜いたアーティスティックな源泉掛け流し露天風呂
③雪景色などの大自然と一体化する非日常空間でストレスリリーフ
■施設詳細
名称:坐忘林(ざぼうりん)
住所:北海道虻田郡倶知安町花園76-4
TEL:0136-23-0003
URL:https://zaborin.com
アクセス:羽田空港から新千歳空港+車で約2時間
所要時間:約4時間
料金:57,000円~(一泊二食付き、1名様につき)

テキスト・撮影:渡辺由布子

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