なぜ怒りが生まれるのか?【ヨガ的アンガーマネジメント】
大嶋朋子
- 2019年12月09日
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怒りは欲望から生まれる
怒りはなぜ生まれるのだろうか?ある人は期待があるからと言い、ある人は自分に実害が及ぶ時と言う。人それぞれのフックがあり、沸点も異なるだろうが、まったく怒らない人はなかなかいない。しかも、怒りはぶつけられたほうはもちろん、ぶつけた本人の感情も揺さぶる。
ヨガは心をコントロールするツールだ。そのため、「心」についてはどの教典でも多くのページを割き、分析している。例えば、B.C5世紀〜2世紀ごろに成立したとされる『バガヴァッドギーター』では、怒りについてこんな風に書いてある。
「人が感覚の対象を思い巡らす時、それらへの執着から欲望が生じ、欲望から怒りが生じる」(第2章62節)
知性が崩壊し、人類は滅びる!?
つまり、欲望がキーポイントになるというワケ。こうしたい、こうなってほしい、こうなりたい、こうであるべきだ…などの思いが湧いて、そこに執着してしまうと、そうならないことへの不満足感が怒りという形で現れてしまう。
しかも、これには続きがあり、「怒りは妄想や混乱を引き起こし、知性を崩壊。それが高じれば最終的に人類は滅びる」とまで書かれている(第2章63節要約)。
想念→執着・欲望→怒り→妄想→記憶の喪失→知性の崩壊→人類消滅
というプロセスだ。ちなみに「記憶の喪失」とは、妄想にかられるあまり、元の信頼関係などまで忘れてしまうということ。
ヨガでする怒りの対処法
もちろん、教典はそこで話を終わらせないので安心を。こんな風にすれば怒りを覚えても、ハッピーマインドになれるというプロセスを示唆している。ここでは、日常に落とし込んで紹介しよう。
【想念】
頭に浮かぶものを想念と言う。朝起きた時や夜寝る前などに、ふと思い浮かぶ感覚。
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【執着・欲望】
例えば「好き」という感情は執着の始まり。
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【怒り】
執着と欲望が満たされないと怒りが生まれる。
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【切り替え】
ネガティブ路線では、ここで妄想に走るが、対処法として有効なのは、まず呼吸。数回呼吸をしている間にイライラが収まり、冷静になれる。また、自分を客観視する余裕ができる。
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【ヨガをする】
自分のために自分の時間を使い、何かに没頭することで、余計な詮索をする心の隙間と時間を埋められる。また呼吸を伴うヨガのポーズを行うことで、セロトニンなどハッピーホルモンが分泌され、怒りを手放せるように。
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【いつも幸せ】
自分がハッピーを持続できるようになると、周囲にもポジティブマインドで接することが日常となる。類は友の呼ぶという法則のもと、周囲に集まってくるのも同じようなマインドの人達ばかりに。
ヨガを集中して気持ちよく行うことは、それだけで怒りを手放す方法だ。ただ、怒りを感じた時だけヨガをしても、なかなかすぐに怒りが収まらないもの。日ごろから呼吸法やヨガのポーズをする習慣を持つことで、自分の客観視や、マインドの切り替えなどがしやすくなっていくのだ。
監修=ヴェーダプラカーシャ・トウドウ
「ヴェーダセンター」主宰。ヨーガ瞑想教師、インド哲学・アーユルヴェーダ講師、インド政府公認プロフェッショナルヨーガ・インストラクター(AYUSH省QCI認定)、ヴェーダ詠唱家、心理相談員、インド祭祀(冠婚葬祭)祭司。4000人以上に瞑想を指導し、片岡鶴太郎氏の師としても知られる。
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監修=ヴェーダプラカーシャ・トウドウ
「ヴェーダセンター」主宰。ヨーガ瞑想教師、インド哲学・アーユルヴェーダ講師、インド政府公認プロフェッショナルヨーガ・インストラクター(AYUSH省QCI認定)、ヴェーダ詠唱家、心理相談員、インド祭祀(冠婚葬祭)祭司。4000人以上に瞑想を指導し、片岡鶴太郎氏の師としても知られる。
Illust=macco/Text=Tomoko Oshima(Lotus8)
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