ダイエットが上手くいく「くう・ねる・ヨガ」の相乗関係
大嶋朋子
- 2020年02月17日
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眠りはダイエットに影響する
忙しいとつい削りがちになってしまう睡眠時間。短い、浅いなど良質でない睡眠は、健康だけでなくダイエットにも影響があるらしい。ダイエットを効果的に行うためにはどんな睡眠がいいのだろう?
体脂肪が燃焼されにくくなる
眠らないと多くの生体リズムが破綻することがわかってきた中で、睡眠とダイエットの関係を示す主なキーワードの一つは「成長ホルモン」。
子どもでも大人でも、眠っている間に成長ホルモンが出ることは知られているが、睡眠不足になると成長ホルモンの分泌が低下。子どもでは発達障害が起こり、大人では体脂肪が燃焼されにくくなると言う。
副交感神経を優位にする
もう一つのキーワードは「自律神経」。自律神経は、自分の意思に関係なく働き、内臓や血管など体内の機能をコントロールする。体を活動モードにする交感神経と、休息モードに調整する副交感神経がある。
仕事に家事に趣味にと忙しい生活では、起きている間、食事と排泄以外はほとんどが活動モードで、交感神経が優位の状態。きちんと睡眠をとって副交感神経を優位にすることで両方のバランスがとれ、心身がしっかり機能する。
食欲が止まらない原因
この自律神経とダイエットの関係は、食欲のコントロールにあり。
「お腹が空いた、何か食べたい」という欲求は、オレキシンという脳内ホルモンが関わって交感神経が興奮することに始まる。そして食事中は副交感神経が優位になり、食物の消化・吸収を行う。すると、脂肪細胞からレプチンという物質が出て「もうお腹いっぱい」と満腹感が生じるというサイクル。
それぞれがバランスよく機能していれば、余計なものを欲さなくなり食べすぎることもない。だが、睡眠不足になると交感神経優位な状態が続き、オレキシンが出すぎて摂食行動が止まらなくなるのが問題。
自律神経のメリハリも大事
交感神経と副交感神経。交互に機能するのが理想的で、加えてその振れ幅の大きさも影響するらしい。
双方の振れ幅が大きい女性と振れ幅が小さい女性のBMI値と体脂肪率を調べたところ、後者の女性たちのほうがBMI値も体脂肪率も高いというデータも(女性心理医学2015)。
睡眠時間も肥満度に影響
さらに、睡眠時間とBMI値の関連を調べた結果(スタンフォード大学)にも注目。睡眠7〜8時間の人が最もBMI値が低く、睡眠時間が短い人(6時間)と長めの人(9時間)では、BMI値が高くなることがわかった。
つまり、ダイエットと睡眠にはとても深い関わりがある!
体脂肪を燃焼させる成長ホルモンを分泌し、食欲や代謝などの機能を正常に働かせるべく自律神経のバランスを整えるために、短すぎず長すぎない時間の睡眠をとること。これがダイエットを大いにサポートしてくれる。
良質な睡眠のためのヨガ
最近ではストレス過多の生活により、眠りにつけない、深く眠れていない人も多い。それには、交感神経をなだめてリラックスした状態にもっていくことが必要なのだが、ヨガは効果的にその状態に導ける。
重要なのは順番と内容。ウォームアップで体を慣らし、筋肉を使ってポーズをとり交感神経を上げてから、徐々にクールダウンして最後はシャヴァーサナでリラックス、という流れがいい。意図的に落差を作ることで、シャヴァーサナではしっかり副交感神経が優位になる。
ヨガを続けていくと自律神経が安定してくるので、睡眠リズムが整ってくるという。ダイナミックな効果をもたらす運動面とあわせて、ヨガはダイエットに大役立ちと言えそう。
監修:石井正則
いしいまさのり。医学博士。JCHO東京新宿メディカルセンター耳鼻咽喉科診療部長。ヨギーインスティテュート認定インストラクター・専門講師。
Text:内池朋子
- Brand :
- Yogini
- Credit :
-
Illust=園田レナ
Photo=中島聡美
Text=内池朋子
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