「筋トレ界のディープインパクト」尾藤朋美さんが続けるあくなき挑戦|トレーナー探訪
久下 真以子
- 2021年01月11日
フィットネス業界を支えるトレーナーを訪問して、仕事へのやりがいやトレーニングへのこだわりをインタビューする連載企画「トレーナー探訪」。
第9回は、「筋トレ界のディープインパクト」のキャッチフレーズで活躍する、尾藤朋美さん。トレーニングとランニングの両方を指導しているトレーナーです。キャッチフレーズの意味は一体、何なのでしょうか?
Index
トレーニングとランニングの両方を極める、指導者兼プレーヤー
トレーナーとして指導するだけでなく、自らもプレーヤーとしてボディメイクコンテストやマラソン大会などに出場し、数々の優勝実績を残し続ける尾藤さん。大学卒業後は保育士として働いていましたが、3年前に今の世界に飛び込みました。トレーニングとランニングの両方を極め続ける理由と、尾藤さん自身が目指すトレーナー像について、話を伺いました。
名馬のように駆け抜け、深いインパクトを。キャッチフレーズに込められた思い
「筋トレ界のディープインパクト」というキャッチフレーズが、まさしくディープなインパクトですよね。
日本の名馬である「ディープインパクト」の名前から来ているんです。「走れるトレーナー」であることをブランディングするとともに、自分自身が世の中に対して文字通り深いインパクトを残す存在になりたいという思いも込めています。
ご自身がランニングを始めたのは、なんとトレーナーになってからなんですよね。
トレーナーとしての武器を手に入れようと思った時にたどり着いたのが、走ることだったんです。実は、大ファンであるオリエンタルラジオの藤森慎吾さんがフルマラソン初出場にしてサブ4(4時間を切ること)を達成されているんですけど、私もそれが出来たらいいなと思ったのがはじまりですね。実際に、トレーナーになった翌月にフルマラソンに挑戦して、サブ4を実現できました!
それはすごいですね!現在、お客様にはどんな指導を提供しているんですか?
ランニングの指導に関しては、1対複数のセッションでも、初心者から上級者までさまざまな方が参加して上達できるように工夫しています。トレーニングに関しては、ジムを使ってのパーソナルトレーニングに加え、オンラインでの指導も充実させています。またオンラインサロンも主宰していますので、会員様同士の交流も楽しんでいただいていますね。
指導内容が豊富ですね。トレーニングを指導する際のこだわりなどはありますか?
体幹のトレーニングはすごく重視しています。スポーツをするにしてもそうだし、普段生きていく上でも、体の軸ってすごく必要なんですよ。腹筋をして腰が痛くなる方には「お腹じゃなくて腰の力を使ってしまっているからなんだよ」と体の使い方を説明します。しっかり土台から作っていくイメージですね。
なんとなくよりも、理解しながらの方が、納得してトレーニングできそうですね。
普段の生活に対するアドバイスに関しては、「ライフスタイルの中で出来ることをやっていこう」と伝えていますね。特にコロナ状況下で体を動かすことが減っている方も増えていますが、一番近くのコンビニではなくちょっと遠いコンビニまで行ってみるだけでも歩数は変わるし、テレワーク中のイスをバランスボールに変えるだけでも体の使い方は変わりますよね。いきなりガンガンやろうとしても習慣化するのが難しいので、そういったマイナーチェンジから始めてみるのを勧めているんです。
保育士からトレーナーへ。尾藤さんが明るいオーラで人を引き付けるワケは?
尾藤さんがトレーナーになったきっかけは何だったのでしょうか。
大学卒業後は、保育士として4年間働いていました。子どもが好きで、すごくやりがいを感じていました。でもその時期に、ダイエットからのリバウンドを経験したんですよ。今思えばヤバいんですけど、お菓子の箱食いが止まらなくて……せっかく5キロ落としたのに、一瞬で6キロ増えてしまったんです。ギュッと絞ったスポンジが一気に膨張するような感覚ですね。
それは辛い……。
「これは健康じゃない」と気付いたときに、いいやり方を勉強して、自分で発信できるようになりたいと思ったのがトレーナーになったきっかけです。トレーナーの資格を取ってすぐにフリーランスとして活動を始めたので、最初は右も左もわかりませんでしたね。最初は友達に来てもらって、紹介でつないでもらって、輪を広げていったという感じです。
尾藤さんは明るい笑顔と話し方がすごく素敵です。保育士の経験が生きているのではないですか。
小さい子どもたちの前でひたすらしゃべったり挨拶したり、分かりやすく伝えようとしてきたので、すごく声が大きいしボディランゲージが激しいんですよ(笑)。でも「ハキハキしてて聞き取りやすいよ」とお客様に言っていただくことが多いので、すごく生きているかもしれないですね。特にオンラインだと声が聞こえづらくなってしまうので、そういう点ではよかったと思っています。
数々のボディメイクのコンテストにも出場し優勝もされていますが、そのオーラもいい方向に影響したのではないでしょうか。
身長は153センチなので、出場者の中ではひときわ小柄だったんですよ。でも「こんなステージに立てることなんてない」と楽しんでいたら、ありがたいことに優勝することができました。会場にいた方にも、「尾藤さんを見たときに優勝するって思いましたよ」って声をかけていただいて嬉しかったですね。高校・大学とチアに打ち込んでいたことや保育士の経験から、笑顔でいることが染みついていたからかもしれませんね。同時に、「今ある状況を楽しむ」という自分の性格も影響したのかもしれません。
ポジティブなパワーを生み出し、お客様と一緒に成長し続ける
無理せず、少しずつ。「できた」の積み重ねで、キラキラした自分に
トレーナになって、尾藤さん自身の考え方や人生は変わりましたか。
めちゃくちゃ変わりましたね。本当に色んな人と出会えるし、色んな刺激をもらえるんですよ。去年の自分に比べたら今の自分のほうが確実にレベルアップしているんですが、周りのみんながもっと頑張っているから、自分もまた頑張ろうって思える。ずっと輝ける人でいたいという向上心が止まらないので、この仕事に出会えてよかったですね。
読者の皆さんに置き換えても、フィットネスを通してキラキラした人生を送りたいと思っている方は多いと思います。ただ、その一歩を踏み出すのがなかなかハードルが高いときもあるんですよね……。
新しい世界に飛び込むって怖いですよね。でもやってみると、意外とできてしまうんですよ。初めの一歩として、トレーニングウエアを買って着てみるだけでいいんです。ジムに行くのがキツいという方は、靴を履いてみるだけでもいいし、荷物を持って外に出るだけでもいい。ジムに着いてしまえば「せっかく来たしやってみよう」ってなるんですけど、そこに行くまでのハードルが高いですからね。ジムに行くのが難しければオンラインでもツールがありますし、できることから始めてみるといいと思います。
すごくわかります。ずっと家に眠っていたランニングウエアを着てみたら、実際に走りたくなった経験があります。
「今日はこれができた」という、自己肯定感の積み重ねが大事だと考えています。例えば毎日1キロだけ走るとすると、途中で歩いても10分くらいで帰ってこられる距離ですが、1ヶ月にすると30キロ走ったことになる。これってすごい財産ですよね。やったことを記録にしたり、日記にしたり、Instagramで発信すると、より目標に近づいていく実感も沸くと思うのでいいですね。仲間を作って楽しむのも、モチベーションになるのでおすすめです。
「できなかった」ではなく「できた」を積み重ねる。これが継続の第一歩ですね。
みんな歯を磨いたりお風呂に入るのって当たり前だし、やらないと気持ち悪いじゃないですか。それって「習慣」なんですよね。同じような感覚で、フィットネスが皆さんの中に組み込まれていけばいいなと思っています。ちょっとずつの意識が高まれば習慣に変わるし、当たり前のように出来るようになりますよ。
同じ方向を向いて走り続ける。尾藤さんの語る理想のトレーナー像
今後の目標はありますか。
自分の目標としては、世界で最も過酷なレースとも言われている「サハラマラソン」(サハラ砂漠で1週間かけて250キロ近くを走り切る大会)に出場して世界一になることです。去年の4月に出場予定だったのですがコロナ状況下で大会が延期になっているので、開催されたときには絶対に達成したいです。自分が挑戦する姿を通して、パワーをもらえる人が増えれば嬉しいですね。
尾藤さんは、指導者としてお客様と向き合うというより、お客様と同じ方向を向いて走っているような印象を受けました。
みんなで目標に向かって一緒に頑張りたいんですよね。「Seize your dream(夢をつかむ)」というのをモットーにしているんですけど、目標を口に出すことが大事だよと皆さんにお伝えしていますね。ポジティブなパワーをいっぱい作って、一緒に成長していきたいなと思っています。
尾藤さんがあれだけやっているから、自分も頑張ってみよう。そんな気持ちが生まれたら、素敵ですね。
サハラ砂漠に一緒に行こうとは言いませんよ(笑)。ただ、「尾藤さんといると元気が出る」って言っていただけるのと同時に私もお客様からエネルギーをもらっているので、この空気感や関係性は大切したいですね。まだまだトレーナー歴も浅いですし、指導者とプレーヤーの両立が完璧にできているかはわかりませんが、それができるトレーナーでいたい。後ろは向かず、前を向いて突き進み続けたいですね。
尾藤朋美(びとう・ともみ)
1990年生まれ。パーソナルトレーナー、ランニングコーチ、マラソントレーナー、ボディメイクアーティスト。高校・大学とチアに打ち込む。大学卒業後は保育士として働いた後、2018年3月にフリーのプロトレーナーとなり、同年4月にフルマラソンデビュー。チャレンジ富士五湖ウルトラマラソン118km総合優勝やNPCJ POWER HOUSE CLASSIC 2019部門別W優勝など数々の実績を持つ。マラソン自己ベストはフル3時間7分48秒、ハーフ1時間26分32秒。
公式HP:尾藤朋美
Instagram:tomomi_fitness
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Profile
YOLO / コンテンツディレクター
久下 真以子
現役のアナウンサーでスポーツライター(専門はパラリンピック、野球、サッカー)。トレーニング好きが高じてYOLOメンバー入り。夢はベストボディ出場とフルマラソン完走。欲しいものはウエストのくびれ。猫と一緒に暮らす30代女子。
現役のアナウンサーでスポーツライター(専門はパラリンピック、野球、サッカー)。トレーニング好きが高じてYOLOメンバー入り。夢はベストボディ出場とフルマラソン完走。欲しいものはウエストのくびれ。猫と一緒に暮らす30代女子。