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知っているようで知らない生理のしくみ〜生理の基礎のキソ〜

小学校の時、保険の先生から学んだ時は、自分の身に何が起こるのか恐る恐るだった月経、つまり生理の話。それから何年経つのか、今のあなたには生理は、周期的にやってくる憂鬱な時期?それとも浄化の期間?捉え方は人それぞれですが、生理は女性にとって重要な体のシステムです。女性の体のこと、妊娠のこと、そしてヨガやトレーニングとの関係の基礎知識、紹介していきます。

【生理のしくみ】生理(月経)システムの大基本

まずは、大基本。女性の体に備わったシステムをおさらいしましょう。ちなみに、生理は一般用語、月経は医学用語で、意味は同じです。

女性の体は毎月、妊娠できるように準備をしていきます。左右どちらかの卵巣より排卵して、精子を待ち、一方で子宮の内膜を厚くして赤ちゃんを受け入れる準備を整えます。

その時に精子と卵子が出会って受精し、子宮に着床すれば妊娠の成立です。妊娠しなかった時は、着床するために準備した子宮の内膜がいらなくなるので排出されます。それが生理(月経)です。

2種類の女性ホルモンが生理のしくみのカギ

このしくみのカギは、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類の女性ホルモンです。

先ほど見たように、卵子が卵巣から排出され排卵が起こるためには、脳からの指令が必要です。まずは、脳内の視床下部から下垂体を経由して、「女性ホルモンを分泌せよ」という指令が出ます。それが卵巣に届くと、卵巣からエストロゲンが分泌され始めます。エストロゲンには子宮内膜を厚くする作用があり、分泌量がピークを迎えると排卵が起こります。

今度は卵巣からプロゲステロンの分泌量が増加します。プロゲステロンは着床した受精卵を養い、妊娠を継続させるためのホルモン。子宮内膜の血流をよくしたり、体内の温度を上げたりします。

排卵の前後、精子が子宮に入ってくると、精子は子宮から卵管をさかのぼっていきます。そして卵子と出会うと、卵子の膜を破って中に入り合体。受精卵となります。受精卵は細胞分裂を繰り返しながら、6~10日かけて卵管を転がり、子宮に移動していきます。そして、準備され厚くなっていた子宮内膜に着床し、初めて妊娠が成立します。

しかし妊娠していないと、排卵から約10日後にプロゲステロンの分泌は止まります。すると今度は、子宮内膜から、プロスタグランジンというホルモンが分泌。子宮を収縮させて内膜をはがし、これによって生理が起こるのです。この時、受精しなかった卵子も、子宮へと向かう間に自然に退化し、一緒に排出されていきます。

このように生理とは、妊娠しなかった時に起こるものであり、別の見方をすれば、卵巣から女性ホルモンがきちんと分泌されているというサインになります。だから、生理がくることは喜ばしいことです。

もし、生理が3カ月来なかった時は、必ず医師に相談しましょう。

生理が始まるしくみは?

ところで、そもそも生理が始まるしくみは、意外と知らないものです。これは、コレステロールと関係しています。女性ホルモンの原材料はコレステロールなのです。そして、コレステロールは脂肪の一つ。そのため、体に脂肪がほどほどないと、エストロゲンの分泌は始まりません。

思い出してみて下さい。女の子が成長のピークを迎えて身長が一年に8㎝ほど伸びるのは、だいたい10~12歳です。身長が伸びると胴まわりには、ある程度脂肪が蓄積されてきたのではないでしょうか。実はこの成長のピークの1.3年後に、初潮を迎えることがわかっています。マラソン選手で生理が止まってしまう人が多いと聞いたことがあると思いますが、それは原材料である体脂肪が少なくなりすぎることも原因の一つとされています。

一方、閉経を決めるのは女性ホルモンの分泌量。卵子のもとである原始卵胞が残っていても、卵巣の働きが衰えて女性ホルモンの分泌量が減ると、閉経を迎えます。卵巣機能を長く保ちたい、すなわち閉経をゆっくりとしたいならタバコを控え、血中のコレステロール値を正常に保つことがオススメです。

生理のしくみとストレスの関係性

女性ホルモンであるエストロゲンと、プロゲステロンは卵巣から分泌されますが、分泌には脳からの指令が必要。つまり、生理は脳ととても密接に関係しているため、ストレスは生理に大きく影響を与えます。

生理を起こす経緯は、脳から始まります。まずは脳の視床下部から性腺刺激ホルモン放出ホルモンが分泌され、それが信号となって、脳下垂体から卵胞刺激ホルモンと黄体化ホルモンが分泌されます。

さらに、この二つのホルモンが卵巣への指令となり、エストロゲンとプロゲステロンが分泌。分泌されたホルモンの量が、視床下部と脳下垂体にフィードバックされ、分泌量が多ければ減らすように、少なければ増やすように指令をコントロールしています。

ホルモン分泌の指令を出す視床下部は、自律神経も支配しています。視床下部は、身体的にも精神的なストレスを感じると、交感神経と副交感神経のバランスを取ろうとします。しかし、ストレスが強くなると、このコントロールが混乱してしまいます。このように、自律神経が乱れると視床下部がうまく働かないため、女性ホルモンを分泌させる指令にも影響。生理の周期が乱れてしまいます。

ストレスは人間関係やハードワークなどからくるものの他に、環境なども影響します。エアコンが利きすぎている現代は、夏も冬も屋外と室内の気温差が激しく、30分単位で夏と冬が入れ替わっているような状態。また昼夜も逆転しがちです。自律神経のバランスを崩しやすいので、身体的にも精神的にもストレスを抱えすぎないように心がけましょう。

生理前のイライラは自律神経と関係

生理前にイライラしたり、さまざまな症状が出てくるPMS(月経前症候群)のある人は多いのではないでしょうか。そもそも女性は、排卵前(生理の後)と排卵後(生理の前)では、心身の状態がかなり異なります。

排卵前、エストロゲンが多く出ている時は生理後に比べ、リラックスをつかさどる副交感神経が優位になっているという報告があるのだそうです。また、年齢を重ねると、交感神経を優位にする能力は落ちないのに、副交感神経を優位にする能力は落ちてしまいます。年齢を重ねるとエストロゲンの分泌量が着実に減るため、副交感神経が優位になる能力が低迷すると考えられています。

つまり、排卵後=生理前は、交感神経優位になりやすく、覚醒的、闘争的、緊張的な状態が高まる時期。元気で、仕事もどんどんこなす一方で、神経が逆なでされやすい時期とも言えるのです。

イライラしやすい人は呼吸法をルーティンに

生理前や後の精神的に不安定な時、ぜひ取り入れたいのが呼吸法です。これは、吐く息を長めにすることがポイントです。

呼吸は自律神経に影響を及ぼし、息を吸うことは交感神経と、息を吐くことは副交感神経とつながっています。そして交感神経は元気にさせ、副交感神経はリラックスさせる神経。呼吸法は、そのバランスを整えることをサポートできる方法です。

生理前の交感神経が優位になりがちな時期は、意識的に長く吐く呼吸をして、緊張しがちな体を緩めましょう。もちろん、これで生理前の体調不良がすべてよくなるわけではないですが、心身が少しでもリラックスできれば成功。自分の中に余裕が持てて、人への接し方も大いに変わってくるはずです。何より、イライラしやすい神経を休ませることにつながることでしょう。

PMS(月経前症候群)で知っておくべき生理のしくみ

生理の前になると体がむくんだり眠くなったり、食欲が増えたり、イライラしたり、気分が落ち込んだり……。これがPMS(月経前症候群)です。生理開始の3~10日前、排卵後のプロゲステロンが分泌される黄体期に起こる精神的、身体的症状を指します。

個人差が大きいのは、プロゲステロンに対する、体の感受性が人によって違うからで、感受性が高い人ほど敏感に反応し、さまざまな症状が出ます。

生理周期が25日と短い人では、生理後の調子がいい時期が来たと思ったら、わずか5日たらずでPMSが始まる……となってしまいます。調子が悪い時期のほうが長くツライですが、PMSがあるということはプロゲステロンがきちんと分泌されている証拠とも言えます。それは、排卵があったという証拠でも。妊娠できるシステムは働いていると考えていいのです。

ただし、気持ちが滅入って涙が止まらなくなったり、死を選びたくなったりするなど、精神的不調が重い人もいます。もし日常生活や社会生活に支障をきたすようなほどツラいなら、それはPMDD(月経前不快気分障害)という病名がつく症状です。

PMSに対する婦人科的な治療法の第一選択は、低用量ピルを服用することです。それで症状がかなり改善することも多いので、ためらわずに医師に相談してみて下さい。

生理に対してピルの有効な使い方は?

ピルはもともと避妊が目的。でも低用量の服用で、日常生活に支障をきたすPMSの症状が治まったり、生理痛や生理不順の改善に効果が見られるのです。

ピルにはエストロゲンとプロゲステロンが配合されています。そのため、ピルを飲むと、二つのホルモンがすでに分泌されていると、体が錯覚を起こします。その情報が脳の視床下部にフィードバックされると、視床下部は、これ以上ホルモンを出す必要がないと判断。ホルモンの分泌量が低いレベルで安定するため、ホルモン分泌の起伏が緩和され、さまざまな症状が収まります。

ただし低用量ピルを飲むと血液がかたまりやすくなります。血栓症のリスクが上がるので、①35歳以上、②タバコを吸う、③肥満、④家族に心筋梗塞などにかかった人がいるーーのいずれかに当てはまる人は注意が必要です。また、乳がんの既往がある人は使用できません。自分自身の体調や既往症などの確認も含め、専門医を受診してからの服用がオススメです。

更年期になると起こること

更年期(45~55歳)になると、エストロゲンの分泌量が減っていきます。しかし、更年期に入ったら突然現象するのではありません。しっかりエストロゲンが分泌されている25~35歳以降、アップダウンしながら減り始め、45歳をすぎると減り幅がグンと大きくなるのです。

更年期の特徴は、自律神経のバランスが乱れることです。卵巣から分泌されるエストロゲンの量が減ると、脳の視床下部は下垂体経由で、卵巣にもっとホルモンを出すように指令を出します。ところが卵巣には、ホルモンを分泌する力がなくなっています。

視床下部は、指令を出しても応えてもらえないので混乱します。視床下部は自律神経も制御する役割を持つため、この混乱が自律神経にも影響。自律神経のバランスが崩れ、イライラや不眠、多汗(ホットフラッシュ)やのぼせ、手足の冷え、たちくらみや頭痛、めまいなど、さまざまな自律神経系の症状が出るのです。

エストロゲンの分泌が止まるころは排卵ももうありません。閉経を迎え、子どもを産む時期は終わります。

エストロゲンは、生理と関係する他に、骨密度が下がるのを防いだり、血中のコレステロール値を下げたりする役割もあるなど体に大きな働きをしています。そのため、閉経に伴って骨が急にもろくなったり、コレステロール値が上がったりします。女性に骨粗鬆症が多いのはそのためです。対策として、45歳前に閉経した場合は、50歳ごろまでエストロゲンを補充します。

こうした役割を考えてみると、エストロゲンに長く分泌してほしいですよね。けれど、例えばエストロゲンによって進行する子宮筋腫などの病気がある人達にとっては、逆です。それらの病気になる人はもともとエストロゲンの分泌量が多く、それがさまざまな症状を引き起こすので早く閉経してほしい人は多いのですが、閉経は遅くなりがちです。早く閉経してほしい人ほど閉経せず、閉経したくない人ほど早く閉じるという、悩ましい一面もあるのです。

最近は、若年性更年期と言われる、20〜30代で更年期のような症状が続くような体調になる人もいます。更年期のような症状が早めに出てくるようなら、専門医の診断を仰ぎましょう。

<監修>
高尾美穂
婦人科医/スポーツドクター。産婦人科専門医。医学博士。婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。メディアなど出演多数。近著に『超かんたんヨガで若返りが止まらない!』(世界文化社)。

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