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古民家派?ヴィラ派?伝統と革新が融合する奄美大島で暮らすように旅する2泊3日【伝泊】

手付かずの大自然が残る奄美大島。世界遺産登録に向けて注目を浴びる中、薩摩藩と琉球王国の影響を受けた独自の文化が、島人によって今もなお大切に受け継がれています。島ならではの伝統や人々の温かさに触れて、またすぐにでも再訪したいと強く思った2泊3日の旅。

ここでは伝統的な建築、家屋、集落文化を守るために立ち上がった【伝泊】についてご紹介します。

国土交通大臣賞&UNWTO倫理賞をW受賞!伝泊とは?

「奄美の心」をコンセプトに、奄美郡島を中心に集落や島人との交流を提供する宿泊施設【伝泊】。

古民家一棟貸しタイプから、新しく設計・建築したヴィラタイプまで、現在奄美大島、加計呂麻島、徳之島の3島に、3ブランド30棟・44室を展開しています。

仕掛け人は奄美出身の建築家・山下保博氏。

一見魅力的でない小さな敷地に豊かな住空間を実現したり、見捨てられた地域素材を開発することで、地域そのものを活性化する。宿泊施設に限らず、高齢者施設、住宅、商業施設、公共施設等の設計や改修、素材・ 構法の開発、街づくりにも幅広く取り組んでおり、その独創的な建築スタイルは国内外で高く評価されています。

山下氏は故郷・奄美大島の空き家問題に着目。継承者のいない古民家など伝統的な建物を残し、島の歴史を多くの人に知ってもらい、次の世代に繋いでいくことで島を守りたい!という想いから【伝泊】が誕生しました。

観光客が集落の中に宿泊して「集落文化の日常を観光化」するという、新しい旅の形を確立しています。観光客誘致だけでなく、地域住民の雇用促進や、観光客と地域住民が集う場を設けることで、「住民」と「観光」の垣根を無くすなど、社会性の高さも評価され、近年では【伝泊】を展開する奄美イノベーション株式会社は、国連世界観光機関(UNWTO)審査の「第6回ジャパン・ツーリズム・アワード」にて国土交通大臣賞とUNWTO倫理賞をダブル受賞しました。

今回は二つの宿泊施設をご紹介します。

・伝泊 古民家 高倉のある宿
・伝泊 The Beachfront MIJORA

シマ(集落)の暮らしを疑似体験できる古民家【伝泊 高倉のある宿】

奄美大島には約360の集落があるとされており、それを“シマ”と呼んでいます。同じ島内でも集落ごとの言葉や唄、踊りなど、固有の文化が存在し、今もなお受け継がれています。

計15棟ある【伝泊 古民家】のブランドコンセプトは、「島の“とき”と対話する」。

島の民家と同じように点在しているため、まるでその集落に暮らすような、一味違った滞在ができます。

たとえば台風に備えた珊瑚石や防風林、高床など、奄美の風土に根ざした歴史的な伝統建築を上手に残しながら、リノベーションして宿泊施設として再生しています。

私が今回宿泊したのは、江戸時代から残る築200年の伝統的な茅葺の「高倉」がある宿。奄美随一の美しさを誇る土盛海岸もほど近く、島の暮らしを存分に堪能できる場所です。

高倉屋根の下にはテラスのような寛ぎスペースがあり、食事をしたりお酒を飲んだり談笑したり、はたまた民謡を唄ったり。お祭りの時期には高倉を囲んで、集落に伝わる「八月踊り」が披露されることも(体験プログラムも有り)。

集落ごとに文化・方言も違い、同じ唄でも歌詞や旋律が異なります。滞在中は宿に唄者さん・演者さんをお迎えして、島ユムタ(方言)でのお話も交えながら、生活に根ざした労働唄や即興の唄遊びを教えてもらえたり、まるで島人になったかのように、奄美の伝統文化の一つ「島唄」を聴いて、歌って、弾いたり……まさに伝泊ならではのとっておきの体験です。

母屋は広々として風通しが良く、心地よい空間が広がっています。長い廊下に、寝ドコロと呼ばれる和室が二つと、食ドコロ(キッチン)、呑ドコロ(ダイニング)、読ドコロ(書斎)、浴ドコロ(浴室)というように十分すぎるほど部屋があり、キッチンや水回りは現代風に改修しているので快適に過ごせます。洗濯機が備わっているので長期滞在にもオススメです。

お勝手で料理をしながら地元の黒糖焼酎を酌み交わしたり、畳に布団を敷いて川の字で寝たり、縁側で朝ヨガをしたり……。家族や気の知れた仲間と、思い思いの時間を過ごしながら一つ屋根の下で暮らすような、新鮮でありながらもどこかノスタルジックな滞在体験ができます。

宿の随所には、かつて実際にこの家で暮らしていた人々の生活がしっかりと刻まれています。昔ながらの五右衛門風呂や、今では物珍しい昭和初期のレトロな型板ガラスはそのままに、電話番号の走り書き、子供たちの背比べの跡、生活感のある落書きもあえて残すことで、当時にタイムスリップして、集落が紡いできた物語に飛び込むことができます。

シマの交流の場として、神聖に大切に使われていた高倉へ思いを馳せながら、ゆっくりと流れる時間にただただ身を委ねました。

本当は教えたくない、大人のためのリゾートヴィラ【伝泊 The Beachfront MIJORA】

奄美大島の北部の中心地・赤木名集落の海辺に13棟並ぶリゾートタイプのヴィラ【伝泊 The Beachfront MIJORA】ブランドコンセプトは「島の“自然”と対話する」。

全室ビーチフロントで、海と客室の間は1枚の大きなガラスで仕切られただけ。遮るものは何もなく、奄美の大自然に没頭できる絶好の環境です。一面広がる透き通るような海、燦々と降り注ぐ太陽、南国特有のアダンの実、目の前にある自然を通して日常の喧騒を忘れ、ワンランク上の贅沢なstaycationが叶います。

シンプルな空間を構成するコンクリートは無機質でスタイリッシュでありながら、奄美の伝統建築である高倉と、奄美のビーチで見られるウノアシ貝の形状から着想を得た、贅沢な木の屋根がどこか温かみを感じさせ、絶妙な調和を奏でています。

さりげなく海まで伸びるコンクリート壁や、開放感あふれる屋外デッキ、ハンギングチェア、デッキチェア、ハンモックなど、センスの光るアートやインテリアの数々。調理器具にはBALMUDA、アメニティはAesop、厳選された調度品が非日常を演出しています。

部屋タイプがそれぞれ異なるので、人数や目的、用途によって選ぶのがオススメです。今回宿泊したのはデラックスヴィラのお部屋(同タイプのツインベッドのお部屋も見学させていただきました)。

このお部屋にはキッチンがあるため、地元の食材を使って料理しても良し。事前に予約すればデッキでサンセットBBQを楽しめます。肉コースと魚介コースから選べて、食材も機材も、スピーカーもランタンも全て用意されているので手ぶらでOK。

テレビがないので時が経つのを忘れてしまいそうになるけれど、そのぶん自然の声に耳を傾けるようになりました。空の色の移り変わりや、日の傾き、吹き抜ける風が時の経過を知らせてくれるよう。

朝は鳥の囀りと波音で目覚め(とある日曜の朝には、クリーン活動のお知らせが村内放送で流れてきて飛び起きましたが笑)、夕方は水平線に沈み行く壮大な夕陽を眺め、夜は満天の星空を望みます。iPhoneで撮影してもしっかり写るほど!

朝食はレストランでの提供以外に、希望があれば部屋へのデリバリーも利用可能で、ヨーグルト、フルーツ、バゲット、チーズ、サラダなどが一式バスケットで届きます。海を眺めながらピクニック気分が味わえます。
※朝食メニューは日によって変更の可能性あり

一棟丸々貸し切りなので、他のゲストやスタッフとの接触がなく、プライバシーがしっかりと守られており、マイペースに過ごしたい人や、別荘感覚でのんびり滞在したい人にぴったりです。

奄美の自然に触れて対話し、没頭することで、日常とこれから先の未来に新たな気づきを得られたようでした。

奄美の海と一体化!インフィニティプール+レストランがNEW OPEN!

そして4月20日より、【伝泊 The Beachfront MIJORA】に併設して、レストラン&バー、五角形インフニティープール、宿泊レセプションなどを設えた【2 waters】がオープンしました。

「厳格な自然が創り出す水(海)と、人間の手で生み出された水(プール)。二つの水や自然と対話する空間で豊かに過ごしてほしいという想いから、その名が付けられたそう。五角形のインフィニティプールで、全ての面がオーバーフロースタイルになっているとか。この島の新たなランドマークになりそうな予感!(プールは5月下旬より利用可能)

【伝泊】はまさに、奄美大島の伝統・伝説的な建築と集落文化を次の時代に伝えていく役割を担っています。
それはこの島にとどまらず、悲しいかな過疎化が進む日本の各地で取り組むべき重要な課題だと思います。少子高齢化で衰退しがちな地域コミュニティをどのように活性化するか?観光×福祉×地域を連携させるには?高齢者も子供も障がいを抱えた方も、みんなが活き活きと住めるまちづくりとは何か?

世界の先端を行く高齢者大国の日本が今こそリードして、新しい施設の在り方を世界に発信していくチャンスなのかもしれません。

◾️施設詳細
伝泊 古民家「高倉のある宿」
住所:〒894-0511 鹿児島県奄美市笠利町大字里50-2
電話:0997-63-1910
URL:https://den-paku.com/theamami
アクセス:
宿泊料金:素泊まり12,100円〜(2名1室利用時・1名あたり/税込)

伝泊 The Beachfront MIJORA
住所:〒894-0513 鹿児島県奄美市笠利町大字外金久986-1
電話番号:0997-63-1910
URL:https://den-paku.com/the-beachfront-mijora/
アクセス:奄美空港より車で10分
宿泊料金:27,000円〜(2名1室利用時・1名あたり/税込)

2 waters
レストラン営業時間(※状況により営業時間は変わります)
モーニング 08:00~10:30 (※宿泊者限定)
ディナー  17:00~21:00(ラストオーダー21:00)
バー    15:00~22:30(ラストオーダー22:00)
定休日:なし(年中無休)
電話番号:0997-57-1988

※2021年4月20日オープンから5月31日までは、「伝泊」へご宿泊のお客様のみ利用可能。6月1日以降は一般開放の準備中。尚、新型コロナウイルスの状況により営業形態は変更する可能性があります。

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Profile

渡辺 由布子

渡辺 由布子

17歳から読者モデルとして多数女性誌に出演。6年間にわたってMBSラジオパーソナリティを務める。現在はヨガインストラクターの他、トラベルライターとして世界中を飛び回る。過去渡航した国は47カ国120都市。ハワイ留学、LA在住経験有り。現在は拠点を湘南に移し、全国各地を巡りながら、東京と行き来してデュアルライフを送る。

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17歳から読者モデルとして多数女性誌に出演。6年間にわたってMBSラジオパーソナリティを務める。現在はヨガインストラクターの他、トラベルライターとして世界中を飛び回る。過去渡航した国は47カ国120都市。ハワイ留学、LA在住経験有り。現在は拠点を湘南に移し、全国各地を巡りながら、東京と行き来してデュアルライフを送る。

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