モデル仲川希良の「山でお泊まり」北アルプス・白馬大池編Vol.1
ランドネ 編集部
- 2018年10月04日
雑誌『ランドネ』の前号からスタートした、モデル/フィールドナビゲーター仲川希良さんの連載「山でお泊まりレポート」。
11月号は、北アルプスの白馬大池へ。スペースの関係で誌面に収めきれなかった情報を、4回にわたって美しい写真とともにお伝えしてきます!
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山の先輩たちが愛おしそうに呼ぶ「白馬」という美しい名前。
以前、雪の時期に栂池自然園をスノーシューで歩いたことはあったけれど、白馬連峰に登るのは初めてのこと。あの日見上げた白馬三山は、染みひとつない真っ白な屏風のようで神々しく、ずいぶん遠くに感じられましたが、とうとうそのなかに足を踏み入れる日がやってきました。
しかし憧れの白馬に向かうというのに、なんだか思わしくないお天気。雨雲の上に抜けられることを祈りつつ、ゴンドラとロープウェイを乗り継いで山の上へと向かいます。
▲ロープウェイ乗り場にてるてる坊主。お願い、晴らして!
▲雲の中を進むゴンドラ
願いむなしく終着地の自然園駅でもぱらつく雨。この日は8月の「山の日」で、標高1800m超えとはいえ湿気も手伝って蒸し暑く感じながら、嫌々レインウエアを着込みました。
夏場はスニーカーでも歩ける栂池自然園の入り口あたりは、観光地のような雰囲気。栂池山荘で評判のサルナシソフトクリームを購入し、ペロリといただいて気を取り直してから出発です。
なかなか急な上りが続き、レインウエアのなかはあっという間に汗でじっとり。
でも雨の日だからこそ良いところも、もちろんあります。水滴のついた植物は色鮮やかで、生命力が増したように感じられ、写真を撮るのも楽しいもの。
▲水滴にまで色がにじむよう
▲時折さす光に輝くのもまたきれい
ぬかるみや濡れた岩に足を滑らさないように気をつけつつ、健気な植物の姿に見とれながら進んでいると、青空がちらほら顔を出し始めました。
▲天狗平の木道
ちょうど天狗平の湿原に差しかかったあたりで、あたり全体を包む雲が途切れ、突然姿を現したのは……雪渓! 周りの登山者から歓声が上がります。雨の急登を終えた安堵感もあり、しばしうっとりしながら木道歩き。
そして再び岩が連続する急登を越え、楽しみにしていた雪渓歩きに入ります。
アイゼンを着けずに雪の斜面を滑らず歩くのは少しコツがいるけれど、短い距離をじっくり味わうように一歩一歩。青空の下、 しゃりしゃりとした雪の斜面は涼やかで、太陽を照り返す白さもまた気持ちを清々しくしてくれました。
雪渓を登りきり、雲の上に出ると目の前に、火山性の巨岩やいい香りをさせながら広がるハイマツ など、美しい景色が次々現れます。
▲途中通過する乗鞍岳ケルン
▲あちこちにおもしろい形の巨岩が
そしてその最後に、満を持して登場した絶景……白馬大池!
▲あまりの美しさに呆然
ハイマツの緑に雪渓の白、空を映す水面の青。池の淵に小さくたたずむ山小屋、白馬大池山荘の屋根の赤。完璧な調和……。
今夜泊まるのはあの小屋だけれど、この景色のなかに足を踏み入れて少しでも乱してしまうのがもったいないような、このまま少し離れたところからそっと眺めていたいような、そんな気持ちにさえなったのです。
小屋の裏の高台で迎えた夕焼けは、雨降りのなか山を歩き始めたことを忘れるくらい素晴らしく、一日を締めくくってくれました。
▲雲海の下はまだ雨かな? こんな世界が待っていたなんて
▲この日は偶然、流星群と出会えるタイミング。夕焼け後の星空もすてきでした
***おまけ***
8月の山歩きに選んだ行動食は、寒天でできた琥珀糖。氷のような見た目が涼しげかな、なんて思ったけど、本物の雪にはかなわず……。
雪渓を歩きながらずっと、あーかき氷が食べたいな、なんて思っていました(笑)。
次回は雲上の楽園、白馬大池山荘でのひと時をレポートします。お楽しみに!
写真◎樋口勇一郎
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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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