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モデル仲川希良の「絵本とわたしとアウトドア」#13 家をせおって歩く かんぜん版

幼いころ大好きだったカタツムリ。動きや形の愛らしさはもちろん、「家を背負っている」ことに憧れがありました。だから山でテント泊をするようになって「こりゃカタツムリとおなじではないか」と気づいたときは、とてもうれしかったです。

家だけでなく私は衣服も必要だし、食べものをその場で調達する技術がないので、それらも持ち歩かなければなりません。でもたとえ数日間とはいえ、自分が生きるために必要な衣食住をすべて背負うってなんて清々しいんだろう。どこまでも行けそうな、どこでも生きていけそうな、テント泊をするとそんな強い気持ちが湧いてくることを知りました。

「家をせおって歩く かんぜん版」は、ちょっと変わり種の絵本。アーティストである村上さんが自作した家を背負って歩き、各地で生活するそのようすを記録したものです。

雲取山でテント泊をしたときの一枚。1泊2日の必要装備を見て「これだけ」と思うか「こんなに」と思うかはそれぞれだけど、どちらにせよ「これさえあれば生きられる」ものを日常で実感することは少ない

 

たどり着いた町でいったん家を下ろすと、そこはもう「帰る場所になる」と言う村上さん。この感じは山でもよくわかります。テントの中に荷物を置いて空身で我が庭のように周囲を散策するのは、私のお気に入りの時間。テントという拠点があるからこその楽しみです。テントに潜り込むときはつい「ただいま」とつぶやいてしまいます。

「これは私が自分の目で見たものを描いた地図です」というページもお気に入り。これまで歩いた場所の鳥瞰図ですが、形も縮尺もデタラメ、個人宅と歴史的建造物が同等の重要度で描かれていたりします。でも歩いたご本人にとってはこれこそが本当の地図。

山を自分の足で歩くと、出会った草花や虫、吹き抜けた風のにおい、自分が抱いた気持ちも含めて、その場所が高い解像度で記憶に残ります。歩くスピードならではの、土地との関わり。テントを立てて泊まったらなおさらです。村上さんは「根をおろしてみる(しばらく同じ土地に家を置く)」こともあるそうですが、そのとき景色はどう見えてくるのか、山で試してみたくなります。

村上さんがなぜ家を背負い始めたのかはわかりませんが、「おわりに」の言葉に村上さんの視点がうかがえます。「住む場所は変えることができます。住み方だって作ることができます。するといつもと同じ町が全然違うものに見えてきます。私たちはそうやって世界を変えていくことができます」……テント泊を終えて日常に戻ったときの新鮮な気持ち。その理由を紐解くヒントが、この絵本にはたくさん散りばめられています。

 

 

 

家をせおって歩く
かんぜん版
(村上慧・作/福音館書店)
この表紙のとおりの姿で歩いていると知ったときの衝撃たるや。「持ち物の紹介」に滲む村上さんのお人柄も興味深い。耳栓やデンタルフロスを諦めていないあたりが気になる。

 

モデル/フィールドナビゲーター
仲川希良
テレビや雑誌、ラジオ、広告などに出演。登山歴はランドネといっしょの12年。里山から雪山まで幅広くフィールドに親しみ、その魅力を伝える。一児の母。著書に、『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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