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【いつか泊まりたい山小屋#10 奥秩父・三条の湯】長きにわたり山と共存してきた温泉宿

「あの山小屋に泊まってみたい」。そんな憧れが、山へ向かうきっかけになることもあるはず。本連載では、立地や食事、山小屋の主人やスタッフの人柄など、その山小屋ならではの魅力にスポットを当てながら、ランドネ編集部おすすめの山小屋をご紹介。10軒目は、雲取山南麓にひっそりと建つ、三条の湯をピックアップ。

環境負荷の少ない方法で山小屋を営む

▲鹿の角が飾られた、ワイルドな受付。売店機能も兼ねている。

山梨県、埼玉県、東京都にまたがる、東京都最高峰の雲取山。この雲取山のふもとにある山小屋「三条の湯」へは、新緑や紅葉が美しい原生林に囲まれた「後山林道」を経由して登山道へ入り、全行程で約3時間歩けばたどり着くことができる。

三条の湯の歴史は古く、200年ほど前に遡る。当時は、鉱泉を沸かして入ることができ、「鹿の湯」として親しまれていたそう。大正時代に大水で流されたものの、戦後に浴場付きの山小屋「三条の湯」として復活。以来、奥秩父の山々を目指す多くの登山客に利用されている。

▲梁が見える天井の下に畳が敷き詰められた、広々とした客室。登山客は基本的に、相部屋で利用。

館内には、客室が5部屋と談話室を兼ねた食堂があり、別棟に浴場が設けられている。環境への負荷を極力少なくするために、水力発電や循環式バイオトイレの導入、生ゴミの堆肥化などを行っているという。目には見えないが、そういった山や自然に対する気遣いが、山小屋全体のあたたかな空気感を作っていることは間違いない。

奥秩父の山奥で味わう湯とグルメ

▲温泉は、10度の鉱泉を水力発電と薪を使って沸かしている。立ち寄り客や、テント泊の宿泊客も利用可能。窓から外の景色を眺められる。

登山者にとってなによりうれしいのは、山小屋で入浴ができること。三条の湯では、地下から湧き出る単純硫黄冷鉱泉を沸かした、湯の華が水面に浮かび硫黄がほんのりと香る温泉に浸かれる。入浴料を支払えば、一日に何度も入ることができるのも魅力的だ。

山小屋でいただけるグルメも注目ポイントのひとつ。宿泊すれば、食材にこだわり、ていねいに手作りされた夕食や朝食をいただける。地元である丹波山村産の鹿肉を使用した、鹿肉の燻製(300円)もおすすめだ。沢の音をBGMに、山の恵みを存分にいただこう。

▲宿泊客向けの食事には、自家栽培の野菜を豊富に使った、季節ごとに変わるメニューが提供される。
▲立ち寄りの登山客に向けては、鹿肉の燻製や勝沼のワインなど、地元食材を使った料理やドリンクを販売。

山小屋から目指すおすすめルート【三条の湯~雲取山 約3時間10分】

▲カラマツ林に囲まれた尾根を登り切った場所にある分岐、三条ダルミから来た道をふり返る。

山小屋をゴールにした登山でも充分に満足度は高いが、歩き足りない人にはぜひ、東京都最高峰の雲取山を目指してみてほしい。三条の湯を出発したら、水無尾根を登ること約2時間40分。奥秩父の主稜線と合流する「三条ダルミ」までたどり着くと、山の向こうに富士山が顔を出す絶景が。そこから稜線を40分ほど登れば、山頂に到着する。山頂は広々として展望がよいので、仲間と腰を下ろしてゆっくり休憩することも可能だ。

山頂から先は、三条の湯へ戻って「お祭」へ降りてもいいし、七ツ石山を経由して「鴨沢」へ降りてもいいだろう。ほかにも歩き方はいくつかあるので、体力に合わせてアレンジしよう。

▲雲取山の山頂からは富士山をはじめ、山々のすばらしい眺めを楽しめる。

長い間、山とともに営みを続けてきた三条の湯。この山小屋に滞在することで、山の恩恵を五感で感じられるはず。沢沿いに設けられたテント場のロケーションもすばらしいので、テント泊の練習として訪れてみるのもおすすめだ。

三条の湯
https://www.taba-kan.co.jp/blank-9
・標高:1,103m
・営業期間:通年
・宿泊料金(税込):1泊2食9,000円、素泊まり6,300円、テント泊1,000円
※小屋泊の場合は入浴料込み。
・入浴料金(税込):立ち寄り600円、テント泊500円
※厳冬期は鉱泉が凍結して、温泉成分の入っていない清水のお風呂になる場合あり。
※冬期平日の休憩入浴(宿泊者以外)は要予約。
・連絡先電話番号:0428-88-0616(9:00~21:00)
※現地電話なし。携帯電話も圏外のため使用不可。
・コロナ禍での確認事項:完全予約制(小屋泊、テント泊)、寝袋またはインナーシーツ要持参。

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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