いざというとき、あなたの愛用品が役に立つ!災害で頼れるアウトドアギア12選|#知り続ける
ランドネ 編集部
- 2022年03月07日
アウトドアギアやサバイバルキットは、機能性に優れ軽量コンパクト。災害時に心強い味方となること間違いなしです。あなたの愛用品もきっと災害時に役立つ!何を流用できそうか、事前に確認しておこう。
Index
使い慣れるほど、災害時に重宝する
地震や台風、落雷、火山の噴火、想定される自然災害はさまざま。災害が起きると電気や水などのインフラが機能しなくなり、日常生活で当たり前に使っていたものが使えなくなります。災害の規模が大きければ商店はすぐに店を閉まってしまうことが考えられ、たとえ開けていてもすぐに買い占められてなくなってしまうことも……。そんなとき頼れるのが、アウトドアギアとそれを扱う日ごろの経験です。
自然のなかでの使用を想定して開発されているアウトドアギアは、防水性のものが多かったり、耐久性が高かったり、軽量コンパクトだったりと、あらゆるシーンに対応しやすいのが魅力。ここでは、災害時にバックパックに入れておくと便利なアイテムをピックアップして紹介します。アウトドアアクティビティを通じて、日ごろから使い慣れておくと、いざというときにきっと役立つはずです。
アウトドアギアがいい理由
- 自然のなかでの使用を想定して作られていて機能的
- 見た目がスタイリッシュなものが多い
- 耐久性があり長く使える
- 日ごろアウトドアをする人なら使い慣れている
ウォーターボトル
水はひとり1日3リットル必要で、マンションの高層階では10日分、首都圏では1週間分の備蓄が必要です。水害で水没して汚物に浸ることになると、ペットボトルやパウチのキャップが閉まっていても、浸水して水が汚れる心配が。置き場所に注意し、浸水可能性のある地域は上層階での保管がおすすめです。ちなみに、水は消費期限が切れてしまっても品質には関係がなく、蒸発するだけとされています。水が得られない可能性があるので、アウトドア用の浄水器も用意しておきたいものです。ちなみに屋内で暑くも寒くもない場合、3日間なら水も食料もなくても生き延びられるが、1週間となると、最低、水は必要で、3週間となると食糧も必要、といわれています。
飲み水や何かを洗いたいときに
給水車から水を運んだり、井戸水から水を汲んだりするときに活用できるのが、ウォーターボトル。給水した状態でも、自分の力で持ち運べる容量のものを選びたい。ソフトタイプなら水が入っていないときはコンパクトに収納できるという利点がある。飲み水としてだけではなく、何かを洗ったりするときにも使えるので、飲用と生活用を分けられるよう、2つ以上用意しておくとよい。
選ぶときのポイント
- 給水部分に汚れがつきにくい
- 口を直接つけないタイプが便利
- 浄水器も用意しておきたい
LEDライト
停電すると、山やキャンプ場などと同様に、太陽が沈むと街は真っ暗になってしまいます。そこでもっとも役立つのはLEDのヘッドライト。LEDタイプは熱に変換しなくても光にできるので効率がよく、フィラメントタイプは電池の替えが多く必要になるので災害時には不向きです。光の進み方は直進・屈折・反射の3つがあります。LEDは直進力が強いので、遮って屈折や反射を利用すると、ランタンのように光を横に広げることができます。たとえば、半透明のレジ袋をかぶせたり、アルミホイルで反射させたり、ペットボトルの裏にはりつけたりするなどの活用があります。また、スパイスケースや金網に入れると、反射によってランタンの役割を果たします。
明かりがあるだけでホッとできる
津波や豪雨、火事などから迅速に避難するときに、LEDヘッドライトが役立つ。スマホを明かりとして使うと、あっという間に電池切れになるので、別に確保したい。アウトドア用は防水機能があり、片手でも操作できるし、避難所で夜トイレへ行くときなどにも◎。明かりがあるとホッとするというありがたさも。また、普段から持ち歩くと防犯対策になり、光量の高いLEDタイプなら目つぶし効果も。
選ぶときのポイント
- ひとつ選ぶならLEDヘッドライトを
- 普段から持ち運びやすいサイズ
- 両手が自由になるタイプ
クッカー& バーナー
ガスや電気、水などのライフラインが使えなくなってしまった場合の調理には、高密度ポリエチレン袋などで湯煎する「パッククッキング」が便利です。高密度ポリエチレン袋やラップを使うので、クッカーはどんなタイプでもオッケー。ただし底に耐熱性の蓋やシリコンを入れて、袋がくっつくのを防ぎましょう。アウトドア用のアルミやチタン製のタイプは、熱伝導率が高く効率よく湯を沸かせるうえに、軽くてかさばらないので重宝します。バーナーは気温が低くても使いやすいものを。種類は、シングルバーナーからカセットコンロなどガス缶を使うタイプから、固形燃料タイプまで幅広くあります。調理時に使うほか、暖をとる上でも活かせるので、必ず準備したいアイテムです。
食はもちろん、暖をとりたいときにも
パッククッキングをするほか、ドライフードやレトルト食品などの非常食を食べるためにもお湯が必要になるので、クッカーとバーナーが役に立つ。また、食事をつくるためだけではなく、お湯を沸かしてウォーターボトルなどに入れると、湯たんぽ代わりになり、暖をとることもできる。粉ミルクは70度以上で殺菌しなければならないので、利用者は必須。
選ぶときのポイント
- 軽量かつコンパクト
- 熱伝導率が高い
- 気温が低くても使いやすい
ナイフ
食材を切るなどの従来の使い方のほか、ハサミとして代用でき、怪我をしたときなどの応急処置にも使えるナイフ。さまざまな種類がありますが、応用の効くシンプルなモデルがおすすめです。マルチツールなら、ナイフのほか、ハサミや爪やすり、ピンセット、ドライバーまで最小限の機能を備えたコンパクトなモデルから、缶切り、コルク栓抜きだけではなく、のこぎりやルーペまで充実したモデルなど、選択肢は幅広くあります。いざというときには、日常から使っているもののほうが扱いやすいので、過不足ないモデルを吟味しましょう。防災、防犯目的でのナイフの所有は法律上、認められていないので、持ち運びは必要なときのみにおさめるよう、注意を払う必要があります。
あらゆるシーンで役立つ優れもの
あらゆるサバイバルの場面で重宝するのがナイフ。たとえば転倒したものに着ている服がはさまってしまったときに切ったり、レジ袋からオムツを作ったりするときなど、アイデア次第で、さまざまなシーンで重宝する優れもの。多機能を備えたマルチツールを持っていれば、爪切りとして使えるし、ピンセットは皮膚が柔らかい子どもにトゲが刺さった場合にも活かせる。
選ぶときのポイント
- 銃刀法に触れないこと
- 犯罪法に触れないこと
- 日常でも使いやすいサイズ
ロープ
アウトドア初心者にとってロープと聞くと、クライミングや沢登りなどといったハードなアクティビティ時に使うもの、という印象があるかもしれません。ですが、マンションやビルの上層階から脱出するときには、ロープとハーネスがあると役立ちます。とくに、救助や避難のシーンでは、丈夫なクライミングロープが信頼できます。おんぶ紐として使うには食い込んで痛くなりやすいので、さらしのほうがおすすめです。水難救助用のスローロープも、水遊びにも有効なので準備しておきたいものです。いずれも使い方を間違えるといざというときに活用できないので、この機に一歩先のアクティビティにチャレンジして、道具に慣れてみませんか?
救助や避難の際に活躍する
危険な状況から避難するときや、荷物を持ち出すときに役立てたいロープやハーネス。クライミングや沢登りを伴わないハイキングやキャンプを楽しむ方にとっては縁遠いアイテムかもしれないが、災害時用として持っておきたい。洗濯をするときや荷物をひとまとめにする上でも便利なので、さまざまに応用できるよう、太さが違うタイプを数種類準備しておくとよい。
選ぶときのポイント
- 太さが違うものを数種類
- 丈夫なもの
- ハーネス、軍手と併用する
テント
避難所での住環境はよいとはいえません。とくに首都圏やマンションの多い地域では、避難所の数が足りないので、家が無事であれば避難所に行かないことが方針化されています。行かざるをえない場合でも、スペース不足でプライバシーのない環境になります。また体育館の床は断熱性に乏しいことが多いです。テントがあれば、フロアシートを敷くなどして断熱することで、暑さ寒さをしのぎやすくなります。長期避難の場合や子どもがいる場合は、テント内で立ち上がれる高さのある居住性のよいものを。短期用であれば、山岳用のコンパクトなものが便利です。豪雨にも耐える必要があるのかなど、環境を見極めた選択が求められます。
エコノミー症候群対策にも
ペットを飼っている場合、避難所に入ることができない場合がほとんどなので、テントの準備がマスト。事前にいっしょにキャンプをして慣れておくことも大切。せまい体育館内と比べ、足を伸ばせるのでエコノミー症候群対策にも。人目を気にせず着替えたり、洗濯物を干したり、子どもや自分のケアをしやすい。熱伝導率のよい鉄とガラスでできた車より、断熱材を下に敷いたテントのほうが暖かい。
選ぶときのポイント
- ペグを打たなくても自立する
- 設営が難しくない
- サイズは状況によって選択を
スリーピンググッズ
少しでもよい睡眠をとるために欠かせないスリーピングバッグ。選ぶときには耐熱温度をチェックしましょう。大まかに分類すると、中綿の素材がダウンと化繊のものがあります。ダウンは、濡れに弱いが軽くて暖かく、化繊は濡れに強いが重くかさばるという特徴があります。体育館は窓の冷気で風が起こりやすいので、防風性のあるシュラフカバーがあると安心です。枕は、衣類をスタッフバックに入れることで代用できます。また断熱性とクッション性をもつマットを下に敷くことがおすすめ。赤ちゃんのオムツ替えシートになりますし、コンパクトなタイプをパソコンの緩衝材として普段から持ち歩くと、災害時に電車から外に出されてもどこでも座れます。
精神的な安心にも一役買ってくれる
睡眠時に、避難所で雑魚寝をする場合と比べると、寝袋がひとつあるだけでプライベート空間を作ることができる。断熱マットがない場合には、段ボールで代用することも。たとえ昼間でも寒さを感じるときに体をくるみ、暖をとることも。温かいものにくるまって、束の間でも肩の力を抜いてリラックスできることで、安全性を確保するだけではなく、精神的な安心にもつながる。
選ぶときのポイント
- 濡れても乾きやすい
- 充分な保温力がある
- 収納袋に入れて持ち運びやすい
ウエア
レインウエアがあると、豪雨時に早めに避難しやすく、防風効果があるので寒さや雪対策にも役立ちます。丈の長いポンチョも蒸れにくいので有効です。その下に、ダウンやフリースなどを重ね着することで、自然界最強の断熱材である空気をためることができ、防寒になります。ただしフリースには防風性がないことや、ダウンは濡れに弱いことには留意が必要です。下着やソックスなど、肌に直接身につけるものには速乾性の高いアウトドア用を選ぶと、汗や濡れによって体を冷やさずに済み、夏でも起こりうる低体温症を防げます。機能のあるウエアの役割を理解し、重ね着をすることで、体感温度を調整しやすくなり、快適に過ごしやすくなります。
体温調節に欠かせない
ダウンウエアは体温で羽を膨らませることによって動かない空気層を蓄えるものなので、体温が低い人にかけても防寒着にならない。ポケットにカイロをいれ、ダウンの羽根をふくらませると体を温められる。防風性のないダウンやフリースを一番外側に着ると、風によって体温を奪われるので要注意。着替えの量や洗濯の頻度に限界がある避難所では、抗菌防臭効果のあるアウトドア用のインナーが便利。
選ぶときのポイント
- レインウエアは防水透湿素材を
- 空気の層を作れる防寒ウエア
- 速乾性をもつ下着、ソックス
シューズ
水害時の避難は、どの靴を履いているかよりも、いつ避難するかのほうが重要になります。早期の避難であれば、トレラン用シューズや登山靴、膝までの高さがある長靴が有効です。膝以上に冠水している場合には、水圧で体の自由がきかないので、室内で垂直に避難するのが良策です。冠水が膝以下の高さでも流れがあると危険です。短い長靴に水が入ってしまうと、体ごと流されてしまうリスクもあります。沢や川などで遊んだ経験があると、想像しやすいはずです。運動靴は水害で濡れると、低体温症や破傷風、感染症の危険があるので、おすすめできません。ネオプレーン素材のウォーターシューズも、体を冷やさないのでグッドです。
早急に安全な場所に避難するために
ぬかるみに足をとられたり雨で靴が濡れてしまうと、フットワークが鈍ってしまうし、病気の原因にもなりうる。防水素材の登山靴や長靴、ウォーターシューズを用意しておくと、すぐに安全な場所へ避難しやすい。サイズの合わないものは動きが悪くなるので、自分のサイズに合ったものを。折り畳めるタイプの長靴は持ち運びやすいので、キャンプなどでも重宝する。
選ぶときのポイント
- 防水性をもつ登山靴
- 膝丈以上で折り畳める長靴
- ネオプレーンのウォーターシューズ
バックパック
アウトドア用バックパックの長所は、ショルダー(肩)とウエスト(腰)、チェスト(胸)のハーネスで体にしっかりと固定できること。荷物が背中で揺れて慣性の法則で重たく感じてしまうことを防いでくれ、体力を温存することができます。トレラン用のバックパックはこの傾向が顕著です。また、重量のある荷物をなるべくバックパックの上のほうに収納することで、重心を上げることができ、体への負荷を軽減できます。ショルダーベルトを長く延ばして低い位置で背負っている方を街ではよく見かけますが、災害時には素早く逃げにくくなります。豪雨や津波から避難するときには、防水力の高い沢登り用のバックパックもおすすめです。
ケガ人や子どもも背負える
災害が起こった直後に、非常持ち出しカバンとして。バックパックの中に防水バッグを入れて、その中にさらにビニール袋を入れて水を運ぶと、重心が上がり、比較的軽く感じられる(防水バッグを使わずビニール袋のみだと、やぶれるなどして、水が漏れてしまうケースも)。救助の際には、肩と腰へのベルトのかけ方を工夫することで、ケガ人や子どもを背負うこともできる。
選ぶときのポイント
- 背面の長さが体に合うか
- 背負える容量のサイズ
- ショルダー、ウエスト、チェストベルト
ライフジャケット
たとえ大人でも川や海で遊ぶときにライフジャケットが必要だということは認知されていません。水の流れの速さに対し、体にかかる動水圧は2乗になります。そのため想像以上に強い水圧を受けてしまいます。空気含有量の多い水中では、たとえ泳ぎがうまい人でも浮力が足りず沈んでしまいます。水遊びの経験を増やすことで、災害時に早期避難がいかに重要かがわかるはずです。ライフジャケットは、着用の仕方を間違えている人が多いので、取扱説明書をしっかりと確認を。子どもは股を固定できるタイプを選んでください。もし津波にさらわれても、ライフジャケットがあれば瞬間的に溺死するリスクを免れることができ、浮いて呼吸を維持できれば、生存の可能性を高められます。
命を守る重要なアイテム
豪雨時にマンホールのふたが開いていたり、急に橋が落ちていたり、側溝の流れが早かったり……。たとえ街にいたとしても、予想外の水の流れに巻き込まれてしまう可能性がある。ライフジャケットをひとり一つ持っていると、溺水から身を守り、避難することができる可能性が高まる。ライフジャケットは商品によって浮力が異なるが、体重の10%以上あるものを選びたい。
選ぶときのポイント
- サイズが合っている
- 装着しやすい
- 枕があると子どもには安心
ヘルメット
北アルプスを始めとする滑落や転落事故が多いエリアが、県警によって近年、「山岳へルメット着用奨励山域」に指定されたことから、注目度が上がっているヘルメット。災害のためだけにヘルメットを準備するのはなかなか腰が重いかもしれません。まずは自然のなかでのアクティビティに取り入れてみてください。特に噴火の可能性のある山域では着用を。飛んでくる噴石から頭部を守れると生存確率は上がります。また、アウトドア用は災害用に比べ、デザインが豊富で、選ぶ楽しさもあります。帽子の上からでもかぶりやすくフィットするモデルを探してください。自転車やカヌー用は災害向けではありませんが、水抜き穴があるので水害や津波からの避難時に安心です。
地震や噴火時の落下物対策に
まずは地震が起こったときに、落下物から頭を守ることができる。また揺れた直後の危険を防ぐためだけではなく、余震や避難時の落下物にも有効。不確定要素の高い状況で野外を出歩く際は着用したい。噴火の可能性がある山域やふもとでもマストアイテム。最近はレンタル品も増えているので、まずは利用してみて自分の用途に合ったモデルを探してみるのもおすすめ。
選ぶときのポイント
- 頭にフィットする
- アクティビティと兼用できる
- 丈夫で軽い
災害時に必要となるものを事前に「防災グッズチェックリスト」にしておくと、いざというときに役立ちます。
※この記事はランドネ特別編集アウトドアで防災BOOKからの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。最新情報は気象庁HP、内閣府HP(防災情報)などをご確認ください
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ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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