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短い夏を駆け抜けて「Onの生まれた国スイスの山旅へ」

わずか2カ月しかないといわれるスイスの夏。ふもとの街から標高3,400mまで、スイス生まれのアウトドアブランド「On」のアイテムで、走って登って目にしたヨーロッパアルプスの風景をレポートします。

一通のメールからはじまった3年ぶりの海外旅

私は移動することで出会える風景や文化が大好きで、予定のない日を見つけると、咄嗟にどこかへ行きたくなってしまう性格だ。学生のころは「47都道府県を制覇したい」という夢を叶え、その後どうにか社会人になった私は、年に一度海外旅をするという目標を掲げている。昼食はお弁当を作って節約し、休みを作っては海外に行っていた。

そんな矢先の新型コロナウイルスだった。夢は3年目で途絶え、しばらく海外旅はできないだろう。そう思っていた。ある日の朝、一通のメールが届いた。「大垣さん、ご無沙汰してます!スイスでトレランのツアーがあるのですが、よかったら行きませんか?」これは、現実なのか?スマホで寝ぼけ眼で開いたメールは夢だと思って、ひとまず二度寝した。しかし、その後しっかり起きてPCで見ると、やはり本当なのである。こうして私は社会人5年目にして3度目の海外旅に行くことになったのだった。

都会でも、自然を感じられるそんな旅の始まり

8月20日。成田からスイス航空で14時間半。スイス第一の都市、チューリッヒに降り立った。今回のメールの送り主は、クッション性のある特徴的なソールのシューズを筆頭にジャケットやパンツなどのアイテムを多く手がけるOnからだった。これからスイス政府観光局とOnによる、トレイルランニングを楽しむツアーが始まる。オーストラリア、中国、台湾、そして日本の計4ヶ国から総勢約20人の山好きがこの地に集まった。

旅の初めにはOnの本社を覗かせていただいた。チューリッヒのメイン駅からトラムに乗り10分ほどで到着したオフィスは、各フロアに山や木をあしらったソファがあり、都会にいながらも自然を感じられる空間となっていた。屋上には良い香りのするお花やハーブが植えられていて、裏山の景色を楽しみながら仕事をすることもできるそうだ。ここで今回の旅の相棒となるシューズやウエアを受け取った。この旅では、スイスの山でのランをとおして、Onの魅力についても紐解きたいと思う。

上)本社はショッ プも併設され、お買いものも可能。カラフルで機能的なシューズが並ぶ店内。 自分に合うシューズをAI が診断してくれる機能も。 左下)ロゴが目印の本社社屋。ここからOnの製品が世界に羽ばたいている。右下) 今回の旅の相棒たち。今季の新色、マンゴーカラーのウエアが目を引く。右)On の本社屋上から見える裏山。民家の色合いが美しい。

その後、最初の拠点となるサンモリッツへ電車で向かった。途中、車窓からはサイクリングを楽しんでいる人や、川や湖でSUPやカヤックをしている人が見えた。季節は夏。スイスは夏が短く、貴重な季節を楽しみ尽くそうと、みな必死なのだという。車窓は街から山間部へと移動していく。牛がいる景色や渓谷沿いから見る山々は、ハイジの世界そのものだった。

左)車窓は常に絶景。山はもちろん、氷河や湖、川や里の風景が出迎えてくれる。右) 世界遺産にもなっている 「レーティッシュ鉄道」。

St.Moritz サンモリッツ

On創業のきっかけとなった場所。スイス南東部に位置する山と湖に囲まれたのどかな街で、ウィンタースポーツも盛ん。メインストリートのすぐ近くにトレイルが張りめぐらされていて、トレイルランニングやハイキングはもちろん、マウンテンバイクや湖水浴、キャンプを楽しむ人々でにぎわっていた。足慣らしのために訪れた「ラ・プントトレーニングパーク」は1周1㎞ほどのコースに、スラックラインや岩場のステップなどトレランを楽しむための仕掛けが数多く用意されており、初心者から上級者まで楽しむことができる。

左)ラ・プントトレーニングパークの看板。右)駅前にあるサンモリッツ湖は冬場凍結するとスケートリンクになるのだそう。

Piz.Nail ピッツ・ネイル

サンモリッツのハウスマウンテンと呼ばれる標高3,056mの山。ゴンドラで標高を上げて、少し走った先にある湖は、周りの山々の美しさはもちろん、透き通った水がキレイ。5~6周まわりを走ったあとに思わず泳いでしまったほど。

Maloja マローヤ / Muottas Muragl ムオタス・ムライユ

左)中心部から車で30分ほどの村、マローヤ。急勾配のアップダウンを超えた先には美しい里と湖が出迎えてくれる。右)山を横目にトラバースして走っていくと100年以上も歴史のあるホテルに行き着くムオタス・ムライユ。

Grindelwald グリンデルワルト

3日間滞在したサンモリッツから電車で6時間ほど移動した先にある、名峰アイガーのお膝元。アイガー以外にもメンヒやユングフラウなどの岩山が並び、駅を出てそびえたつ岩の壁を頂上まで眺めると、思わず仰け反りそうになってしまった。泊まったホテルから見える景色も山がすぐそこ。

終点駅は飲食店やホテル、土産店でにぎわうほか、アウトドアショップも数多くある山岳観光の街で、バックパックを背負った人と何度もすれ違った。長野県松本市とは姉妹都市にあり、松本から来たというとハグをして喜んでもらった。

左)泊まったホテルからの景色。岩山がすぐそこ。中)フィルストというゴンドラ駅近くの空中回路。高所恐怖症でな ければ絶景を楽しめる。右)観光客で賑わう終点駅のメイン通り。

Jungfraujoch ユングフラウヨッホ

ゴンドラと電車を乗り継いで行くことができるユングフラウとメンヒの鞍部。その標高は3,466mで、富士山並みの高さのところまでこちらも100年以上前から電車で行けてしまうというから驚きだ。氷河や岩山を間近に望むことができる。

Bach alpsee バッハアルプゼー

ユングフラウヨッホ行きとは別のゴンドラの終着点、フィルストから往復2時間ほどのトレッキングでたどり着ける湖。風が止むと鏡張りのようになり、山々が美しく反射していた。氷河をまとった岩山と牛たちを横目に歩くのも楽しい。

Zürich チューリッヒ

その後、初日に訪れたチューリッヒへと戻る。スイス第一の都市だが、低山も湖も近くにあり、自然にすぐ触れられる。ふたつの山でトレランを楽しんだのだが、どちらもトラムやバス、電車ですぐにアクセスでき、中心地から30分とは思えないほど豊かな環境が広がっていた。メイン駅からほど近くのチューリッヒ湖には、白鳥やカモなど多くの水鳥が訪れていて、湖畔は街ゆく人々の憩いの場となっていた。沈む夕陽が波立つ湖面に移り、キラキラと輝く姿はこれまでに見たことがない色合いで、いつまでも眺めたくなる風景だった。

左)チューリッヒ湖の白鳥。Onのシューズとともに。右)街中を張りめぐらすように路線図が組まれている白と青のトラム。

Käferberg ケーファーベルク

On本社の裏山。いくつものルートを選ぶことができ、途中の芝生広場から見ることのできる街の景色が美しい。植生が日本と似ており、松やアカツメクサ、クワ、野いちごなど、なじみある植物を異国の地で見られるのもおもしろい。

Uetliberg ユトリベルク

チューリッヒ湖から遠くの山までを見渡せるチューリッヒの最高峰。山頂まではメイン駅から電車で行くことも可能だが、街中の登山口から登ることもできる。この山から縦走路も延びているのでさらに先も気になるところ。

氷河の水色や太陽のオレンジ、日本では出会えない色がある

スイスは日本と緯度はそこまで変わらない。おなじく現地は暑いのかと思っていたら、こちらは標高が高い。昼夜の寒暖差が大きく、夜の気温はわずか5度、しかし日中は28度といった具合だ。サマータイムの期間なので、朝は6時半ころから、夜は20時になっても明るかった。今回の旅の初めは1日に約20㎞を走る。日ごろ走ることを日課にしているが、海外でのランは初めてのこと。しかも普段そんな距離を走ることのないゆるゆるランナーなので、出国時は今回の旅の目的に不安を漏らしていた。

しかし現地に着くと、走れることへの喜びや楽しみに心が入れ替わっていた。それもそのはずで、見渡す限り景色がとにかく美しいのだ。この美しさを電車やバスなど、乗り物のスピードで通り過ごしてしまうのはもったいない。自分の足で大地をしっかりとふみしめながら、次の景色を見にいきたい。そう切に感じ、Onのアイテムを身につけて山道を走ったのだった。

左)サンモリッツで見つけたマップ。山や湖、トレイルの位置関係だけでなく、かわいらしいイラストでおすすめのアクティビティがわかるのもありがたい。右)土産店などにある昔ながらのポスターがかわいい。写真はユングフラウヨッホのホテルのもの。

Onのシューズは〝クラウド〞の名がつくとおり、真っ青な空に浮かぶ雲のように軽かった。そして、水色やオレンジのほどよく鮮やかなウエアが走ることの楽しみを倍増させてくれたように思う。今回スイスで見た景色を思い返すと、日本では見ない色にたくさん出会ったように感じる。いくつもの年月を重ねた氷河が表す白や水色、湖面に映る太陽のオレンジや反射する山々の緑。だからOnのカラーはこんなにも心を掴む絶妙な色合いなのだろう。そんなことを思いながら、スイスの風を切って山を走った経験は、深く私の心に染みついた。

左)1対1で牛を積み、先に高く積んだ方が勝ちというスイスの伝統的なゲーム。職人さんが木材から牛を切り出し、絵付や装飾も手作業。お土産としても人気だそう。右)どこのスーパーでも見かけたスイス発祥のハーブ飴「リコラ」。

山旅におすすめしたいOnのアイテム

今回の旅でお世話になったOnのアイテムをピックアップ。「ウェザージャケット(写真左)」は山でも街でもさっと羽織ることができ、寒暖差の大きい今回の旅で何度も助けられた。軽量でコンパクトに収納できるのもうれしい。ハイキングシューズは「クラウドビスタ(写真右)」を愛用。ソールのクッション性が高く、グリップ力が高いので、岩場や斜面はもちろん、かなりの頻度で落ちている牛のフンも軽快に交わせる。

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Profile

大垣 柚月

ランドネスタッフ

大垣 柚月

山とふもとの街歩き(温泉、酒蔵、カフェ、雑貨屋など)が好きで、妄想の旅のプランを立てて楽しむこともしばしば。山が好きすぎて山の近くとの二拠点生活をしている。気がつくと困り眉になっているが、困っている訳ではない。

大垣 柚月の記事一覧

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