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モデル仲川希良の「絵本とわたしとアウトドア」#30 ルピナスさん ― 小さなおばあさんのお話―

自分がいまできる「なにか」を探し続ける

息子とお散歩から帰宅中にふと足元を見ると、 デニムの裾にビッシリくっつき虫がついていました。虫とはいうものの、実際は植物の種子や果実。動物の体や人の衣服について、その生息範囲を広げているのです。草むらを歩き回ったせいか息子と私の服にあちこちくっついたのを摘み落として帰りながら、種子散布に協力しているぞ、とニヤニヤしてしまいました。

私たちは自然界と人との営みをつい分けて考えがちですが、こうして無自覚にもさまざまな影響を残しています。街の人の暮らしとともに生息範囲を拡大する動物だっています。たとえ山のなかでも、魚の住み家や木々の種類などの景色の成り立ち自体に、放流や伐採といったかつての人間の生活が関わっていることがあると、山に登るようになって知りました。私が動き回るだけで、いや生きるだけで、直接的にも間接的にもなんらかの影響が残る。できるなら良いもの、そして美しいものを残したいなと思います。

▲幼いころはオナモミやイノコズチを服につけて遊んだ。くっつき虫ならまだしもルピナスさんのような種の蒔き歩きは、生態系や遺伝子情報的にNGだな……なんて考えてしまう大人になりました

「ルピナスさん」は、少女アリスがルピナスさんと呼ばれるおばあさんになるまでの一生を描いた絵本です。アリスは海辺の町で看板職人のおじいさんを手伝い、夜はその膝に乗って遠い国々の話を聞いて育ちました。おじいさんのように、大きくなったら遠くに行き、海辺に住む、と言うアリスに、もうひとつしなくてはならないことがあると、おじいさんは伝えます。「世のなかを、もっとうつくしくするために、なにかしてもらいたいのだよ」……これは難しい。

成長したアリスは約束どおり世界中を旅し(雪の高山にも挑戦!)、海辺の家を手に入れ、 さて、世のなかをもっと美しくするには何をすればいいのだろうと考えます。ある春、体が悪くなり、寝たきりで過ごす彼女を窓越しに励ましたのは、美しいルピナスの花でした。回復した彼女はポケットにルピナスの種を詰め、村中に蒔いて歩き始めます。村に咲き乱れる花。それは風に乗って増え続けます。そうして彼女はルピナスさんと呼ばれるおばあさんになりました。花に誘われ集まった村の子どもたちに、遠い国々の話を聞かせるその姿は、花とともにもっと大切な種を蒔いているように、私には感じられます。

世のなかをもっと美しくする生き方……絵本の最後でルピナスさんの大姪が言うように「いまはまだわかりません」が、私も自分の答えを探し続けたいと、この本を読むたび思うのです。

今回の絵本は……

ルピナスさん ― 小さなおばあさんのお話―

作 バーバラ・クーニー
訳 かけがわやすこ
ほるぷ出版

木の板に描いたというクーニーの絵 には暖かさと懐かしさがある。ルピナスの花に象徴された女性の一生が、時代ごとにピンクや青といったルピナスの色に染められて美しい

モデル/フィールドナビゲーター
仲川希良

テレビや雑誌、ラジオなどに出演。登山歴は13 年目。里山から雪山まで広くフィールドに親しみ魅力を伝える。一児の母。著書に『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』

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仲川 希良

モデル/フィールドナビゲーター

仲川 希良

テレビや雑誌、ラジオ、広告などに出演。登山歴はランドネといっしょの12年。里山から雪山まで幅広くフィールドに親しみ、その魅力を伝える。一児の母。著書に、『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』

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テレビや雑誌、ラジオ、広告などに出演。登山歴はランドネといっしょの12年。里山から雪山まで幅広くフィールドに親しみ、その魅力を伝える。一児の母。著書に、『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』

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