アウトドアスタイル・クリエイター四角友里さんの歩く、田辺の魅力【#1】ここにしかない山と町の風景
ランドネ 編集部
- 2023年01月23日
山、海、町、食、そして人。南紀白浜空港から、車で30分ほどの立地にある和歌山県田辺市は、旅のきっかけを見つけるには充分すぎるほどの魅力にあふれる場所。この田辺を、山や自然を愛する人が旅をするなら――。そんな目線で、登山靴を履き、バックパックひとつを背負って”田辺時間”をすごした四角友里さん。たくさんの山と町を歩き、心を動かしてきた友里さんが見つけた田辺の魅力を、お届けします。
【#2】表情の異なる地元の愛され山
【#3】熊野古道・中辺路
【#4】何度も訪れたいふもとの町
【#5】田辺で暮らす人の思い出が宿るお菓子
四角友里さんが歩いて見つけた、田辺の魅力
初めて旅をした和歌山県田辺市。紀伊半島の南西側に位置し、世界遺産の熊野古道や温泉、海と山の豊かな自然、梅やみかんなどの特産品が有名で、どこか懐かしい風情が息づく、のどかな町です。
田辺の魅力はさまざまで、ひとことで言い表せないほど盛りだくさん。山歩きの部、町さんぽの部、どちらも欲張りに朝から晩まで田辺を遊びつくしました。この「山と町、どちらもディープ」というのが最大の魅力かもしれません。
遥か昔から、神々が鎮まる聖なる地と考えられてきた紀伊山地。紀伊山地の山はどれも背は低いのですが、山々がぎゅっと密集し、幾重にも折り重なる姿は独特の雰囲気を醸し出しています。
地殻変動の隆起と侵食によって作られた急峻な紀伊山地の姿を、地元の方は「しわくちゃなんです」と表現されていました。そして、今回、山を歩くたびに、その“しわくちゃ”によって生まれた「ここでしか見られない景色」に何度も驚かされました。山には、町の近くとは信じられないほどの絶景が待っていました。谷には、水が生まれる場所や、古い歴史と信仰、文化がありました。
人のシワに、喜びや悲しみなどその人の人生が表れるように、紀伊山地の大地のシワには、地球や人の生きた軌跡が刻まれ、味わい深い魅力となっています。
田辺は、海の幸もローカルグルメも、みかんもお菓子も、どれもこれもおいしい。こんなに朝昼晩+おやつ と満たされる、食の豊かな町はそうありません。山歩きには毎回、みかんと町さんぽで出会った田辺のおやつをかごに詰めて持っていき、自然のなかで味わいました。
田辺の旅は、趣の異なる個性的なコンテンツから、なににときめき、手を伸ばすかによって、完成図も思い出も変わります。それはまるで、自分だけのお菓子の詰め合わせを作る作業のよう。さらに山と町を組み合わせて旅することによって、物語が広がりました。
――純喫茶でモーニングをしてから、町でおやつを探し、
――小さなころに遠足でいった山や、ちょっと足を伸ばして渓谷や熊野古道まで。
――歩いたあとは、馴染みの店でお酒と夜ごはんに舌鼓。
田辺に暮らす方たちの“おやすみの土曜日”のような旅をしました。
こうやって田辺に魅せられた私は、故郷を自慢するように、「田辺っていいところだよ」と伝えたいのです。
〜旅人 アウトドアスタイル・クリエイター 四角友里〜
「山スカート」を日本に広めた女子登山ブームの火付け役。現在は講演や執筆、アウトドアウエア・ギアの企画開発を通し、メッセージを発信する。海外の山や日本全国の山を旅しながら、土地の食や文化を味わうのがライフワーク。著書に、登山ノウハウが満載の『一歩ずつの山歩き入門』(枻出版社)、山の思い出を綴ったエッセイ『山登り12ヵ月』(山と溪谷社)など。雑誌『ランドネ』にて「にっぽん食名山」を連載中。Instagram@yuri_yosumi
【#2】表情の異なる地元の愛され山
【#3】熊野古道・中辺路
【#4】何度も訪れたいふもとの町
【#5】田辺で暮らす人の思い出が宿るお菓子
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写真◎後藤武久
テキスト◎四角友里
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ランドネ 編集部
自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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