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モデル仲川希良の「絵本とわたしとアウトドア」#37 あめがふるときちょうちょうはどこへ

静かな雨の日に、
動物たちの生態に思いを巡らせて

どんなお天気であろうと外を自由に駆けまわる息子。私もそれについていくべく、雨の日はポンチョと長靴を身につけるようになりました。少しの雨では傘はさしません。視界が広がるし、行動範囲も変わる。雨景色がずいぶん違って見えることに気がつきました。

足元が濡れやすく避けがちだった公園にも、ずんずん出かけます。芝生にできた水たまりに、普段は少し離れた池を泳いでいるカモが遊びに出てくることを知りました。ムクドリはいつもと変わらないようすで地面をついばみエサ探し。意外と水に強いんだなと感心します。でも体の小さな、たとえばスズメなどはなかなか見かけません。やはり雨宿りしているのでしょうか。

今回の一冊は、雨の降る日の動物たちの生態に思いを巡らせてみるお話です。「みんな、あめがふるとき、どこへいくのかしら」……もぐらは穴にもぐれるだろう、うちの猫は玄関に駆け込むのを見た。身近な生きものの姿を、子どもの心であれこれ想像します。小鳥に関しても書かれています。「あたまだけは、つばさのしたに いれても ほかのところは、いったい どうなるのかしら」。そして「あめが こぶりになったら すぐに、わたしは、そおーっと きのところへ いってみよう」と続きます。雨のなかで実際の姿を観察しようと思いつくのです。

ちなみにタイトルにあるチョウについても終始想像してみていますが、絵本のなかには最後まで答えが出てきません。雨の降る日にチョウがどうしているのか、大人の私もとても気になってしまいました。そもそも雨のなかで自分がチョウを見たことがないということ自体、この絵本を通して初めて気がついたのです。

▲雨に降られ続けた屋久島。みずみずしい緑に染まる森を、おびただしい数のサワガニが歩きまわっていた。発光しているような青白さが神秘的。雨のなかで消耗する私とは対照的に、濡れるほどに元気そう

挿絵は降りしきる雨を思わせるブルーグレーのグラデーション。子どもがつぶやくような口調が続き、心が落ち着きます。ところが読み聞かせてみた息子は違ったよう。真剣に耳を傾けながら、「ぼくがカメさんだったら雨のときこうするよ!でもチョウチョはどうかな?」と全身で動物になりきりながら、頭のなかで雨の日を楽しんでいました。

できるだけ晴れた日を選びたい山歩きでも、やむを得ず雨のなかを行動することがあります。レインウェア越しに叩いてくる雨粒を感じながら、これまでの私だったら内省的なひとときを味わうシチュエーション。でもいまこの瞬間、鳥は、虫は、どうしているかしら?自分と同じ雨を浴びる動物たちのようすに目を凝らし、感じとりながら、次回は歩いてみたいと思います。

今回の絵本は……

あめがふるときちょうちょうはどこへ
文 M・ゲアリック
絵 L・ワイスガード
訳 岡部うたこ
金の星社

梅雨時にぴったりの一冊。読み進めるうちに、雨のなかを散策に出かけたい気持ちがふくらむ。雨の静けさ、動物たちの生命力、子どもの好奇心、不変的な美しさ

モデル/フィールドナビゲーター
仲川希良

テレビや雑誌、ラジオなどに出演。登山歴は14年目。里山から雪山まで広くフィールドに親しみ魅力を伝える。一児の母。著書に『わたしの山旅 広がる山の魅力・味わい方』『山でお泊まり手帳』

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ランドネ 編集部

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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。

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