ランナーの足の痛みをチェック&改善!負担が大きい足は要注意
- 2021年03月15日
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足の痛みでトラブルが頻発!ランニング時のダメージポイントを知っておこう
ランナーの宿命といっても過言ではないのが、足の痛みのトラブルです。その理由は単純で、足は体の土台であり、体のなかでももっとも負担のかかる部位だからです。土台の問題を放置しておくと、足に限らず体全体にさまざまなトラブルが発生し、走るどころか日常生活に支障が出ることにもなりかねません。
走るという動作は、数え切れないほどの筋肉、腱、骨などが連動することで成り立っています。なかでも、体重の何倍もの負荷がかかり続ける足への負担は大きいため、足の痛みが頻発することになるのです。ランニング中にとくに負担が大きいのは、地面に足をつく動き(着地時)と、地面を蹴る動き(離地)です。そして、着地時と、離地時では負担がかかる筋肉に違いがあります。着地時のフォームに問題があると、着地時に負担がかかる筋肉に痛みが発生するリスクが高くなります。いっぽう、離地時のフォームに問題があると、離地時に負担がかかる筋肉に痛みが発生するリスクが高くなります。
こういったことから、足の痛みの発生を防ぐためには、まずは、着地時と離地時に負担がかかる筋肉を把握して、その部位をストレッチやマッサージをしたり、筋トレをして強化することがもっとも大切といえるのです。もちろん、フォームの問題点を修正することも重要となってきます。
着地時と離地時のダメージポイント
着地時
着地時の体のグラつきでヒザへの負担が増大
着地時は片足で全体重を支えるため、足全体に大きな負荷がかかります。とくに前太モモ(大腿四頭筋)とお尻(大でん筋)への負荷は大きく、ハリなどの症状が出やすい部位です。また、フォームが安定していない場合は、着地時の体のグラつきがより大きくなるため、体のバランス調整を担うヒザへの負担が大きく、ヒザに痛みが発生するリスクが高まります。
離地時
地面を力強く蹴る動きが足に大きな負担をかける
蹴る動きをするときには、ふくらはぎ、太モモ裏(ハムストリングス)の筋力が重要となってきます。ふくらはぎ、太モモ裏の筋力が弱いと体がグラついてしまい、ヒザをはじめとした足全体に大きな負担をかけてしまいます。
足の痛みのトラブルを引き起こす元凶は“体のゆがみ”!
横方向の体のブレは足に大ダメージを与える
足の痛みの大きな原因となるのは、「体のゆがみ」です。体がゆがむと着地や蹴り出しのたびに体は前後左右に大きくブレてバランスを崩してしまいます。それを修正するために足はつねにグラグラと動きます。その結果、足全体に大きな負担がかかってしまい、足の痛みが引き起こされるというしくみです。
ゆがみのなかでも、骨盤を構成している関節のゆがみはとくに深刻なダメージを与えます。骨盤は扇の要のような重要な部位で、骨盤がゆがみんでしまうと全身のバランスが崩れて、ランニング時だけではなく、歩くときにも体が大きく左右にブレてしまうのです。また、体の土台となる足裏のアーチの崩れも体のブレを引き起こす大きな原因になります。これに関しては次項で詳しくご紹介します。
足の痛みを引き起こす原因は”足裏アーチの崩れ”かも
ここからは、足の痛みのもうひとつの元凶である、足裏アーチのトラブルに関してご紹介していきます。足裏は、多くの骨、靭帯、筋肉によって構成されています。それらが柔軟に動き、骨や靭帯の動きと連動することで、安定して走ったり、歩いたりすることができているのです。つまり、足裏に問題が発生すると足の動きが不安定となり、足全体を痛めつけることになってしまうのです。
足裏には、縦方向に2つ、横方向に1つ、計3つのアーチがあります。各アーチは体重が加わることによりつぶれ、再び戻るといったように柔軟に動くことで地面からの衝撃をやわらげています。しかしアーチが崩れてしまうと、アーチがクッションの役割を果たせなくなり、下肢に大きな負担がかかり、足の痛みのトラブルが発生しやすくなります。
足裏のアーチの機能低下の原因は足裏とそれにつながる筋肉の硬さや筋力不足です。そのため、足裏のマッサージや、足の指でじゃんけんのグーパーをするような足裏の筋トレが有効となってきます。また、足裏につながる筋肉を強化できる、カカトを上げ下げする運動も効果的です。また、アーチの崩れを矯正してくれるインソールを使用するのもおすすめです。ただし、足の形状は千差万別なので、足の痛みが頻発するといった人は自己判断で既製品を選ぶのではなく、プロに足裏の状態をチェックしてもらい、必要であればオーダーメイドのものを作成することをおすすめします。
3つの足裏アーチ
外側 縦アーチ
カカト~中足骨先端(小指のつけ根付近)に伸びるアーチ。まっすぐに立ち、体が外側に傾いてしまうような人は、外側縦アーチが落ち込んで機能していない可能性も。
内側 縦アーチ
カカト~中足骨先端(親指のつけ根付近)に伸びるアーチで、いわゆる土踏まず部分にあるアーチです。土踏まずがつぶれてしまうことで、カカトが倒れ込むような動きになり、足への負担が大きくなります。
横アーチ
拇指(親指)から小趾(小指)にかけて横に広がるアーチです。横アーチがなくなると 足部が横に広がる開帳足という状態に陥り、足指のつけ根の痛み、角質化を引き起こします。また、外反母趾の原因にもなります。
足の痛みが出たら早期に対処を!
足裏アーチの崩れで起こるトラブルの予防と対処法
では、足裏アーチの崩れが原因となる足の痛みのトラブルの代表的な疾患をご紹介します。当てはまる症状があれば、足裏アーチの崩れを疑い、すみやかに改善策を講じ、それでも症状が悪化するようなら、一度専門機関を受診しましょう。
開帳足(かいちょうそく)
足指を束ねる靭帯が緩み、踏みつけ部の足幅が広くなった状態です。偏平足の人に多くみられ、放置しておくと、最終的には外反母趾や内反小趾になってしまいます。カカトの過度の倒れ込みを防ぐ機能のついたシューズや、アーチサポートの施されたインソールの使用が有効です。
正常な足は正面から見ると、親指から小指のラインがアーチ状になります。しかし、靭帯がゆるむとアーチがつぶれ、親指から小指のラインが一直線になってしまいます。
外反母趾・内反小趾
外反母趾とは、足の親指が小指の方へ曲がり、親指のつけ根の関節が「く」の字のように外側に飛び出してしまう状態、内反小趾は、小指が内側に曲がり、小指の付け根が外側に飛び出した状態の足です。シューズを履くと、飛び出した部分がシューズに当たって痛みが出たり、腫れたりします。足指を動かす運動や、足裏のストレッチとマッサージを定期的に行うことで改善することが可能です。インソールやテーピングなどでも悪化は防げますが、重度な場合は外科的手術が必要となります。
浮き指
足の指が地面についていない状態の足です。浮き指になると、地面を足指でとらえて力強く蹴る動きができなくなります。また、走りの安定性を維持するという足指のもつ機能が低下するため、着地や離地時の体のブレが大きくなります。足指を動かす運動が有効な予防・改善策です。
モートン病
足の第3~4 足趾間(中指と薬指の間)にしびれ、痛みが出る障害です。偏平足の人、つま先立ちをすることが多い人や、ハイヒールを履くことの多い人に多くみられます。サイズの合ったシューズを履くようにしたり、インソールなどで矯正することで改善することが可能です。
足底筋膜炎(そくていきんまくえん)
カカトの裏側の骨から足指の根元まで伸びている足底筋膜がランニングなどにより繰り返し引っ張られることで炎症を起こし、カカトの前などに痛みを感じるようになる障害です。日頃から、足裏の筋肉と足首の動きをよくしておくことで発症を防ぐことができます。
踵骨棘(しょうこつきょく)
足底筋膜が、緊張して踵骨との間にすき間ができるとそのすき間を安定させようとして、踵骨棘(しょうこつきょく)という骨にトゲのようなものができます。それが神経などを圧迫して痛みが長引く場合があります。インソールをなどを使い、足底筋膜を休ませることで予防と症状の軽減を図ることができます。
ハンマー指(ハンマートウ)
足指がハンマーのように変形する障害です。足裏や足指の上にタコができやすく、悪化すると痛みが生じます。サイズの合わないシューズを履くことが大きな原因となります。ハイヒールを履くことの多い人も要注意です。
種子骨炎(しゅしこつえん)
親指の裏側にある種子骨と呼ばれる骨の周辺に痛みが出る障害です。早期であれば、インソールを使うことで改善されます。
<監修>
飯田 潔(いいだきよし)
フットトレーナーズ代表。JOC (財)日本オリンピック委員会 強化コーチングスタッフ、 (財)全日本スキー連盟モーグルチームテクニカルスタッフなども務める足のスペシャリスト。姿勢・動き・競技中の動作解析などから体の動きや姿勢の問題点を抽出し、解決に向けて、総合的なコンサルテーションを行う。「つま先立ちで若返る!重力を味方につけた正しい姿勢の作り方 元JOCスタッフが教える 即効!姿勢改善メソッド」(文響社刊)、即効!!「骨盤ゆがみ」の新常識~スカートはなぜ右に回るのか?~(エイ出版社刊)など、著書も多数。
フットトレイナーズ⇒https://www.foottrainers.net/
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