ランニング前&ランニング後のストレッチでトレーニング効果は倍増!
- 2021年05月12日
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ランニング前のストレッチとランニング後のストレッチはセットで
ランニング前のウォーミングアップストレッチとランニング後のクールダウンストレッチはしっかりしたほうがいいとはわかっているけれど、面倒でつい手を抜いてしまっていませんか?
しかし、ウォーミングアップストレッチとクールダウンストレッチには、トレーニングの効率を高めるだけではなく、ケガの予防、疲労回復の促進など、さまざまなメリットがあるのです。
ランニング前とランニング後のストレッチのおもなねらいは、筋肉を伸ばして硬さをとり、関節の動きをスムーズにすることです。これでランニング時の筋肉や関節への負荷を大幅に減らすことができるからです。
また、ストレッチには高い血行促進効果もあります。そのため、ランニング後に行うことでランニング中に筋肉にたまった疲労物質をすみやかに除去し、筋疲労のすみやかな回復や筋肉痛を軽減することもできるのです。
こういった理由から、ランニング前とランニング後のストレッチはセットで行うことが鉄則!と考えましょう。
“ランニング前のストレッチ”は体温を上げて準備態勢を整える
ここからは、ランニング前に行うウォーミングアップストレッチの目的を具体的にご説明していきましょう。
ウォーミングアップストレッチの主目的は、ランニング前に筋肉や内臓に軽い負荷をかけることで、次にくる強い負荷への準備態勢を整えることです。体が休眠状態にあるときに急に走り出すと、体は急激な心拍数の上昇や動きにうまく対応ができなくなってしまいます。その結果、すぐに息があがってしまったり、筋疲労が悪化して脚が止まるといった事態に陥ってしまいます。
つまり、トレーニングの効率を高めるだけではなく、安全性を確保するためにも、ランニング前のウォーミングアップストレッチはスキップしてはいけないということです。
ウォーミングアップストレッチは、リズミカルな動きをともなうダイナミック(動的)ストレッチがメインとなります。ダイナミックストレッチを行うことで、心拍数や筋肉の温度、筋肉の柔軟性や反応速度を上げることができます。
ちなみに、ウォーミングアップストレッチを行う時間がないときは、ランニングを行う場所への移動時にできるだけハイスピードで歩くフィットネスフォーキングを行うだけでも十分です。手足を大きく動かしながらのスキップを組み入れるのもおすすめです。
ランニング前のウォーミングアップストレッチのねらい
■リズミカルに動くことで心拍数を適度に上げて心臓への負担を軽減する。
■体を温めて血液循環や筋温を上げることで練習の入りをスムーズにする。
■筋肉をストレッチすることで肉離れなどのケガを防ぐ。
■神経系の伝達をスムーズにする。
実践!ランニング前のウォーミングアップストレッチ
■大でん筋ストレッチ
左右各5回
腰に両手を添え、背すじを伸ばして立ち、片脚を大きく前に踏み出す。背すじを伸ばしたまま、太モモと地面が平行になるくらいまで腰を落としていく。落としきったら逆側の脚を前に出し、同様に腰を落としていく。この動きを繰り返しながら10mほど進んでいく。
■中でん筋(お尻横)ストレッチ
左右各5回
背すじを伸ばし、両脚を肩幅に開いて立つ。両手を胸の前で組み、片脚を軸脚の後ろにクロスさせるように下げる。次に体が正面に向くようにひねりながら、ヒザを曲げて腰を沈めていく。
■ハムストリングスストレッチ
左右各5回
片ヒザを曲げて、前に出した脚をはさむように両手を地面につく。後ろ足のカカトはつけたまお尻を持ち上げて両ヒザを伸ばしていく。
■大腿四頭筋ストレッチ
左右各5回
背すじを伸ばして立ち、片ヒザを曲げて、足の甲を手で持つ。バランスを崩さないようにしながら、脚を後ろに引き、再び戻す。これをリズミカルに繰り返す。バランスがとりづらい人は、壁などにつかまって行おう。
■体幹・肩甲骨ストレッチ
縦振り10回+横振り左右各5回
万歳をするイメージで、両腕を大きく上方に伸ばし、体を少し反らすようにしよう。砲丸をリリースするイメージで左斜め上、右斜め上に腕を振る。
■ふくらはぎストレッチ
10回
その場でジャンプをして、ヒザを前方に押し出し、曲げて着地する。
“ランニング後のストレッチ”で疲れた体をリラックスに導く
ランニング後に行うクールダウンストレッチのおもな目的は、全身の筋肉や関節の緊張をとり、興奮状態の体をリラックスさせることです。そのため、スタティック(静的)ストレッチがメインとなります。
スタティックストレッチとは、反動をつけずにゆっくりとした動きで筋肉や関節を伸ばしていくストレッチです。ランニングで酷使した筋肉を時間をかけて伸ばして、徐々に体をリラックスモードにスイッチしましょう。
注意してほしいのは、ランニング後は急に止まること。徐々にスピードを落として、ジョグまたは、フィットネスウォーキングを。その後にクールダウンストレッチを行うようにしてください。
ランニング後のクールダウンストレッチのねらい
■体に溜まった疲労物質をすみやかに除去する。
■徐々に呼吸や心拍数を整え、心肺への負荷を軽減する。
■硬くなった筋肉の柔軟性を取り戻す。
実践!ランニング後のクールダウンストレッチ
■足上げ振動
30秒
両脚を軽く開いて真上に上げ、その状態のまま脚をブラブラと30秒ゆする。
■大でん筋ストレッチ
左右各15秒キープ
片ヒザを曲げて両手でヒザの皿の下あたりをつかみ、そのまま脇の下方向へとヒザを引きつけていく。引きつけきったら15秒キープ。
■中でん筋ストレッチ
左右各15秒キープ
背すじを伸ばして両ヒザを曲げて座り、片脚をヒザにのせる。ヒザをのせた側の脚の手をヒザの横に添えて、ヒザを軽く押して15秒キープ。
■ハムストリングスストレッチ
左右各5回
背すじを伸ばして座り、片脚のふくらはぎを持ち、ヒザを伸ばしたまま片脚を上げる。そのまま体側に引きつけていく。ヒザが曲がらないように注意しよう。
■大腿四頭筋ストレッチ
左右各15秒キープ
横向きに寝て、片ヒザを曲げて手で足首をつかむ。手で足首を後方に引っ張り、前太モモを伸ばしていく。伸ばしきったら15秒キープ。
■背中ストレッチ
10秒キープ
脚を軽く開いて床に肘をついて四つ這いになり、手のひらを上に向ける。息を吐きながら、背中が上から押されて背骨が反っていくイメージで、胸椎部分を反らしていく。反らしきったら10秒キープ。
■万能ストレッチ
左右各30秒キープ
脚を大きく開き、後方に脚を伸ばしたほうの手をイスなどに置く。ヒザが地面に接するくらいまで腰を深く沈め、上半身は地面に垂直になるように立てる。これで脚とともに腹筋がよく伸びる。曲げたヒザを手で外に押し出す。30秒キープ。これで股関節、内転筋が伸ばされる。
<監修>
柳 秀雄(やなぎひでお)
柳鍼灸院院長、柳鍼灸院ランニングクラブ主宰。治療家として培った解剖学や運動学の知識を駆使して、市民ランナーをサポート。施術、指導したアスリートの数は数千人を超える。フルマラソンの自己ベストは2:53:04(2020別府大分マラソン)。
柳鍼灸院ランニングクラブ⇒https://sub3coach.com
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