フルマラソンで確実にタイムアップできる!走力別トレーニング法
- 2021年05月06日
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走力に合ったトレーニングで、フルマラソンサブ5、サブ4を目指そう
フルマラソンに出場する市民ランナーの多くが目指すのは、4時間台(サブ5)、3時間台(サブ4)と言われています。ただし、サブ5とサブ4のランナーの走力には大きな差があります。そのため、サブ5までは達成できたものの、サブ4の壁をなかなか破ることができないという伸び悩みランナーが多いことも事実です。また、さらに難しいのはサブ4からのタイムアップです。
こういったことから、サブ5とサブ4にいるランナーがタイムアップを目指すには、コツを押さえたトレーニングメニューを組むことが必要となってきます。ポイントとなるのは「自分のいまの走力を知っておくこと」です。走力に見合わないトレーニングを続ければ、トレーニング効率が悪くなりタイムが上がらないどころか、ケガのリスクも高まります。
5kmを走って“いまの走力”をチェックする
ここで自分のいまの走力のチェック方法をご紹介しましょう。まずは無理のないペースで5㎞を走ってタイムを計測してください。26分25秒以内で走れた人は、サブ4のレベルに達している可能性大です。いっぽう、26分26秒~33分40秒だったら、サブ5のレベルにあると考えましょう。
もしかしたら、サブ4を目指している、またはすでにサブ4を達成しているにもかかわらず、26分25秒以内という規定タイムに達しなかった人がいるかもしれません。そんなときは、焦ることなくサブ5向けのトレーニングからリスタートをしましょう。
では、ここからはサブ5、サブ5のレベル別のトレーニング法をご紹介していきましょう。まずは1カ月トレーニングを続けたら、再びタイム計測を。サブ5のトレーニングを続けていた人はそこで規定タイムに達することができたら、サブ4のトレーニングに移行しましょう。
★26分25秒以内で走れた⇒サブ4トレーニングからスタート
★26分26秒~33分40秒で走れた⇒サブ5トレーニングからスタート
もし33分41秒以上かかった場合、はフルマラソン初心者向けのトレーニングからリスタートすることをオススメします!
→フルマラソン初チャレンジ向けのトレーニングはこちら
サブ4、サブ5のトレーニングを行う前に知っておいてほしいのは、ラントレは毎日行ってはいけないということです。毎日のラントレはケガや筋肉量の低下など、百害あって一利なしです。走らない日があると不安という人は、ゆっくりジョグやウォーキングを行いましょう。また、筋トレもラントレにプラスして行いましょう。筋トレは毎日または、ラントレが休みの日に行いましょう。
フルマラソンサブ4ラントレ編
それではまず、サブ4を目標とする方向けのトレーニングをご紹介します。
5分40秒/㎞ペースで走れる体をつくってタイムアップを目指す
サブ4以上を目指すなら、目標とするペースを楽に走れるようにする必要があります。そのため、スピード練習は必須と考えましょう。スピード練習(インターバルトレーニング)のおもな狙いは、5分40秒/㎞ペースに耐え得る脚力と心肺機能を獲得することです。フルマラソンではこのペースを維持できないとサブ4は達成できないからです。
はじめはかなりキツく感じるかもしれませんが、体が慣れてくると5分40秒/㎞ペースで走っても心拍数が急激に上がらず、呼吸が苦しくなることもなくなります。また、筋疲労もしにくくなり、後半に脚が止まるといったトラブルも回避できるようになります。また、心肺機能の向上を実感できるようになったら、スピード練習とともに行うべき「ペース走」も「ロング走」もラクにこなせるようになるはずです。
タイムアップを目指すフルマラソンサブ4ラントレメニュー
■スピード練習(インターバルトレーニング)
1000m全力走⇒インターバル(休息)90~120秒×5セット
サブ4、とくにサブ4前半(3時間前半)のタイムを目指す場合には、週に一度はスピード練習をとり入れましょう。かなりキツいトレーニングですが、5分40秒/kmのペースをラクに走れる絶対速度が獲得でき、心肺機能を引き上げることができます。具体的には、1000mをできる限り全力で走り、90~120秒のインターバル(休息)時に心拍数を120拍/分くらいまで落とします。ただし、90~120秒以内に心拍数が落ちないときはインターバルの時間を延ばしてもOKです。
■ペース走(5分40秒/㎞ペースで8~10㎞を走る)
ペースを一定にして走ることはタイムアップの基本です。とくにサブ4を目指すなら、本番までには時計を見なくても5分40秒/kmペースを遵守して走り続けられるようになっておくことが必要となります。ペースを一定にして走ることを強く意識しましょう。
■ロング走(20~25㎞を走る)
長い距離を走ることに体を慣れさせておくことも重要です。5分40秒/kmペースで20~25kmを走りきれればベストですが、後半にキツくなるようなら6分/km程度にまでペースを落としてもOKです。ただし、フルマラソン大会の1カ月前の追い込み期までには5分40秒/kmペースで走れるようにしておきましょう。
■フルマラソン大会1カ月前の追い込み期は最低月1回30kmペース走
最後の仕上げに、距離に体を慣らすペース走を最低でも月1回、週末に行いましょう。複数回行う場合、2週間以上は間隔を空けてください。5分40秒/kmペースで走ることができればベストですが、自信がないようなら、はじめは6分/kmペースに落としてもかまいません。
フルマラソンサブ4筋トレ編
筋トレは毎日してもOK。全てを一気にやらなくてもよいので、自分のペースで取り入れてみましょう。
スピードアップを支える体幹を鍛える
フルマラソンの目標タイムを達成するためには筋肉を強化するトレーニングも必要です。スピードアップを支えるのは「体幹」。安定した着地、地面からの力を推進力に換える、ランニングエコノミーを高めるなど、スピードアップに欠かせない要素を実現させるためには体幹の筋力を鍛えておくことが最重要課題となります。そのため、体幹強化に重きを置いたメニューが多くなります。
タイムアップを目指すフルマラソンサブ4筋トレメニュー
■腹筋ローラー
20往復
腹筋ローラーを持ち、両ヒザをついて背すじを伸ばして四つん這いになる。背すじを伸ばしたまままっすぐ前に腹筋ローラーを転がし、限界まで転がしたら元の姿勢に戻る。
■ハンズアップスクワット
30回
背すじを伸ばして立ち、両手を斜め前方に上げる。お尻に力を入れて、太モモと床が平行になるくらいまでゆっくりと腰を真下に落としていく。
■空気イス
30秒以上キープ
つま先をまっすぐ前に向けて両脚を軽く開き、壁に背中をつけて背すじを伸ばして立つ。壁に背中をつけたままゆっくりと腰を真下に落としていく。太モモと床が平行になるくらいまで腰を落としたら、その姿勢を30秒キープ。慣れてきたら、キープする時間を延ばしていこう。
■片脚上げサイドプランク
左右各10回
両脚を揃えて床に真横に寝て、下側の手で上体を支えてスタンバイ。その姿勢のまま腰を真上に持ち上げていく。バランスがとりづらい場合は、体の上側の手を上げてもOK。体のグラつきを抑えながら、上側の脚をゆっくりと持ち上げていく。
■ニー・トゥ・チェスト
30回
背すじを伸ばして床に座り、両脚を揃えてヒザを直角に曲げる。両手をヒザの横に添える。両脚を揃えたまま胸に引きつけていく。背すじを丸めず、後ろに体が倒れないようにバランスをとりながら、限界までヒザを胸に引きつける。
■片脚立ち
5秒キープ×左右各5回
両脚を揃え、背すじを伸ばして立つ。両腕は肘を伸ばして体側に。ヒザを伸ばしたまま脚を上げ、同時に上体をゆっくり倒していく。上体と脚が床と平行になるまで上体を倒したら、体がグラつかないように注意して5秒キープする。
■バイシクルシットアップ
左右交互に各10回
床に仰向けになり、両手を後頭部に添える。両脚を揃えてヒザを直角に曲げて持ち上げる。上体を起こして片脚をのヒザと対角の肘をくっつける。このとき、できるだけ上体を起こして肘をヒザにくっつけるようにしよう。
■タオルギャザー
30cm×1回
背すじを伸ばして立ち、タオルを床に広げ、タオルの端に足を置く。タオルを足指を使ってたぐり寄せていく。5本の足指の関節をきちんと動かし、それに連動して足裏も動いていることを確認しながら行おう。
フルマラソンサブ5ラントレ編
次にサブ5を目標とする方に向けたトレーニングをご紹介します。
7分/㎞ペースで走れる体をつくってタイムアップを目指す
サブ5達成と言われると簡単そうなイメージを抱くかもしれませんが、4時間台で走るというのは想像よりも速いスピードで走る必要があります。それも4時間台の前半を目指すなら、サブ4に近い心肺機能を擁することも求められます。とはいえ、まずは焦らず4時間台に収まれば上出来という気持ちでトレーニングをスタートしましょう。
トレーニングのベースとなるのは、7分/㎞のペースをキープして走ることができるようになるための「ペース走」です。さらに、長く走ることに体を慣らすため、週に1回は約1時間のランニングを。このときはペースを気にせず走ってもOKです。
ちなみに、4時間台前半を目指すなら、フルマラソン大会の1カ月前はよりハードなトレーニングにスイッチする必要があります。これでペース感覚と長距離ランに耐えられる走力を一気に向上させよう。
タイムアップを目指すフルマラソンサブ5ラントレメニュー
■1日おきのペース走
無駄なエネルギーを使わずに、長く、スピードを維持したまま走るためには一定ペースで走ることを体に覚えさせることが必要です。5時間台後半の人は、はじめは7分/kmペースで走り続けるのはキツいかもしれません。そんなときは、前半だけでもいいので7分/kmペースを維持できるように頑張りましょう。
■週1回はジョグペースで長めのランを
距離を走ることに体を慣らしましょう。ただし、ペースが速すぎるとケガのリスクが高まるため、追い込み期以外は少しスピードを抑えて会話ができるようなジョグスピードで走るようにしましょう。また、「長く走る=ツラい」という感覚を払拭することもねらいなので、たまにはトレランなど、トレーニングフィールドを変えたり、週末に開催されるランニングイベントに参加するのもおすすめです。
■フルマラソン1カ月前の追い込み期は長距離ペース走を
追い込み期になったら週1回行っていた長めのランを、7分/kmペースを維持して走る20km走に置き換えましょう。ただし体への負荷が高いため、できれば週末に。翌日は1日ラントレはお休みに。自信がないという人は、スピードを抑え気味でもいいので30km完走を目指しましょう。
フルマラソンサブ5筋トレ編
サブ5向けの筋トレも毎日してOKです。毎日は難しいという方は、ラントレが休みの日など、合間で上手く取り入れましょう。
体幹を強化し、着地の安定性を高める
サブ5のランナーは、サブ4ランナーよりも体幹が弱い傾向にあります。そのため、疲労が蓄積していくとフォームが崩れやすく、距離が延びると着地時の安定性が失われやすくなります。安定性が失われると脚への負担が大きくなり、後半の大失速を招く原因となってしまいます。そのため、ここでは、正しいフォームとスムーズな脚運びを維持できる筋力強化にフォーカスします。
■片脚上げフロントプランク
左右各10回
両脚を揃え、両肘をついて四つ這いになる。つま先を立て、背すじを伸ばして肩からカカトまでが一直線になるまで体を上げる。その姿勢を維持したまま、片脚を真上にゆっくり上げる。
■バイシクルシットアップ
左右交互に各10回
床に仰向けになり、両手を後頭部に添える。両脚を揃えてヒザを直角に曲げて持ち上げる。上体を起こして片脚をのヒザと対角の肘をくっつける。このとき、できるだけ上体を起こして肘をヒザにくっつけるようにしよう。
■ランジ
左右交互に各10回
両脚を揃え、背すじを伸ばして立つ。両手は腰に添える。片脚を大きく前に踏み出しヒザが床につくギリギリのところまで腰を真下に落としていく。体がグラつかないようにバランスをとりながら行うことを意識しよう。
■空気イス
30秒以上キープ
つま先をまっすぐ前に向けて両脚を軽く開き、壁に背中をつけて背すじを伸ばして立つ。壁に背中をつけたままゆっくりと腰を真下に落としていく。太モモと床が平行になるくらいまで腰を落としたら、その姿勢を30秒キープ。慣れてきたらキープする時間を延ばしていこう。
■四つ這いニーアップ
左右交互に各20回
両脚を揃えて背すじを伸ばして四つん這いになる。耳からくるぶしまでが一直線になることを意識しよう。片脚のヒザを曲げて胸に引きつけていく。
■サイドプランク
3秒キープ×左右各10回
両脚を揃えて床に真横に寝て、下側の手で上体を持ち上げてスタンバイ。その姿勢のまま腰を真上に持ち上げていき、腰を上げきったところで3秒キープ。バランスがとりづらい場合は、体の上側の手を上げてもOK。
■V字腹筋開閉
20回
両脚を揃えてヒザを曲げ、背すじを伸ばして座る。両脚、両腕を伸ばし、お尻を支点にして上体を曲げて、V字をつくる。体がグラつかないようにバランスをとりながら、両脚を左右に開く。
■タオルギャザー
30cm×1回
背すじを伸ばして立ち、タオルを床に広げ、タオルの端に足を置く。タオルを足指を使ってたぐり寄せていく。5本の足指の関節をきちんと動かし、それに連動して足裏も動いていることを確認しながら行おう。
<監修>
柳 秀雄(やなぎひでお)
柳鍼灸院院長、柳鍼灸院ランニングクラブ主宰。治療家として培った解剖学や運動学の知識を駆使して、市民ランナーをサポート。施術、指導したアスリートの数は数千人を超える。フルマラソンの自己ベストは2:53:04(2020別府大分マラソン)。
柳鍼灸院ランニングクラブ⇒https://sub3coach.com
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