火山に登るなら備えは万全に!噴火が起こった時は予報・警告・速報にまず注意|#知り続ける
ランドネ 編集部
- 2022年03月04日
複数のプレートに囲まれた日本は地震大国。同時に火山フロントを有する火山大国でもあります。噴火の対応策も万全というものはありませんが、噴火警戒レベルなどの情報を収集し、まずは「危うきに近寄らず」のスタンスで。今回は「噴火」についての対応策を紹介します。
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予報、警告、速報にまず注意
複数のプレートの境目に位置し、地震の多い日本は、同時に火山が多い火山王国でもあります。活火山だけでおよそ100もあり、日本百名山の日光白根山や阿蘇山なども立派な活火山です。ですから日本で山に登ろうと思ったら、まずはその山が火山でないかどうか、火山であればどのくらい噴火の可能性があるのか調べておくことが重要です。
火山の状況については、気象庁や日本気象協会のサイトで調べることができます。火山ごとにレベル1(活火山であることに留意)から3(入山規制)まで噴火警戒レベルのランクがつけられ、最近噴火した山などについては最新の情報が掲載されているので参考になります。また、富士山のように噴火した際の影響が大きい火山については、気象庁が地震計はもとより重力異常などの観測装置をいくつも設置して常時監視していますので、噴火の兆候があればいち早くキャッチして速報を出す体制が整っています。
ただし、2014年に噴火した御嶽山の場合、噴火警戒レベルは1の「活火山であることに留意」だったことからもわかるように、噴火警戒レベルは完全ではないことも覚えておきましょう。これから登る山が火山であれば、過去いつごろ噴火してどのような被害がどこであったかなどを調べ、より安全と思われるルートやエスケープルートなども検討し、速報を受信するラジオなどを持参すれば、火山に登る際の備えとしては充分でしょう。
噴火レベル別に見る日本の代表的な火山
レベル3(入山規制)
桜島、諏訪之瀬島
入山危険
西之島
レベル2(火口周辺規制)
阿蘇山、口永良部島、薩摩硫黄島
火口周辺危険
硫黄島
レベル1(活火山であることに留意)
アトサヌプリ、雌阿寒岳、大雪山、十勝岳、樽前山、倶多楽、有珠山、北海道駒ヶ岳、恵山、岩木山、八甲田山、秋田焼山、岩手山、秋田駒ヶ岳、鳥海山、栗駒山、蔵王山、吾妻山、安達太良山、磐梯山、那須岳、日光白根山、草津白根山(白根山(湯釜付近))、草津白根山(本白根山)、浅間山、新潟焼山、弥陀ヶ原、焼岳、乗鞍岳、御嶽山、白山、富士山、箱根山、伊豆東部火山群、伊豆大島、新島、神津島、三宅島、八丈島、青ヶ島、鶴見岳・伽藍岳、九重山、雲仙岳、霧島山(えびの高原(硫黄山)周辺)、霧島山(大幡池)、霧島山(新燃岳)、霧島山(御鉢)
活火山であることに留意
知床硫黄山、羅臼岳、天頂山、摩周、雄阿寒岳、丸山、利尻山、恵庭岳、羊蹄山、ニセコ、渡島大島、恐山、十和田、八幡平、鳴子、肘折、沼沢、燧ヶ岳、高原山、男体山、赤城山、榛名山、草津白根山、横岳、妙高山、アカンダナ山、利島、御蔵島、伊豆鳥島、三瓶山、阿武火山群、由布岳、福江火山群、霧島山、米丸・住吉池、池田・山川、開聞岳、口之島、中之島、硫黄鳥島、茂世路岳、散布山、指臼岳、小田萌山、択捉焼山、択捉阿登佐岳、ベルタルベ山、ルルイ岳、爺爺岳、羅臼山、泊山、ベヨネース列岩、須美寿島、孀婦岩、海形海山、海徳海山、噴火浅根、北福徳堆、南日吉海山、日光海山、若尊、西表島北北東海底火山
山で遭遇した場合、より安全な場所へ避難
火山の噴火で気をつけたいのが噴石や火砕流などになります。噴石は噴火によって吹き飛ばされた石で、大きなものだと物置小屋くらいにもなります。また、飛んでくる速さも音速近くになることもあります。到底ヘルメットだけで防げるものではないので、丈夫な建物やシェルターに避難する必要があります。小屋もシェルターも何もなければ、大きな岩の陰など少しでも噴石を避けられそうな場所に身を潜め、とくに頭や体を守ることです。山行前に避難場所を想定しておきましょう。
ヘルメット、ゴーグル、マスクの装着
落石から頭を守る、また転倒・滑落などをしたときの頭部の保護という面で、ヘルメットは非常に有効なアイテムです。岩場のある山はもちろんですが、噴火警戒レベルの高い山ほど、山行時にはぜひ携行するようにしてください。ただし、御嶽山噴火時の警戒レベルは1でしたので、警戒レベルはあくまでも目安としてください。
また、火山が噴火した際の危険物のひとつである噴石から頭部を守ることは、前項でも書いているように、ヘルメットでは難しいものでしょう。とはいえ、ヘルメットを携行装着することがリスクヘッジ対策のひとつになることは間違いありません。
火山ガスは空気よりも重い
火山の火口や噴気口から放出される気体を火山ガスと呼びますが、その成分はさまざまです。二酸化硫黄や硫化水素、高濃度の二酸化炭素など、有毒なものがありますので、注意が必要です。火山災害の死亡事故原因としては、火砕流や火山泥流に比べると少ないものですが、1900年以降では約2.5%にあたる1900名が火山ガスで亡くなっているというデータもあります。
これまでの事故例では、火山ガスが噴出している周辺の窪地や谷地形などで多く発生しています。これは火山ガスの有毒な成分の多くが空気よりも重いため、低い場所に溜まりやすいという性質によるものです。無風・曇天の日はガスが拡散しにくいので、より注意して下さい。
火砕流、火山泥流(ラハール)のスピード
火山の噴火の際、噴石と並んで厄介なのが火砕流や火山泥流です。これらは火山のマグマのかけらが空気や水と混じって山の斜面を下ってくるものです。
火砕流の場合、その温度は摂氏千度に達することもあり、移動速度も時速100kmに達することがあります。火山泥流でも水を多く含むものは移動速度が早く、時速数十kmに達するといわれています。
火砕流にしろ火山泥流にしろ移動速度が極めて早いため、発生を目撃してから逃げることはほとんど不可能です。また温度が非常に高いうえ重さもあるため、建物やシェルターで防ぐこともできません。
山行前に火山ハザードマップなどで火砕流や火山泥流の降りそうな場所をチェックしておきましょう。
※この記事はランドネ特別編集 アウトドアで防災BOOKからの転載であり、記載の内容は誌面掲載時のままとなっております。最新情報は気象庁HP、内閣府HP(防災情報)などをご確認ください
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自然と旅をキーワードに、自分らしいアウトドアの楽しみ方をお届けするメディア。登山やキャンプなど外遊びのノウハウやアイテムを紹介し、それらがもたらす魅力を提案する。
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