自分にマッチするヨガは?選べる多彩な流派
大嶋朋子
- 2019年12月11日
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最もよく見るワードはおそらく「ハタ」
ヨガを始めようとスタジオのスケジュールを見たら、見慣れないカタカナが乱立してとまどった経験はないだろうか。英語ならともかく、インド方面と思しき言語(主にサンスクリット語)からは、何をするのかイメージすら浮かばなかったりする。そういう方のために、スケジュール表にありそうな言葉から実際どんなことが行われるのか、ちょっとだけ解説。
ハタヨガ、ハタフロー、リラックスハタ…など。サンスクリット語では「ハ」は太陽、「タ」は月を表す。太陽的な力と、月のような陰のエネルギーそれぞれの要素をあわせ持つヨガという意味があるが、そもそもは体を動かすヨガの総称が「ハタヨガ」。つまり、ヨガスタジオで行われているほとんどのクラスがハタヨガで、多々ある流派のほとんどの源流もまたハタヨガなのだ。
では、その「ハタヨガ」とはどんなスタイル? ポーズ(アーサナ)を取っていくスタイルで、一般的にヨガスタジオでハタヨガと言われるクラスは、ゆっくりとした動きの中で呼吸し、無理なく体を動かしていくものが多い。そのため、初心者がトライしやすいクラスとして位置づけられていることも。ただ、たくさん動いてもハタヨガであることには変わりがないので、運動量やレベルなどを先に確認するのが賢明。
次によく見るのが「ヴィンヤサ」
ヴィンヤサフローという名のクラスが多いが、呼吸と動作を連動させながら、空間の中で自分のエネルギーをフローさせようというもの。呼吸により多くのエネルギーを取り込み、動きを同調させて体内へ巡らせるようなアプローチで、発汗量や運動量もわりと多め。後に紹介するアシュタンガヨガの流れをくむが、プログラムを自由に組み立てることができるため、インストラクターによって個性が表れやすい。
他にもハタヨガから派生したヨガは多く、そのうち日本でもなじみのあるいくつかを紹介していこう。
型が決まっているダイナミックなヴィンヤサ「アシュタンガヨガ」
インドのS.Kパタビジョイスにより考案され、正式名はアシュタンガ・ヴィンヤサ・ヨガ。2000年ほど前にパタンジャリによって記されたヨガの教典『ヨーガスートラ』にある実践部門「アシュタンガ(八つの枝)」の教えを基に、現代人にもわかりやすく学べるよう改善したとされる。一番の特徴は型が決まっている点。太陽礼拝(サンサルテーション)に始まり、スタンディングの各ポーズ、各シリーズ(プライマリー、セカンドなどの呼び名があり、段階を踏んでレベルが上がっていく)のメインポーズ、逆転系ポーズ、フィニッシングで構成されている。途切れることなく、呼吸に合わせて流れるようにアーサナを行っていくダイナミックな動きで、欧米では早くから人気が高まった。
近年の世界的なヨガブームの火つけ役「パワーヨガ」
インド発祥のヨガを、アメリカ人が自国に持ち帰り、アレンジして生まれたエクササイズ要素の強いヨガ。アシュタンガヨガのダイナミックさに、アイアンガーヨガのポーズキープ力、ビクラムヨガのような高温条件など、他流派の特徴を自由に融合。筋トレ、瞑想要素なども盛り込み、短時間でボディメイクやメンタル調整効果を得られるとあって、ハリウッドセレブなど忙しいライフスタイルを送る人々に好まれ、「ヨガ」というワークアウトが世界中に広がるきっかけになった。
骨格に忠実に方向性やバランスを図る「アイアンガーヨガ」
現代ヨガの父と言われるクリシュナマチャリアの弟子・B.K.Sアイアンガー氏によって体系化され、伝統的なヨガの体系や性質に、解剖学や心理学の要素を盛り込み改善を加えたヨガ。まっすぐに立つ姿勢(ターダーサナ)を基本として、体の方向性、バランス、調和などを観察しながら、ゆっくりとアーサナを行い、自らの骨格に合った姿勢に細心の注意を払う。スタミナを増進しながら肉体の歪みを矯正し、心理面でも安定した集中力とリラクゼーションが得られる。ヨガマットやベルト、ブロックなどのプロップス(道具)も世界で最初に考案している。
重力から解放しリラクゼーションへ誘う「リストラティブヨガ」
ボルスターやベルト、ブランケットなどのプロップスを多用し、その上に横たわることで、体のどこにも負荷のかからない状態を作る。完全に弛緩した体勢から瞑想に入る、一つのリラクゼーション方法。どんな人でも心身を心底リラックスさせられるヨガ。
西洋医学との融合で癒しの力を最大限に引き出す「シヴァナンダヨガ」
医師だったスワミ・シヴァナンダ氏が、西洋医学を否定することなくヨガに加え体系的にまとめ直した。対位法、呼吸法、瞑想の三つを同等に重要なものとし、さまざまなポーズと呼吸法を無理なく行うことでリラックスできる。バランス感覚を取り戻しながら、生き方そのものを向上させることを目的としている。
長いポーズキープの間にしっかり自分と向き合う「陰ヨガ」
ほとんどのハタヨガが該当するアクティブに動くタイプのヨガを「陽ヨガ」と称し、その反対に位置するヨガを「陰ヨガ」と言う。一つのポーズキープが数分と長いが、その間に骨格が適切に安定し、リラックスできる位置を自分で動きながら探し調整していく。長いキープの間に瞑想状態に入れるのも特徴。
高温多湿のインドの環境に合わせて行う「ホットヨガ」
常温のヨガと切り離され独自の人気を誇るヨガ。インドの気温・湿度に合わせた環境でヨガを学ぶことを提案し、室温約40℃、湿度40%に調整されたスタジオでレッスンを行う「ビクラムヨガ」から始まった。大いに汗をかくことで自律神経を調整し、デトックスもできるとあって、冷えなどさまざまな不調に悩む女性に人気。ヨガを初めて試すときにチョイスされることも多い。
「無理なく行えるか」を見極めて
以上のように、運動量の多いものからリラックスを求めるものまでヨガのスタイルは多種多彩。そもそもハタヨガの教典『ハタヨガプラディピカー』(15~16世紀ごろ)では、ポーズを練習する目的は瞑想を行うためと書かれていて、ポーズを習得できているかどうかは「安定して快適であること」が基準。自分に無理をさせることなく、心地よく行えるヨガを見つけることが大切です。
Text=内池朋子
女性誌編集者を経て2019年RYT200を取得。ヨガやアロマテラピーなどを取り入れた心地よいライフスタイルを発信。趣味はヨガと海を目的にした旅
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Text=内池朋子
女性誌編集者を経て2019年RYT200を取得。ヨガやアロマテラピーなどを取り入れた心地よいライフスタイルを発信。趣味はヨガと海を目的にした旅。
Photos=樋口勇一郎/Model=吉田友子
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