肩こりを解消!簡単にできる“上向き体操”でツライ肩こりを改善
- 2021年02月07日
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上を向く習慣で肩こり解消!上を向くと肩の筋肉の硬さがとれる
肩こりはちょっとやそっとじゃ治らないと思ってはいませんか?じつは、肩こりは「上を向く」という極めて単純な動きを行うことを心がけるだけで改善できるのです。パソコンやスマホを覗き込むとき、顔は必ず下を向いています。いつも下ばかり向いていると、背中の筋肉は絶えず引き伸ばされて疲れきってしまい、肩こりが発生します。
そこで上を向くと、それらの伸びきった筋肉が縮み、頚椎のストレートネックと呼ばれる状態が正しい状態に修正され、肩こりが改善されるのです。さらに、「胸が上を向く」ことで自然と胸が開き、それにより猫背も自然と改善されていきます。加えて、肩甲骨も正しい位置に戻るため、縦横方向に過剰に伸ばされていた背中まわりの筋肉(僧帽筋)が元に戻り、肩こりの原因姿勢である巻き肩も改善されていきます。
ちなみに、巻き肩とは肩甲骨が外側に開き、通常よりも肩が前に出た状態です。多くの場合、猫背を伴います。パソコンに向かってキーボードを叩いたり、手にスマホを持って覗き込むときなど、長時間下を向いた状態でいるときになりやすい姿勢です。巻き肩になると、首から肩・背中にかけて大きく広がる僧帽筋が引き伸ばされ、筋肉が緊張した状態が続くので肩こりが起こりやすくなります。
とにかく、上を向くことはいいこと尽くし。日頃から上を向く習慣をつけましょう。ただし、いつも上ばかり向いていることも負担になります。上向きと下向きがちょうど半々くらいになるのがちょうどいい割合です。
上を向くとこんなメリットが!
ストレートネックを改善できる
巻き肩を改善できる
肩甲骨の位置が正常化する
伸びきった筋肉が引き締まる
猫背を改善できる
正しい姿勢が自然と身につく
毎朝3分間の壁立ちで肩こりを解消
上を向く生活にプラスして行ってほしいのが、毎朝3分間の正しい姿勢での壁立ちです。そこで、ここからは正しい姿勢のつくり方を解説していきましょう。
まずは、壁に「カカト」「ふくらはぎ」「お尻」「肩甲骨」「後頭部」をつけて立ってみましょう。このとき、腹筋に力を入れてください。5つの点が一直線で垂直になる姿勢がもっとも体への負担が少ないとされています。靴は脱ぎ、両足のカカトを壁に軽くつけます。肩甲骨の外側を壁につけるのが最大のポイントですが、うまくできない人は肩を下げた状態で両肘を壁につけるようにしてみてください。アゴを引き、目線はまっすぐ前に。もっとも壁と接触しにくいのが「ふくらはぎ」です。どうしてもつかないときには、ほかの4つの点だけでもしっかりと壁に密着するように頑張りましょう。
注意点は、まっすぐ立つことに集中しすぎて肩が上がってしまわないことです。肩はできる限り下に降ろして、肩甲骨の外側を壁につけることを意識しましょう。そうすることで胸を張って、開くことができます。しかし胸を張りすぎると腰が前に反ってしまうので張り過ぎもNGです。腰と壁の隙間の目安は手のひら1枚分になるよう、さらにその隙間を調節するためには腹筋を使っておなかを引っ込めるようにしましょう。しっかりと後頭部と肩を壁に密着させ、胸を張り、腹筋に力を入れた状態で3分間キープ。はじめは少しキツいかもしれませんが、続けることで肩こり知らずの姿勢を身に着けることができます。
肩こりを引き起こす!猫背座りに要注意
肩こりの大きな原因の一つが「猫背座り」です。猫背座りをすると骨盤が倒れて腰椎がまっすぐになります。するとその上の胸椎は猫背カーブが強くなり、その上の頚椎は前に出た頭を支えるために「ストレートネック」と呼ばれる状態になります。
健康で正常な頚椎は生理的弯曲といって体の前方に突き出す弓なりのカーブを描いていますが、ストレートネックになると、そのカーブが失われて定規を当てたように骨の並びがまっすぐになっとしまいます。この状態になると、首から肩、背中まわりの筋肉が突っ張ったような状態となり、肩こりが悪化します。以下に示す座り方はとくに猫背になりやすい座り方です。そのため、長時間座り続けることは避けましょう。
上を向きストレッチ&筋トレで肩こりを即効解消!
では、ここから頑固な肩こりの改善に効果的なストレッチと筋トレをご紹介します。ストレッチや筋トレには、上を向いて行うことで効果が高まる種目が多数あります。上を向くことで首から背中につながる筋肉や筋膜は縮みます。したがって、背中の筋肉を動かして収縮させるメニューでは、下を向いているとそのぶんだけ収縮が不十分になってしまいます。
肩こりに効く体操では、伸びきった首や背中の筋肉を収縮させることが狙いですから、しっかりと上を向いて行うことが効率や効果のアップにつながるのです。上を向いて行うことを意識しつつ、仕事の合間や就寝前のほか、肩がツラいと感じたときに行いましょう。
上を向きストレッチで硬くなった肩まわりをほぐす
後ろ手ストレッチ
後ろ手ストレッチ手を組むだけでも肩甲骨が内側に寄り、ストレッチ感が得られます。さらに胸を張り、頭は上に向けましょう。思い出したときにいつでもこの姿勢をとってください。仕事中など、思い出したときに行いましょう。
手を組むストレッチ
10秒キープ
上下動ストレッチ
10~20往復
両手を後ろに回して組みます。手のひらを外に向ける組み方をおすすめします。手を組むだけでも肩甲骨を内側に寄せる(内転)ストレッチになります。さらに効果を高めるために、その状態で肘を曲げずに上下に揺らす運動をします。反動をつけて可能な限り高く上げましょう。その状態で腕を10~20回ほど上下に揺らしてみましょう。
ポイント
胸を張って上を向いて行う。
肘が曲がらないように。
可能な限り腕を高く上げて上下に揺らす。
胸椎ストレッチ
10秒キープ×2~3セット
胸を大きく開くことができるストレッチです。腰を反らすのでなく胸部を反らす意識が大切です。猫背や巻き肩の改善に効果があります。
イスか机の上に肘を当てて、両手は頭の後ろで組みます。必ずしも正座でなく、立て膝でもかまいませんが、腰を反らすのでなく胸部を反らします。ラクに呼吸しながら10秒静止しましょう。
ポイント
できる限り頭を上げて胸を張る。
イスに肘が当たって痛いときには、タオルなどを挟む。
腰を反らさないようにする。
肘回し
10回×2~3セット
胸を張ることで猫背や巻き肩が改善できるエクササイズです。できるだけ大きい円を描くことで、肩関節や肩甲骨の突っ張りがとれ、こりをほぐせます。
両手を軽く肩に当て、その状態で自分の両脇に肘で円を描く感じで両側同時に肘を回します。回す向きは背泳ぎの腕の回転方向と同じで、逆回転だと効果ありません。効果を最大にするには、肘が後ろにきたときに胸を張ります。
ポイント
肘で大きな円を描き、できるだけ肘が後ろにくるように回す。
回す向きは、背泳ぎの腕の回転方向(前から後ろ)に。
前のほうだけで回すと効果が低下するので、後ろにも大きく回す。
壁まる体操
10回×2~3セット
肘回し同様、肩甲骨を大きく動かせるエクササイズです。胸を張ることで猫背や巻き肩を改善できます。壁を拭き掃除しているようなイメージで大きく両手を回しましょう。
両方の手のひらを体の外側に向け、肘を曲げます。その状態で自分の両横に壁があるようにイメージして、その壁の拭き掃除で、円を描くような感じで両側同時に手を回します。回す向きは背泳ぎの腕の回転方向と同じで、逆回転だと効果ありません。
ポイント
肘を伸ばさずに、少しでも大きな円を描けるように回す。
肘を曲げることで効果が上がる。肘を伸ばすと効果が下がるので注意。
手のひらは絶えずしっかりと外側に向ける。
できる限り手が後ろにくるように大きく回す。
前後の腕振り
10回×2~3セット
肩や肩甲骨の可動域を広げるエクササイズです。前に振り上げるときに肘は反動で多少曲がってもかまいませんが、後ろに振るときは肘をきちんと伸ばしましょう。
背すじをまっすぐして立ちます。竹刀を振り下ろす素振りのイメージで両手を前後に大きく動かしましょう。後ろに振るときは反動をつけてできるだけ高く後ろに振り上げます。
ポイント
後ろに振るとき、反動を使ってなるべく高くまで手を上げきる。
後ろに振るとき、両腕が外に開かないように注意。
後ろに振るフィニッシュでは、胸を張り、頭を上げて上を向くと効果が倍増する。
左右の腕振り
10回×2~3セット
応援団がよくやる動き、もしくは野球の審判の「セーフ」の動きをイメージして行ってください。胸を大きく開けるだけではなく、肩甲骨の可動域を広げることもできます。
背すじをまっすぐ伸ばして立ちます。腕の横振りですが、腕が体の前にきたときに、左右交互にクロスします。後ろに振るときは反動をつけて、思いきり胸を開きます
ポイント
腕は真横に開く。
腕が前でクロスするときは少し下を向いて猫背に、フィニッシュでは胸を張り、上を向くと効果が倍増する。
肩の上下体操
10回×1~2セット
肩をすくめることで首肩まわりの筋肉を効率的にほぐしていきます。コツは肩を下ろすときに一気に脱力することです。これで肩の筋肉を効果的に伸縮させられます。
背すじを伸ばし、頭を少し上に向けた状態で肩を思いきりすくめましょう。その状態で5秒間キープします。その後、一気に脱力して肩を下ろします。
ポイント
肩を上げるときに肘を曲げないようにする。
脱力するときは勢いよく肩を下げる。
ロケット体操
10回×2~3セット
ロケットの先端の形をイメージして腕を動かします。上を向いて胸を張ることで効果を高められるエクササイズです。肩甲骨まわりの筋肉を一気にほぐせます。
背すじを伸ばして少し上を向いて胸を張りましょう。その姿勢を保ったまま、両腕を上げます。その後、肘を曲げながら限界まで下ろしていきます。手の軌道はロケットの先端部を描くようなイメージで。
ポイント
肘を下ろすときは背中側に引き、胴体よりも後ろにくるようにする。
肘を下げきることで効果が高まる。
絶えず上を向き、胸を張る。
肩まわりを支える筋肉を鍛えて肩こりを解消
ストレッチと同時に筋トレを行うことで症状がより素早く改善させることが可能となります。ここからは、肩まわりを支える筋肉を鍛える筋トレをご紹介します。ここでも、上を向き、胸を大きく開くことを意識して行うことが効果を高めるポイントとなります。
シュラッグ
10回×2~3セット
肩こりの主犯である僧帽筋をしっかりと動かすためのエクササイズです。とくに、なで肩の人に効果が大きいエクササイズです。
両手にダンベルを持ち、肩をリラックスさせて立ちます。そうすると少し猫背気味になるので僧帽筋がしっかり伸びます。肘をまっすぐにしたまま胸を張って、息を吐きながら少し斜め後ろに上げます。次に、息を吸いながらゆっくり肩を下げていきます。3秒で上げて、3秒で戻します。
ポイント
頭は上向いた状態を維持して行う。
肩は少し斜め後ろに上げるイメージで行う。
リアレイズ
10回×2~3セット
一般的には腕まわりの筋肉である、三角筋後部を鍛えるメニューですが、肩甲骨を動かす意識を持って行うと僧帽筋を鍛えることができます。頭は上を向き、胸を張って肩をすくめないようにしましょう。
イスに座って両手にダンベルを持ちます。前にかがみ、頭は上に向けて、胸と脚がつくくらいにしてかまえます。その体勢から上半身を固定したまま胸を張り、さらに肘を上に上げる意識で、ダンベルを肩の真横に上げていきます。肘は少しだけ曲げましょう。肘を上げきったときに背中の上部中央あたりに溝ができれば、肩甲骨がしっかり動いている証拠です。
ポイント
肩甲骨が動いていることを意識する。
胸を張り、手のひらを下に向けて、肘から動かす意識で行う。
上を向くことで筋トレ効果が高まる。
ベントオーバーローイング
10回×2~3セット
巻き肩の修正エクササイズです。最初は鏡を見ながら猫背になっていないことを確認するとよいでしょう。手で引っ張るのではなく、肘を後ろに引く意識が大切です。
両手にダンベルを持ち、両足は肩幅よりやや狭めにし、膝を軽く曲げます。背すじをまっすぐにして股関節から上だけを前に倒します。ダンベルを持つ手は脱力して垂らします。その状態で胸を張ると腕は自然と上がります。さらに息を吐きながら、肘を後ろに引いて手が骨盤あたりにくるまで引き上げましょう。動作中は腰が丸くなりやすいので猫背にならないないように十分に背中を伸ばしましょう。この運動も肩甲骨が外側から内側に動いて、背中の上部中央あたりに溝ができていることを意識しましょう。
ポイント
絶対に猫背にならないように注意。
肘を引いたときに、肩甲骨の動きを意識する。
頭を下げずに上を向くことで効果が高まる。
バックエクステンション
10回×1~2セット
伸びきった背中の筋肉全体を収縮させます。体を反らせることで猫背の原因となる縦方向の筋肉を、胸を張ることで巻き肩の原因となる横方向の筋肉を収縮させます。
マットを敷き、うつ伏せになります。息を吐きながらゆっくり上半身を上げていき、背中をできる限り反らせます。そのとき、両肘を後ろのほうに軽く引くと、しっかりと胸を張る意識を持ちやすくなります。限界まで背中を反らせたら、その位置で3秒静止します。その後は、息を吸いながらゆっくり元に戻しましょう。すべての動作をできるだけゆっくり行うことで筋トレ効果が高まります。
ポイント
腕や脚に力を入れないようにする。
両肘を背中のほうに引いて胸を張る意識を持つ。
反動を使わずに、すべての動作をできるだけゆっくり行う。
リバーススノーエンジェル
10往復×1~2セット
背中全体の筋肉を刺激するエクササイズです。慣れてきたら、ダンベルやペットボトルを持って行い、負荷を高めていきましょう。
両手のひらを床に向け、上を向いてアゴを浮かせ、うつ伏せになります。両手を上に浮かせたときに胸を張って肩甲骨が体の中央に寄るように力を入れます。そうすると、両手も体の中央に寄ってきます。そのまま体の横で手を回して両手を頭の上までもってきます。バンザイの位置で停止し、時間をかけて最初のポジションまでゆっくり腕を戻します。動作中の呼吸は自然に。
ポイント
できるだけ頭を上に向ける。
体を反ったときに、肩甲骨を中央に寄せることを意識する。
<監修>
吉原 潔(よしはら きよし)
アレックス脊椎クリニック院長。日本医科大学卒業 医学博士
日本内視鏡外科学会技術認定医、日本整形外科学会脊椎内視鏡下手術技術認定医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医、日本脊椎脊髄病学会指導医。日本スポーツ協会公認スポーツドクター。内視鏡手術専門の脊椎外科医として一般の患者さんから、トップアスリートまで幅広い人々の背骨の悩みを解決。フィットネストレーナーの公認ライセンスも所持(NESTA:全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)。筋力トレーニングおよび体重管理にも造詣が深い。
アレックス脊椎クリニック⇒https://ar-ex.jp/spine
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